新しい取引先など、面識がない相手に挨拶メールを送る際、相手に失礼がないことはもちろん、できれば好印象を与えたいところ。本記事では押さえておきたいポイントとビジネスマナー、実際に活用できる例文を紹介。使ってはいけない言葉や、わかりやすいメールにするためのコツについても説明します。
- 開封してもらう鍵となる「件名」は、要件と差出人を必ず入れる
- 本文では5W2Hを意識しながら、忙しいビジネスパーソンでも短時間で理解できる内容を
- 挨拶文では「初めまして」「お世話になっております」は使わず、結びでは相手のアクションを促す1文を
初めての相手へビジネスメールを送るときに注意するべき3つのポイント
仕事関係者に紹介を受けた際や、新規顧客の開拓など、初めての相手にビジネスメールを送る場面も多いのではないでしょうか。件名はどうすればいいのか、どのように始めればよいのか、必須で入れておくべきことは何か……。慣れないうちは、色々と悩むことも多いと思います。
まずは、大前提として押さえておくべき3つのポイントをご紹介します。
- 「内容」と「送信者」を件名に記す
- 冒頭に「初めまして」を使わない
- 一目で要件が伝わるよう、分かりやすい文面にする
件名次第では挨拶メールを開封してもらえないことがある
顧客からのメール、社内の連絡メール、仕事に関連するメールマガジンなど、ビジネスパーソンの多くは1日に何十通、多い人だと1日に100通以上のメールに目を通します。そんなビジネスパーソンたちは、メール開封するか否かを「件名」で判断することも。
送信者の所属が分からなかったり、どういった要件かがわからない件名では、取引先が挨拶メールを見落としてしまう可能性があります。取引先に初めて送る挨拶メールを読んでもらうためにも、件名には「送信者とメールの内容」を記載しましょう。
- ×ご挨拶のメール
◯【ご挨拶】▲▲事業における協業について(株式会社●●)
メールの冒頭は「初めまして」にすると営業やスパムメールとして認識される可能性もある
処理するメールの量が多いビジネスパーソンは、心当たりのないメールが届いた際、開封して最初の1文で見るか見ないかをジャッジすることもあります。そのため、スパムメールでよく使われる「初めまして」を冒頭に書くことはおすすめできません。
スパムメールと間違われないよう、後ほどご紹介する挨拶文を参考にメールを作成しましょう。
短時間でメールチェックできるシンプルな文面を心がける
忙しいビジネスパーソンにとって読みやすいメールとは、短時間で要件が理解できるメールのこと。ぱっと見たときに「読みづらそう」と感じたビジネスメールに目を通すのは、取引先からのメールといえどもかなり億劫です。
段落をつけて画面が文字だらけにならないようにしたり、伝えたい要点を箇条書きにしたり、1文が長すぎないようにしたりと、メール文が読みやすくなる工夫をしたいところです。シンプルな文面を心がけて、取引先の相手にメールチェックの負担をかけないようにするのがビジネスマナーと心に留めておきましょう。
署名を入れる
メールの最後には「署名」を入れるのがビジネスメールの基本です。署名とは、送信者の社名や連絡先などを示す、いわば名刺のような役割を果たします。また、送ったメールを書いたのは自分であることを証明するものでもあります。
特に初めて連絡する相手の場合は、自分の名前や社名、連絡先などを伝える必要があるため、署名は必ず入れるようにしてください。
署名に書くべき内容は以下の通りです。
- 会社名
- 部署名 役職
- フルネーム
- 会社の住所
- 電話番号
- ファックス番号
- メールアドレス
- WebサイトなどのURL
電話番号を書く際は、固定電話なのか携帯電話なのかわかるように書くことをおすすめします。
メールのたびに署名を書くのは億劫だなと思う人もいるのではないでしょうか。
Gmailの場合、一度設定すれば自動で署名を記入してくれます。自社で使用しているメーラーやシステムで同様の機能がないか確認してみましょう。
初めての相手にメールをするときの挨拶の方法は?
