HOMEビジネス プロゲーマーが年俸1億円になる世界を当たり前に eスポーツチーム「FENNEL」24歳社長の「自分がマーケットを背負って引っ張っていく」熱き想い【インタビュー後編】

プロゲーマーが年俸1億円になる世界を当たり前に eスポーツチーム「FENNEL」24歳社長の「自分がマーケットを背負って引っ張っていく」熱き想い【インタビュー後編】

菓子翔太

2024/10/18(最終更新日:2024/10/18)


このエントリーをはてなブックマークに追加

株式会社FENNELの高島稜社長

国内有数の人気eスポーツ企業で、保有する複数のeスポーツ部門が数々の国内・国際大会で優勝してきた株式会社FENNEL(以下、FENNEL)。

インタビューの後編では、2024年、23歳にして新たに社長に就任した高島稜氏(現在は24歳)に、eスポーツ市場の今後に対する思いと求める人材、プロたちの現状とキャリアについて話を聞きました。

プロたちの現状とキャリアについて

市場規模が拡大しているeスポーツでも、プロ選手として生活し続けていくことは簡単ではありません。

大会によっては高額な場合もあるものの、賞金は不安定な収入源です。スポンサー契約やインターネット配信などによる収入に加え、チームに所属すれば給与をもらうことで稼ぐことができるとはいえ、食べ続けられる選手は一握りです。状況は良くなってきていますが、セカンドキャリアの問題もあります。

少し前には人気ゲーム「VALORANT」において、国内ベスト8に入ったチームが全選手・コーチを放出したことも話題となりました。

プロeスポーツ選手を生業とすることの厳しさについて、高島氏はどう考えているのでしょうか。

「(eスポーツチーム)FENNELの選手の給料は、どんどん上がっていっています。

彼らにスター性を求める以上、ちゃんとスターとして立ち振る舞える金額かどうか。これは鶏が先か卵が先か、みたいな話ですが、チームが先に行ってリスクを負うべきだと思っているので、僕はそこに投資したいし、それによって彼ら(選手)が変わっていってほしいなと。

まだ全然発展途上なんですが、選手たちがいつか年俸1億円をもらうのが当たり前になっているような世界をつくらないといけないなと思っていますし、それを求める以上、(選手には)よりスター性、表現者としての自覚とか自信をすごく持ってほしいです」

選手に対しては、「現役のうちに稼ぎ切ってもらうこと」を求めるとともに、現役引退した後の生活で、なにか新しいことに挑戦してほしいという思いも持っているそうです。

「スターとしての成長は、人間の格をプレイヤーの間にものすごく上げられることだと僕は思っているので、なにかに挑んでほしい。僕は、選手はできるだけみんな起業してほしいなと思っています。

人に注目され、愛されながら何かを背負って戦い切り、安いとは言えない報酬をもらう経験はすごく人を磨くと考えています。その経験を生かして、何でも挑戦してくれたらなと思います」

自分がマーケットを引っ張っていく

eスポーツチームやイベント、音楽スタジオの運営、有名ブランド「DIESEL」「NEW ERA」などともコラボしてのアパレルブランド事業に加えて、eスポーツを活用したマーケティングコンテンツ制作など幅広い事業に取り組むFENNEL。

2023年、スポンサー契約を結ぶ株式会社平山と株式会社トップエンジニアリングとともに、日本初のeスポーツを活用した新就活プランを開始

プロの選手や配信者だけでなく、HIPHOPアーティストのOZworld(オズワルド)さんらアーティストも加入し、eスポーツチームの枠に囚われない表現力、ブランドとしての強さを追求しているといいます。

運営している音楽スタジオ「FENNEL STUDIO」の内観(詳細はこちらから)

高島氏は、eスポーツ市場や企業の経営に将来的な不安は抱いておらず、「マーケットに背負われるよりも、自分がマーケットを背負って引っ張っていく」という気持ちであるとのこと。

「eスポーツ市場を1兆円規模にするため、まずはFENNELが時価総額100億円のeスポーツ企業となって、市場を牽引していくような存在になることが大きな目標の1つです」

と語ります。今後、日本においてeスポーツをメジャースポーツと同規模、もしくはそれ以上にしていきたいという考えも抱いているそうです。

そのうえで、ほかのプロゲーミングチームに対しては、「どのチームも似たビジネスモデルに偏ってきている」という印象を抱いているといいます。

「狭いところ、かつ、すごく低いところでやり合っていて微妙だなと思っています。それぞれの会社がそれぞれの方向に対して開拓していくことが必要かと。

マーケットが伸びてこなかったときに、自分たちが相対的位置を取るとインパクトも小さくなっちゃうので、各チームは、常にコア(核)に『自分たちがNo.1だと誇れるもの』を持って、もっと(展開を)広げていってほしいなと思います」

eスポーツ業界で仕事したい人へのアドバイス

市場規模が高まるeスポーツ業界で働きたいと思う人も多いでしょう。高島氏は、そういった人に向けたアドバイスとして、まず重要なこととして「eスポーツに関わることがゴールではないこと」を挙げます。

「趣味から入るとか、好きから転じてという方が多い。そういう方たちにとって、いろんなチームやプレーヤー、ストリーマー(配信者)が憧れだとすると、そこと関われた時点で満足してしまったりとか、そこに入ることがゴールという目線を持たれたりする場合がすごく多いなと思っています。

自分がいてもいなくても業界が変わらないんだったら、働いている意味がないというのが僕の思想です。

基本的には自分が入ったことによってマーケットにどれだけのインパクトを残せるのか、また何を変える存在になりたいのかをすごく真剣に、リアルに考え続けることができる人であるかがすごく重要だと思っています」

もう1つは、「他責にせずに、自分たちが解決できるイシュー(課題)がたくさんあるのだとポジティブに捉えられる人」であることだといいます。

「僕はものすごく嫌いなんですけど、eスポーツを愛しながらeスポーツのことを批判している人間が数多くいるなと思っています。未成熟ではありますが、無限にポテンシャルがある業界であることは自分たちが1番わかっています。(発展していく)未来を信じて全力でやらないと、この業界で何かを残せる人間にはなっていきません」

と力強く語りました。

【関連記事】


hatenaはてブ


この記事の関連キーワード