優れたアイディアは、天才にしか生み出せない一種の才能だと思っていませんか?
実は、世の中のクリエイティブなアイディアから生まれた作品に、完全なオリジナルなんてないのです。例えば、20世紀初めにキュビスムという独特な現代美術のジャンルを確立したパブロ・ピカソは、こんな事を言っています。
アイディアは盗むことで生まれる? そんな疑問が湧いてきましたね。今回ご紹介する『クリエイティブの授業』の原題は『STEAL LIKE AN ARTIST(訳:アーティストのように盗め)』であるように「盗む」ことから生まれるというユニークなアイディア発想法をテーマとした本です。では、詳しくみていきましょう。
オリジナルを作る意識を持たなくてもいい
冒頭でも引用したように、筆者は本書の中でさまざまなアーティストを取り上げ、独自のアイディア論を語っています。
筆者によればオリジナルなアイディアは存在せず、全ては過去のアイディアの蓄積がベースになっているのだそうです。むしろ、ゼロから新しいアイディアを発想しようとすると荷が重くなってしまうのだとか。オリジナルを意識せず、過去のアイデアを盗むというアイディア発想法こそが効率的なのです。
なんでも盗めばいいわけではない
優れたアイディアを生むためには、なんでも盗めばいいというわけではありません。アーティストはアイディアを収集する中で、「これこそ」というアイディアを取捨選択していたのです。
彼らはその後、「これこそ」と取捨選択したアイディアのルーツを辿っていきます。盗んだアイディアにもルーツがあるので、何を模倣して生まれたものなのかを系図にしていくのです。
その系図を、さらに模倣していくのです。この方法を活用すれば、あなたも系図の中にいる多くのアーティストの影響を受けて自然と発想力の幅が広がっていくでしょう。
模倣を超えた先に優れたアイディアが
アイディアを盗み、ルーツを辿り、模倣する。この流れはとても重要ですが、優れたアイディアを発想するには模倣の領域を超えなければなりません。
ただ模倣をするだけでは完璧にはなれません。模倣を繰り返して自分に足りないものが明らかになったとき、初めて自分の個性に気づくのです。そして、それを増幅させることが優れたアイディアへと繋がるのです。
本書は「盗む」ことからアイディアを発想し、そこに個性を付け加えていくことで優れたものを生み出すという非常にユニークなアイデア発想法の本です。著名なアーティスト達のアイディアにまつわる名言も多く引用されていて、それを読むだけでも"気づき"があります。気になった方はぜひ読んでみてください。
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