「内容」と「送信者」を件名に記載する、冒頭に「初めまして」を使わない、一目で要件が伝わるようシンプルな文面にするという、初めての挨拶メールを送る上で守りたい3つのポイントご紹介しました。
全体の要点がつかめたところで、挨拶メールの中でも早い段階で送り先の目に触れる「冒頭の挨拶」と、最後の印象を決める「結びの挨拶」の2つについて解説します。
冒頭の挨拶
先程、冒頭の挨拶で「初めまして」を使うことは避けた方が良いとお伝えしました。では、具体的にはどのような挨拶が適しているのでしょうか。
- 初めてメールを送らせていただきました。
- 〇〇様のご紹介でメールをさせていただきました。
- 突然メールを差し上げるご無礼をお許しください。
- 突然のメール失礼いたします。
- 初めてメールさせていただきます。
また、ビジネスメールの挨拶文で多用される「お世話になっております。」は、面識のある方に使う挨拶文のため、初めましての方には使いません。一度お会いしたことがある方、もしくは以前やり取りをしたことがある方に使うのはOKですが、初めての方についいつもの癖で使ってしまわないよう、注意しましょう。
文末・結びの挨拶
冒頭の挨拶と同じくらい大切なのが、文末・結びの挨拶です。どのようにメールを締めるかによって、好印象になるのか、残念な印象になるのかが決まります。
- ご検討のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
- お手数ではございますが、ご確認いただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
- ご多用の折恐縮ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
- 引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
- 寒い日が続きますが、どうぞご自愛下さいませ。
打ち合わせのスケジュール確認や、商材の導入有無の検討など、相手にとってほしいアクションがある場合は、相手を気遣いながらアクションを促す一言が入れられるといいでしょう。また、特に取ってほしいアクションがない場合でも、要件だけで終わるのではなく、時候に合わせた相手の体調を気遣う一言が入れられると、印象がよくなるでしょう。
始めて送るビジネスメールは3つの構成で文章を作成しよう
冒頭と結びの挨拶文の要点を確認したところで、いよいよ具体的な本文の構成に入ります。
「宛名」「挨拶文/自己紹介」「本文/結び」の3つの要素に分けて本文の構成について説明します。
初めて送るビジネスメールの書き方1:「宛名」
まず、初めて送る挨拶メールの宛名には、相手の社名と名前を最初に明記するのが基本です。
メール相手の所属や役職についてはわかる範囲で書き、会社名は正式名称をしっかり調べておきましょう。特に、「後株/前株」(○○○○株式会社/株式会社○○○○)の確認をするのも最低限のビジネスマナーです。
メールを送る相手がわからない場合とわかっている場合、2パターンでの宛名の書き方を見てみましょう。
- 社名または部署名に敬称の「御中」を付けます。
例:〇〇株式会社 御中/〇〇株式会社 人事部 御中
- 「会社名+部署名+名前+様」を明記します。
「御中」「様」の併用は宛名を二重に付けることになるので気をつけましょう。
例:「○○株式会社 ■■様」「○○商事 営業部 ■■様」
ビジネスメールを送る相手の名前を知っている場合とそうでない場合で、メールの宛名の書き方も変わってきます。しっかりと使い分けられるように確認しておきましょう。
初めて送るビジネスメールの書き方2:「挨拶文/自己紹介」
初めてビジネスメールを送る場合、自分が何者なのか、なぜ連絡をしているのかを知らせるため、簡単な挨拶文と自己紹介を入れる決まりがあります。
挨拶文には、先程紹介した「初めてメールを送らせていただきました」「〇〇様のご紹介でメールをさせていただきました。」などのフレーズを使いましょう。自己紹介の文章は、挨拶文の後に入れます。
ビジネスメールで自己紹介をするのは「挨拶文の後」
自分がどういう者なのか、という自己紹介は紹介文の後にしましょう。
初めてビジネスメールを送信する相手には、「会社名、所属部署、担当している仕事内容」など、簡単に自分についての情報を伝えます。素性の分からない人物から送られたメールは気味が悪いですよね。
また、自己紹介文の後にこのメールで一体何について伝えたいのか、要件を端的に加えるとよいです。
- はじめまして、○○会社 総務部の△△と申します。■■の件でメールをいたしました
メールをした経緯も説明すると返信率が上がる
挨拶文と自己紹介に加え、なぜこのメールを送ったのかを明確にすることで、相手が取るべきアクションが明確になり返信率が上がります。
