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見逃していると失敗する!企業が「メンター制度」を導入することで生じる問題点

Shingo Hirono

2014/05/17(最終更新日:2014/05/17)


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by IntangibleArts
 新入社員の教育に専属の人員を配置して、従来の人材教育とは異なる、きめ細かな指導を行う仕組みを「メンター制度」といいます。メンター制度を導入することで、より緊密な人間関係を作り上げることができ、新人の不満を上手に解決しながら、より良い教育を施すことができるでしょう。

 メリットが多いメンター制度ですが、運用には改善すべき課題やデメリットも存在します。マイナス要素を踏まえた上で活用の仕方を探らなければ、メンター制度は効果的な教育システムではなくなるでしょう。今回は、メンター制度を導入することで起こる、デメリットや問題点について紹介します。

管理責任者の無理解

 メンター制度では、新入社員と年齢の近い先輩社員が指導役を任命され、より身近な存在として仕事全般の面倒を見ることになります。この制度は一見、良いことづくめに見えますが、上司の側からすれば自分の人材育成能力を、否定されているように感じる制度であるとも言えるでしょう。

 実際に行われているのはあくまでもサポートであり、上司が人材育成の最終責任者である点は従来通りです。しかし、実質は人材育成業務を自分よりも、下の人間である先輩社員が担当することになるせいであり、新人教育に自信を持っている上司からしてみれば、自分の能力を否定されたように感じてしまうというデメリットがあります。
 
 この場合、上司がメンター制度に協力的な態度をとらないことが予想されるため、メンター制度を生かすためには、事前に対策を取っておくべきです。

 具体的な対策法としては、メンター制度の基礎となる研修プログラム作成に上司を参加させ、メンター制度の策定に上司を関与させる方法があります。このような方法をとることで、メンター制度が上司の頭を飛び越えて導入された制度ではなくなり、業務に対する一定の関与を上司に補償することができるでしょう。現場レベルでの実務管理ではなく、業務運営に関する管理権限のみを、上司に与えるのも有効な対策法です。

指導役に過大な負担がかかる

 メンター制度では、指導役となる先輩社員が成功のカギを握ります。指導役の能力によって、新人教育の結果が大きく変わるわけですから、やりがいのある仕事ではありますが心身に大きな負担がかかることになるでしょう。

 もし、指導役が仕事に行き詰ったり心身の健康を損なったりしてしまうと、指導役が続けられなくなってしまった場合、メンター制度を維持することが難しくなってしまいます。

 この問題点を解決するには、メンターの人数を増やしてチームで指導に当たる、一部の職場にメンター制度を先行導入して運用マニュアルを作成する、上司が積極的にサポートして指導役の負担を軽くする、などの解決策が考えられるでしょう。指導役の存在によって効果が決まるメンター制度ですから、指導役に対する会社側のサポートが重要になります。


 メンター制度にはいくつかの問題点もありますが、上手に対処すれば大きな成果が期待できる人材育成法です。問題点を踏まえた上で適切な対処をすることが、メンター制度を成功させるために求められる努力になります。

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