君はリスクをとることについてどういった考えをもっているだろうか。リスクをとることにはマイナスのイメージをもっている人が多いだろう。そもそもリスクをとるということは、リスク=危険や損の可能性なのだから、マイナスには違いない。
元来人間にはリスクをとることを避ける傾向があるが、特に日本人は伝統的に安定志向をもち、リスクをとることのリスクばかり考えがちだという。リスクをとることを避けるばかりでは、それがリスクになってしまう。
『リスクを取らないリスク』の著者は日本人がリスクをとることを避けてばかりなのが、現在の日本経済停滞の一つの要因になっていると考えている。日本経済の行く末を案じる著者は日本人のリスクをとることに対するイメージを変革したいと考えて『リスクを取らないリスク』を著したのだ。
『リスクを取らないリスク』を読んでリスクをとるということはどういうことなのかを考えてみよう。リスクをとることに対する考え方が少しでも変われば、著者の本望だ。
そもそもリスクをとるとはどういうことか
リスクをとることで不利な状況に陥る可能性が生まれる。しかし、投資や転職など時にはリスクをとる決断を迫られることがあるだろう。不利な状況を回避するためにはリスクをとることに3つのルールがあることを知っておくことが重要だ。
リスクをとることに関するルール①
人は本来リスクをとることを避けようとする。
リスクをとることに関するルール②
人がリスクをとるようにするには、それなりのリターンが必要。
リスクをとることに関するルール③
リスクとリターンのバランスは需要と供給により変化する。リスクをとる人が少なければ少ないほど、リスクをとる人は有利になる。
リスクをとる人がいないとどうなるか
出典:www.flickr.com 2008年9月、リーマン・ショックという経済における大惨事が起きるが、それ以上にインパクトが大きかったのがリーマン・ショックと前後して起こった世界最大の保険会社AIGの破綻懸念だった。AIGは金融に対する保険も扱っていたため、AIGが破綻すれば取引を行っている世界中の金融機関が総倒れを起こす危機だった。
自分の代わりにリスクをとる保険会社が危なくなれば、そのリスクを自分がとることになる。人々は貯蓄に走り、進んでリスクをとる人はいなくなり、経済は一気に冷え込む。このときに必要とされたのはリスクをとる人だったのだ。
しかし、実際には世界経済に対する影響を危惧したアメリカ政府が公的資金を注入し、金融危機が去るまで自己責任のルールは適用しないことに決めたのだった。
様々な経済活動には常にリスクとリターンが存在している。リスクをとる人がいなければ経済活動は成り立たないものだということを知っておくべきである。
リスクをとる前にやるべきこと
著者は経済活動においてリスクをとることの重要性、リスクをとらないリスクを説明しているが、リスクをとる場合には、リスクをとる前にやっておくべきことがあるという。それは現時点で将来考えられるリスクを明らかにしておくことである。
想定されたリスクに対し、何の対策も打ち出せないままだと不確定要素が多すぎて、リスクをとるにも思い切ることができなくなる。積極的にリスクをとるためには他に起こりうるリスクの存在を明らかにして対策を講じておくことが重要なのである。
『リスクを取らないリスク』からリスクをとることについて、かいつまんで著者の考えを紹介した。『リスクを取らないリスク』ではさらに詳しくリスクをとることを避けることから生まれたリスクの実例や、日本が直面している経済的リスクの実例が紹介、分析されている。
著者の願いは日本経済を発展させていくために、日本人のリスクをとることに対する意識を変革することである。君が本書を読むことでリスクをとることについての意識を変えれば、日本経済の発展を願う著者の願いが叶うかもしれない。
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