- 〇〇事業での協業の可能性についてご検討いただきたく、メールいたしました。
- 貴社が提供されている〇〇について詳細をお伺いしたく、ご連絡いたしました。
- 弊社の新サービス〇〇の導入の件でご連絡しました。
初めて送るビジネスメールの書き方3:「本文/結び」
挨拶メールの要ともいえる本文では、最初に書いた用件の内容を、より具体的に記載しましょう。書き方に迷う場合は、5W2Hを意識すると分かりやすい文章が書けます。
- What(何を)
- Who(誰が)
- Where(どこで)
- When(いつ)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
- How much / How many(いくら、いくつ)
また、1文が長すぎるのもNG。感覚がつかめないうちは、声に出して読んでみて「長すぎるな」と感じたら、文章を別の句で区切るといいでしょう。本文を書く際は、メールを書くときの注意点にならって「一目でメール文を理解できる」ものを心がけることを忘れないようにします。
結びの文章は先程紹介した例文を活用し、相手を気遣いながら、相手に取ってほしいアクションを明確に記載しましょう。
- 5W2Hを意識し、分かりやすい文章を書く
- 1文を読みやすい長さにする
- 結びの文章は相手への気遣いと、ネクストアクションを明確にする
ビジネスメールの本文には、箇条書きを活用して具体的な用件を書き記す
ビジネスメールに不慣れな場合、箇条書きにできるポイントを考えながらメール文を書くのがおすすめです。項目を列挙したり、順序を説明したりと、情報を整理するのに役立ちます。
もちろん、箇条書きのみで送信するのはNGですが、情報を端的に伝えるためには箇条書きを上手に活用することがポイントです。
初めてのビジネスメールの例文
初めて挨拶メールを送る際の3つのポイント、挨拶/結びの例文、本文の構成について確認したところで、シーンに合わせた例文をご紹介します。
初めましての相手だからこそ、メールの最後には「署名」と呼ばれる、自分の所在を明らかにする情報を入れることを忘れないようにしてください。
初めて連絡する相手に営業メールをするときの例文
- 株式会社〇〇
〇〇部
〇〇様突然のメール失礼いたします。株式会社〇〇 ××部の〇〇と申します。
本日は、弊社の新サービス「〇〇」のご紹介の件でご連絡いたしました。弊社は〜〜のようなツールを提供しております。
貴社のWebサイトを拝見したところ〇〇事業の業務改善にお役立ちできるのではと思い、ご連絡させていただきました。もしご興味をお持ちいただけるようでしたら、30分程度ご説明に上がれればと存じますので、
下記日程よりご都合の良い日時をご教示いただけますと幸いです。- ◯月◯日 ◯時〜◯時
- ◯月◯日 ◯時〜◯時
- ◯月◯日 ◯時〜◯時
ご多用の折恐れ入りますが、ご検討いただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。---------------------------------------
株式会社〇〇
TEL:123-4567-8910
メール:abcde@xxx.co.jp
担当:××
見積もりを依頼するときのメールの例文
- 株式会社〇〇 ご担当者様
初めてメールさせていただきます。〇〇会社 ××部の△△と申します。
本日は、貴社サービス〇〇のお見積りをいただきたく、ご連絡いたしました。
下記の要件にて、◯月◯日までにお見積りをいただけますと幸いです。
---------------------------------------
商品名:〇〇
数量:〇〇
仕様:〇〇
納期:〇〇
〜その他見積もりの要件があれば追加〜
---------------------------------------お手数ではございますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
---------------------------------------
株式会社〇〇
TEL:123-4567-8910
メール:abcde@xxx.co.jp
担当:××
紹介された新規の取引先に送る挨拶メールの例文
- 〇〇株式会社 総務部 御中
初めてご連絡させていただきます、〇〇会社 ××部の△△と申します。
□□株式会社 〇〇様からのご紹介で、今回ご連絡いたしました。
弊社は、〜〜のようなツールを提供しております。
貴社の〇〇事業できっとお役立ちするかと思います。もし「〇〇(自社サービス名)」にご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ貴社へ伺わせていただきたいと考えております。
大変お手数ではございますが、下記までご連絡いただけますと幸いです。
