90年代以降、組織は様々な変革を受け入れてきました。そのひとつが、組織のフラット化です。従来のピラミッド型からフラット化された組織は、意思決定のスピード化や個人の裁量大など、様々なメリットももたらしました。
しかし近年、組織のフラット化による弊害も指摘されているのをご存じでしょうか。最近では、再びフラット型からピラミッド型への回帰をはかる企業動向も見受けられます。今一度、組織のフラット化がもたらす問題点を検証してみましょう。
役職ポストの削減によるモチベーションの低下
組織のフラット化がおこなわれる際、多数あった役職が整理されることになります。そうなると当然、役職ポストの数が大幅に削減されます。リストラで解雇もしくは降格となる人材が多数発生します。ミドル層から上の階級には、特に影響が大きいのではないかと思います。
これからの若い世代も、フラット化により昇進・昇格の機会は減少します。勤続年数が高くなるにつれて、モチベーションの低下も問題点として浮上してくることになります。
管理職の責任範囲が広がり管理が及ばなくなる
組織のフラット化に伴い、管理職の数が削減されます。その分、ひとりの管理職の責任範囲は広がることになります。そうなると、従来のピラミッド型のようなきめ細かなマネジメントが行きわたらなくなります。
大胆な舵切りにはフラット化は有効ですが、緻密で組織だったマンパワーを要求されるような業務となると、フラット化は管理職の負担を増大させるだけでかえって非効率になることもありうるのです。
管理職による人材育成の機会逸失
ミドルマネージャー層が減少することで、後輩や部下の指導教育の機会が失われてしまいます。新人や若手のモチベーションの低下を招き、次世代の管理職の育成も阻害されるため、長い目でみると組織運営や形成にも影響を及ぼすことになります。
このように、組織のフラット化の影では事業展開に支障となる問題点も発生しがちです。単なるリストラ目的で組織のフラット化を推進した結果、社内のモチベーション低下やマネジメントの不徹底により以前にもまして業績が悪化してしまったなんてこともあるかもしれません。
組織のフラット化を推進する際には、このような問題点もしっかりと踏まえてそれぞれの事業にあった組織体系を構築していくのが大切です。グループの細分化・事業部制の導入・リーダー育成・後輩や部下の教育育成などを適宜組み込むことにより組織のフラット化を図りつつも、しなやかで有機的な組織力を発揮できる真の組織体の構築が可能になるのではないでしょうか。
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