今週木曜日の午後7時、東京、品川のシネコン、T・ジョイPRINCE品川のIMAXシアター、シアター11はメディア関係者で埋め尽くされた。
300席は開映前に埋まり、入場できずに帰宅した人もいたほどだ。近年、これほどマスコミ披露試写が賑わったことがあっただろうか? 「ワンダーウーマン」の日本に於ける正式なお披露目である。
「ジャスティス・リーグ」を活性化する!
全米公開前の期待値は低かったと思う。ワンダーウーマンが属するDCコミックのヒーロー軍団「ジャスティス・リーグ」が、ライバルのマーベルがいち早く立ち上げた「アベンジャーズ」に批評、興行両面で水をあけられていたからだ。
それでもシリーズ第1作「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」(16)のラストショットに登場したワンダーウーマンの凜とした勇姿に、いち早く注目した映画ファンは多かった。彼女がシリーズを活性化させてくれるのではないかと。
女性だけの島に育ったプリンセス「ダイアナ」
そして、彼女はファンの期待に倍返しで応えてくれた。物語の始まりは女性だけで構成されたアマゾン族が住むパラダイス島。
そこで女王ヒッポリタの娘としてこの世に生を受けたプリンセス、ダイアナ、後のワンダーウーマンが、ある日、海上に不時着したアメリカ人パイロットのスティーブを助けたことで、外の世界で展開する戦争の残虐さを知り、人々を救済すべくスティーブと共に島を後にする。
半裸のコスチュームで戦場を疾走する!
生来、自らに備わったスーパーパワーを自覚していたダイアナが、パワーの証である銃弾を跳ね返すブレスレットや楯、そして、人の体に巻き付くと真実を吐露させる“真実の投げ縄”を巧みに使って、女性科学者が開発した猛毒を使って世界制覇を目論む独裁者に果敢に立ち向かおうとする。
銃弾が飛び交い、毒ガス兵器が炸裂する中を、半裸のコスチュームを纏ったワンダーウーマンが縦横無尽に駆け抜けて行く姿は、かつてのスーパーヒーロー映画にはなかった新鮮な光景だ。
主演のガル・ガドットは兵役経験者?
ワールドプレミアのレッドカーペットに登場したガル・ガドット。 そんなヒロインを演じるのは、ミス・イスラエルにも選ばれたモデルで女優のガル・ガドット。母国の決まりで兵役経験もある彼女が、さらに役のために9カ月のトレーニングと10キロ近い減量に挑戦して、回転回し蹴りや空中浮遊など、スタントマンやCGI合成と自然にマッチする身体能力とスリムボディをゲット。
例え戦争の首謀者を抹殺したとしても殺戮が止まらない人間の悲しい性を知って失望し、怒る時のリアルな表情とも相まって、ガドットが作り出したニューヒロイン像は観客の共感を得るには充分過ぎる。
なんとこれがラブロマンス!
さらに、最大の魅力は、これがダイアナとスティーブのラブロマンスである点。それも、単に甘い恋物語ではない。
人生で初めて出会った男性であるスティーブに誘われ、実社会のシビアな現実を目の当たりにするダイアナが、その過程で、彼と一緒に恋愛のプロセスとそれがもたらす至福を初体験したことをテコに、絶体絶命の危機を乗り越えようとする。自らに備わったスーパーパワーを愛の力で再生し、人類を滅亡の危機から救うのだ。
監督のライフワークがここに結実した
結果、「ワンダーウーマン」は去る6月2日に全米公開された際、興収1億ドルを突破するオープニング記録を樹立。それは同時に、監督のパティ・ジェンキンスにとって女性が監督した作品として映画史上最高のオープニング記録でもあった。
「ワンダーウーマン」を監督することがライフワークだったというジェンキンスの悲願は見事に達成され、配給元のワーナーブラザースは彼女に続編の監督を打診し、すでに契約が完了している(もちろん、ガル・ガドットとも)。
しばらくはワンダーウーマンから目が離せない。とりあえず、彼女がバットマン(ベン・アフレック)やスーパーマン(ヘンリー・カヴィル)とタッグを組む本シリーズの最新作「ジャスティス・リーグ」(今年11月全米公開)の仕上がりを待とう。
【作品情報】
「ワンダーウーマン」
8月25日(金) 全国ロードショー 3D/2D/IMAX
配給:ワーナーブラザース映画
©️2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNEENTERTAINMENT LLC
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