何卒宜しくお願いいたします。
---------------------------------------
株式会社〇〇
TEL:123-4567-8910
メール:abcde@xxx.co.jp
担当:××
着任を伝える挨拶メールの例文
- 株式会社〇〇
〇〇部
〇〇様初めまして。株式会社〇〇 ××部の〇〇と申します。
この度、〇月〇日付で株式会社〇〇の担当者に着任いたしましたため、
ご挨拶させていただきたくご連絡させていただきました。今後とも、貴社にお力添えできるよう尽力いたします。
まずはメールでのご挨拶のみになってしまい申し訳ありません。
後日改めてご挨拶に伺えますと幸いです。末長くよろしくお願いいたします。
署名
前任から取引先を引き継いだ場合の挨拶メールの例文
- ○○商事 営業部 ■■様
平素より格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
〇〇会社 ××部にて営業を担当しております△△と申します。この度、◯月◯日をもちまして、前任の××に代わり貴社の担当として新しく着任いたしましたため、ご挨拶の連絡をさせていただきました。
◯◯の仕事は未経験のため、至らないこともあるかと存じますが
一日も早くお役に立てるよう努めます。前任者同様にご指導賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
できるだけご迷惑をおかけしないよう、しばらくは弊社(担当者)がフォローに入りますのでご了承くださいませ。
後日、改めてご挨拶にお伺いしたく存じますが、取り急ぎメールにてご連絡差し上げます。
今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。
---------------------------------------
株式会社〇〇
TEL:123-4567-8910
メール:abcde@xxx.co.jp
担当:××
イベントやセミナーなどの案内メールの例文
- 〇〇株式会社 企画部 御中
※本メールは弊社のメールマガジンにご登録いただいた方に送信させていただいております。
突然メールを差し上げるご無礼をお許しください。
〇〇会社 ××部の△△と申します。この度、〇月〇日に開催されるセミナーのご案内を送らせていただきます。
弊社で開催する〇〇セミナーは、貴社の〇〇事業とも関わりが深くぜひ意見の交換をできればと存じます。
詳細は下記のとおりです。
日時:〇月〇日
時間:13時から16時まで
場所:〇〇会社第3会議室
住所:東京都新宿区〜〜奮ってご参加いただけますようお願い申し上げます。
なお、ご参加頂ける場合は、大変お手数ではございますが、下記の連絡先にご連絡いただけますと幸いです。ご検討のほど、何卒よろしくお願いいたします。
---------------------------------------
株式会社〇〇
TEL:123-4567-8910
メール:abcde@xxx.co.jp
担当:××
初訪問後に初めて送るメールの例文
- 株式会社〇〇
〇〇部
〇〇様お世話になっております。株式会社〇〇 ××部の〇〇です。
本日は、お忙しいなか貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
前任のXXからお話を伺っていたので、本日お会いでき誠に光栄でした。今後は私が担当になりますが、引き続き、貴社のお役に立てるよう精一杯力を尽くして参りたいと思っております。
また、何か不明点がございましたら、お気軽にお声がけください。今後とも、よろしくお願いいたします。
名刺交換をした後の初めて送るメールの例文
- 株式会社〇〇
〇〇部
〇〇様初めてご連絡をさせていただきます。
本日ご商談させていただきました、株式会社〇〇 ××部の〇〇です。本日はご挨拶をさせていただき、誠にありがとうございました。
ご案内いただいた商品は、早速明日の社内で検討させていただきます。
前向きに検討しておりますので、何かあればまた連絡させてください。
特別なお話を聞けて嬉しい限りです。今後とも、よろしくお願いいたします。
署名
初めてメールをする相手には礼儀正しい挨拶で信頼を獲得しよう
- 件名は要件と差出人を明記する
- 冒頭文に「初めまして」「お世話になっています」を使うのはNG
- 本文は5W2Hを意識し、分かりやすく簡潔にまとめる
最初の印象を決定づける挨拶メールでは、ビジネスマナーを遵守した挨拶と、忙しいビジネスパーソンにも短時間で理解できる文面を特に心がけたいところ。
本日ご紹介したポイントや例文を参考にしながら、相手に違和感を持たせない、好印象を与えるメールを作成しましょう。
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