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最新技術で実用化へ:「どこでもドア」「みえる電話」さらにドローンを使った新ビジネスがスタート

Mayuko Ono

2016/11/06(最終更新日:2016/11/06)


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最新技術で実用化へ:「どこでもドア」「みえる電話」さらにドローンを使った新ビジネスがスタート 1番目の画像
出典:mieru-denwa.idc.nttdocomo.co.jp
 通勤ラッシュ時の駅のホーム、電話での会話など、健常者が難なくこなす作業も障がい者にとっては困難な場合もある。そんな中、多くの企業は障がいを持つ人でも住みやすい世の中を作るために試行錯誤を繰り返している。

 今回は、皆が同じよう快適に生活するために開発された最新のサービスや、製品を紹介していこうと思う。

京急電鉄が設置する「どこでもドア」

 近頃、各鉄道会社でホームドアの設置を急ぐ背景には、相次ぐ転落事故を防ぐ狙いがある。2016年8月には、東京メトロ・銀座線の青山一丁目駅にて、盲導犬を連れた視覚障がい者が路線に転落し、電車に轢かれて亡くなる事故が起きた。同年10月16日にも近鉄大阪線の河内国分駅にて同様の事故が起こり、視覚障がいを持った男性が亡くなった。

転落経験約37%:転落を未然に防ぐホームドアの設置

 視覚障がい者の団体関係者が行った調査によると、視覚障がい者の約37%がホームからの転落経験があるという。また、日本盲人会連合と東京都盲人福祉協会が2016年9月に行った「転落事故を防ぐ最善策は?」というアンケートに対しての回答のトップがホームドアの設置であった。

 しかし、利用者数の多い3,500駅のうち、ホームドアを設置している駅は665駅。わずか2割程度しか設置されていないのが現状である。

「どこでもドア」が解決する設置問題

 ホームドアを設置すれば事故件数が減るのなら、早くドアを設置すれば良いのでは? と考える読者も多いだろうが、設置にはいくつかの問題が存在する。

ホームドア設置の問題点

  • ①設置費用の問題:一駅で数億~数十億の設置費用がかかる
  • ②車両数・ドア数の違い:車両の種類によってホームドアの開閉位置が合わない
 ①の設置費用の問題は、鉄道業者自治体で三分の一づつ負担することで費用の負担を軽減させ普及に向けるとしている。

 ②の問題の解決の鍵となるのが、2016年10月24日より、京浜急行の三浦海岸駅で実証実験が開始された「どこでもドア」と呼ばれる新しいタイプのホームドアである。
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出典:www.keikyu.co.jp
 2ドアと3ドアの電車が停車する駅の場合、ホームドアの開閉位置が合わず、設置が難しいとされていたが、三菱重工グループの三菱重工交通機器エンジニアリング株式会社が開発を進めてきた「マルチドア対応ホームドア」通称「どこでもドア」は、センサーがドアの位置を確認し自動でドアがある部分だけ開閉する仕組みになっている。この「どこでもドア」は三浦海岸駅で1年ほど実証実験を行い、実用化を目指すそうだ。

 また、ホームドアが設置されている駅は10年前は318駅だったのに対し、現在はその倍の665駅まで増えた。国は、東京オリンピック・パラリンピックが行われる2020年度までに、800駅まで増やしたいとしている。10万人以上が利用する駅を優先的に、JR京浜東北線の上野駅や赤羽駅などが近く導入予定であるという。

 駅ホームでの事故は視覚障害者に限らず、酒に酔った人や体調不良になった人も多いという点も忘れてはならない。

NTTドコモの新サービス「みえる電話」

 株式会社NTTドコモは2016年10月19日~2017年3月31日まで「みえる電話」の無料トライアルを実施することを発表した。

通話内容がリアルタイムで文字に

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 緊急を要する連絡や、お店の予約など、日常で電話を使う場面はまだまだ多い。そんな場面における耳の聞こえづらい人に向けたサービスが、NTTドコモの提供する「みえる電話」である。このサービスは、通話相手の発話内容をリアルタイムでテキスト表示することが可能であるそうだ。

