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良い上司は聴き上手 部下に問題解決を促す育成技術「アクティブリスニング」

Rio

2014/11/07(最終更新日:2014/11/07)


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 多くの人は相手の話を聴くよりも自分の話をしたがります。特に部下の教育ではついつい自分から話したり、説明することが多くなってしまいがち。「説得してあげよう」「忠告してあげよう」といった思いに駆られるあまり、自分から話すばかりになってしまい、結局部下の状況はよくわからなかった。後々になってそう思う方も多いのではないでしょうか?

 しかし実は、自分から話をすることよりも、部下の話を聴くことの方が教育において大切なのだそうです。このように、聴くことを重視する教育のスキル、「アクティブリスニング」が注目を集めています。

アクティブリスニングはただ聴くだけじゃない!

 アクティブリスニングとは、一言で言うと積極的に相手の話を聴くことですが、単に聴くだけではありません。話し手の言葉から事実と感情を把握し、本当に言いたいことを明確にすることで、話し手自身が問題解決出来るように導くスキルのことです。

 聴き手の基本的な傾聴姿勢として大切なのは、話し手に対して否定も肯定もせず、無の心境で接すること。相手の立場に立って、気持ちを理解する思いと、自分の評価や判断を入れずに相手の心情を全面的に受け入れる精神が必要です。

 アクティブリスニングでは、相手の言葉に対して「こういうことですよね?」「こんな気持ちですよね?」「辛いんですよね?」とフィードバックを行います。そのためには、きちんと話を聴いていなければなりませんよね。

アクティブリスニングは話し手に自分で気付く力を与えてくれる

 アクティブリスニングを適切に用いると、相手に対して「この人は自分のことを受け入れてくれている」「この人ならきっとわかってくれる」というような安心感を自然に与えることが出来、相手はより深い話が出来るようになります。

 この時、否定や疑念はもちろん、激励や慰めも話し手の問題解決には繋がらないので注意が必要です。いろいろと言いたい気持ちを抑え、ただただ相手の話に耳を傾け、適切なフィードバックを繰り返すことで、相手が自分の想いに辿り着くのをサポートします。

 このような話しやすい環境を作ってあげることで、相手は普段話せない心の中にある問題を話すことが出来るようになります。そうすれば、気持ちが楽になると同時に、問題を自覚化出来るようになるでしょう。人は自分でも自らの問題の核心については理解出来ていないことも多いもの。相手は些細な問題から話していくことで、次第に問題の核心に辿り着き、次のステップに進むきっかけを掴めます。

耳、目、心の3点傾聴で相手の話をもっと聞き出せる!

 アクティブリスニングの基本は質問を繰り返すような「訊く」でも、音が自然と耳に入ってくるような「聞く」でもなく、相手の話の内容に注意を払いながら「聴く」ということ。この「聴」という漢字には耳、目、心が含まれているように、この三つを使って聴くことで、より相手の話を引き出せるようになります。

耳で聴く

 相手の言葉を遮断せず、最後まで耳を傾けて理解すること。話を聴いていると途中で自分の意見を挟みたくなってしまう人も多く、最後まで話を聴くのは想像以上に難しいものです。

目で聴く

 相手の言葉以外(表情、声のトーン、しぐさなど)に注意を払うこと。この時、相手の目をしっかり見て、あいづちを打つことも効果的です。あいづちは相手に対して、「話を聴いていますよ」というサインになります。

心で聴く

 相手の言葉の裏側にある感情を受け止める気持ちで話を聴き、共感を示すこと。聴き手が相手を受け入れる態度で話を聴いていれば、話し手はより一層安心して話すことが出来ます。


 人の話を真摯に聴くことは、話すこと以上に難しいもの。もちろん、アクティブリスニングは、一朝一夕に身に付くような簡単なスキルではありません。しかしその分、一度身につければ相手からの信頼を得られると同時に、部下を一番良い形で成長させてあげることが出来るはずです。

 聴き上手こそ、本当のコミュニケーション上手。今まで自分から話す教育ばかりで部下の成長をいまいち実感出来ていない、という方は是非一度、聴き役に徹してみてはいかがでしょうか?

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