桃屋は、「桃屋と言えば、ごはんですよ!」「ごはんですよ!と言えば、桃屋」と言われるほど、私たち日本人の食卓に親しみ深いものとなっている。近年だと、「食べるラー油」という商品が2010年のベストヒット商品に選ばれ、流行語大賞のベスト10にも選出された。
桃屋は1920年創業という老舗で、現在の社長である小出雄二も3代目だ。そして、今日も子供から大人まで幅広い世代で身近な存在となっている。注目すべきは、ロングセラー商品を多く生んでいるという点である。特に「ごはんですよ!」は、のり佃煮においては絶対的な地位を確立しており、のり佃煮の代名詞と言っても過言ではない。
今回は、2016年6月30日放映のテレビ東京系『カンブリア宮殿』の放送に合わせて、昭和のロングヒットメーカーである桃屋と、「ごはんですよ!」「食べるラー油」といったヒット商品は生み出した良品質主義について見ていこう。
創業96年、ロングヒットメーカー桃屋の歴史
出典:www.youtube.com 1920年、上海の商学部を卒業した小出孝男氏によって創業された桃屋は、「花らっきょう」などの漬物を国内だけでなく海外にも輸出していた。その後、それまでの野菜路線だけでなく、フルーツ路線へと展開し、1932年にはフルーツ缶の輸出量1位に輝いた。その後も勢いに乗った桃屋は、順調に業績を伸ばしていった。
しかし、第二次世界大戦中、戦時統制化の企業合同によって、桃屋は他2社と東興食品合同会社を設立することとなった。戦後、欧米の食品メーカーによって、大量に安価なフルーツ缶が供給されることが予想されていたため、合併を解いた桃屋は、フルーツ缶以外の商品開発へと注力した。
そして1950年、多くのメーカーがサッカリンやアミノ酸醤油といった合成調味料を使っていた当時の食糧事情もあり、瓶詰めの海苔佃煮「江戸むらさき」の販売を開始するとすぐに大ヒットしたのだ。その後、大量販売するために工場の機械化を導入。「江戸むらさき」の改良版を生み出してはヒットさせた桃屋は、高度経済成長期である1963年に「ごはんですよ!」を発売。「ごはんですよ!」は「江戸むらさき」を超える一番人気の商品となった。
日本の食卓に笑顔を生む、桃屋の良品質主義とは
出典:www.wisegeek.com 桃屋が作った37の商品のうち、実に半数以上が昭和からのロングセラー商品である。こんなにも長い間、食卓に欠かせない存在として君臨している商品を生み出すことができるのはなぜなのだろうか。その秘密は、「良品質主義」という考え方を持つことである。
「良品質主義」とはその字のまま、品質の良いものを作るための考え方である。食材そのものの良品質主義だけではなく、得意先・仕入れ先・社員といった社会全体に対して、良品質な会社であることが重要だと桃屋は唱えている。
食品メーカーが味を重視するのは当然であるが、桃屋は一味違う。桃屋にとって味とは、食品・人・生活・文化の味を示すのだ。「生活の中で楽しいことを見つけて味わう気持ちを大切にすること」が桃屋流“味を大切にする”ということなのである。桃屋が掲げる「桃屋の3つの使命」をご紹介しよう。
桃屋の3つ使命
- 自然の恵みを大切に、安心安全で、おいしい商品を提供する。
- 伝統の食文化に新しい価値を添えて未来に継承する。
- 親しみと楽しさと感動を食卓に届ける。
桃屋代表取締役社長・小出雄二
【氏名】小出(桑原)雄二
【出身】栃木県真岡市
【出身大学】慶應義塾大学
【前職】味の素
【入社日】2011年4月
桃屋の創業者が小出孝男であることから、小出雄二を創業者の息子か孫だと思うだろう。しかし、小出雄二は、二代目の小出孝之の娘と結婚し、婿入りしたことにより姓が桑原から小出となっている。
そのため、小出雄二は味の素で25年以上働き、その後桃屋へ入社するという一見、不思議な経歴を持っているのだ。
【出身】栃木県真岡市
【出身大学】慶應義塾大学
【前職】味の素
【入社日】2011年4月
桃屋の創業者が小出孝男であることから、小出雄二を創業者の息子か孫だと思うだろう。しかし、小出雄二は、二代目の小出孝之の娘と結婚し、婿入りしたことにより姓が桑原から小出となっている。
そのため、小出雄二は味の素で25年以上働き、その後桃屋へ入社するという一見、不思議な経歴を持っているのだ。
そして小出雄二は、同じ食品メーカーである味の素での25年以上のキャリアもあってか、入社から半年で代表取締役社長に就任するというスピード出世を果たした。前職の味の素では、マーケティングや海外事業に取り組んでいたという。
創業以来、桃屋が守ってきた「良品質主義」という考え方を受け継ぎ、今日も日本の食卓を笑顔にする桃屋の社長として尽力している。「きざみにんにく」「きざみしょうが」といった日本らしい瓶漬けを発売するなど、従来の桃屋らしさは今後も失われることはなさそうだ。
桃屋は4年後の2020年には、創業100年を迎える。一世紀もの間、私たち日本人の食卓に寄り添う良品質な瓶漬けを提供することができた背景に、受け継がれる意思を感じずにはいられないだろう。味に固執しても不思議ではない食品メーカーだが、桃屋は生活の味そのものを変えようとしている。こうした考え方がロングセラーを多く生む秘訣なのだ。
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