経営コンサルティングファームのアクセンチュア株式会社は、収益にもとづいて独自抽出した世界大手2,000社のデータを収集した結果、2050年までにネットゼロ(温室効果ガスの排出量から除去量を引いて正味ゼロとすること)の達成が見込める企業は18%にとどまることが明らかになったと発表しました。
また、日本だけでみると、15%にとどまるそうです。
ネットゼロとは
大気中の温室効果ガスが増えたことなどによる地球温暖化が進んでいます。
その状況を改善しようと、2050年までに「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く保つとともに、1.5度に抑える努力を追求すること」 を定めた国際的な取り決め「パリ協定」が2015年に締結されました。
ネットゼロは、その目標を達成するための取り組みで、気候変動の話題でよく名前が出てくる「カーボンニュートラル」も同じ意味です。
日本でも、当時首相だった菅義偉氏が2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す姿勢を示しています。
目標を掲げる企業は微増
今回の調査は、アクセンチュアが企業のウェブサイトや年次報告書、サステナビリティ・レポートなどといった公開文書を分析して算出して行われました。2023年で3回目の調査となります。
レポートによると、ネットゼロの達成を目標に掲げる企業は、2022年の34%から37%へとわずかに増えましたが、排出量を開示している企業の49.6%において、2016年から排出量が増加しています。
また、現在の経済環境では、脱炭素化のためのさらなる投資はできないと回答した企業は38%に上るそうです。
「この状況を3年以内に打破できる可能性」も
排出量を削減している企業は32.5%に上りますが、アクセンチュアによると、「現在のペースでは、2050年までのネットゼロ達成は難しい状況」ということです。
ただ、世界全体のCO2排出量の40%を占めている鉄鋼・金属・鉱業などといった重工業において脱炭素戦略を変革することで、「この状況を3年以内に打破できる可能性があります」とも伝えています。
同社で欧州・アフリカ・中東地区の最高経営責任者(CEO)を務めるジャン=マルク・オラニエ氏は、脱炭素に向けた取り組みの基本的な取り組みを実行できていない企業もあると指摘。
そのうえで「ネットゼロの達成は、企業にとって多くの障壁が存在しますが、事業の成長とネットゼロ対応の方向性を統合し、自身を変革し、バリューチェーンを再構築する機会でもあります」とコメントしています。
<参照元>
アクセンチュア最新調査――ネットゼロ達成が見込める企業はわずか18% 停滞を打破するカギは重工業
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