 「みえる電話」の開発に携わっているNTTドコモのサービスデザイン部・河田隆弘氏によると、今年4月に施行された“障害者差別解消法”という法律がこのサービスの始まりだったという。その中で河田氏らが注目したのは、国の調査で全国に約36万人いるとされる聴覚障がい者だった。

 その後、河田氏らが行った独自の調査によると、聴覚障がいをもつ約350人のうち、58.1%もの人が「聴覚に障害があることで困ることは何か」という質問に「電話が必要な時」と回答したことが判明。この悩みを解決すべく「みえる電話」が誕生したという。

実際の使用者の声と実用化への課題

 すでにこのサービスはモニターで当選した人が試験的に使用している。この「みえる電話」を利用する際は、専用のアプリをインストールし、発行された電話番号を利用して通話することになる。

 実際に使用した人の体感としては、7割程度の発話内容を文字に起こすことができたそうだ。電話窓口の対応などは、おおよそ正確に文字変換されたものの、日常の会話やフランクな話し方だとその正確さは劣る部分がまだあるという。

 確かに、人によって話し方の特徴や言い回しも変わってくるため、そのすべてに対応できるようにするのは難しいと思われる。しかしながら、現在はまだ試験運用の最中であり、正式にサービス開始を来年度と予定しているNTTドコモには、まだ改善の余地があるだろう。

 発話の聞き取りの精度について開発者の河田氏は、基本は標準語での音声認識を想定しているが、「おおきに」などよく耳にする方言は文字としても認識する。また、一部の方言は標準語に変換される言葉もあるが、まだ数は少ないため、今後は精度を上げるようにしていきたいと言及している。

電話ネットワークを利用する買い物代行サービス

 2016年10月19日、MIKAWAYA21株式会社と株式会社エンルート、そして「みえる電話」のサービスも発表した株式会社NTTドコモは、携帯電話ネットワークを利用するセルラードローンを活用した「社会的課題解決を見据えた買い物代行サービス」の実証実験を福岡市内の離島にて2016年11月から行うことを発表した。

モバイル技術を駆使「ドコモ・ドローンプロジェクト」

 NTTドコモが発表した「ドコモ・ドローンプロジェクト」とは、ドコモの通信機能を搭載したセルラードローンへの取組について発表した。最近注目されているドローンビジネスだが、セルラードローンを活用したビジネスは日本初の試みであった。

 そもそもこのプロジェクトのセルラードローンとは、ドコモの携帯電話ネットワークを利用することで、リアルタイムのデータ伝送と機体の遠隔制御を可能にし、長距離での目視外運航を実現する。リアルタイムのデータ伝送は、位置情報などのモバイル技術を使って送信するという。

最新技術で社会的課題を解決へ

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出典:altertomorrow.net
 NTTドコモの提供するドローンのサービスは、子供からシニアまで豊かで安心して暮らせる社会の実現を目指していると述べている。実証実験では、福岡市内にある能古島と九州本島間の約2.5kmの飛行航路、および能古島島内を予定している。

 2016年11月から12月までの間に実証実験し、その後実験結果について様々な観点から評価を行い、2018年度を目標に商用化に向けた検討を行うと発表した。MIKAWAYA21、エンルート、NTTドコモの三社は、地域密着で社会的課題の解決に取り組み、ドローンビジネスの先駆けとなるべく、より安全でかつ日常的に使いやすいサービスの開発と実用化を目指すそうだ。


 新しい技術を取り入れたサービスや製品が発表されると、最新の技術や未来の可能性に胸を躍らされると同時に、自分が気に留めることのなかった社会に転がる諸問題に直面する。

 各企業が最新技術の実用化に向け実験、改善を繰り返しているが、これを機に、今や日常となった便利なサービスや製品も同じように試行錯誤されてきたこと、障がいを持つ人、子供やシニア世代がより住みやすい世のなかにするにはまだまだ多くの改善すべき課題があるということを再度実感して頂ければ幸いだ。

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