成果主義はわかりやすい方法です。成果・結果を残した場合には、その分だけ給与に反映されます。やればやっただけ自分の給与がよくなるわけです。ところが、日本の企業であまり成功した事例は聞きません。むしろ失敗談のほうが多いのが現状です。今回は、日本において成果主義が失敗する要因について考えてみましょう。
欧米との組織構成の違い
欧米ではポジションで期待されること、目的が明確である一方で、日本は比較的曖昧です。欧米の場合では、課長職であるならば、職務はこれをすべきと決まっています。そして、それに応じた給与レンジが決まっています。極端に言えば、自分のミッション以外の仕事はやる必要がないのです。
ところが、日本の場合は、欧米と比べれば職務は漠然としています。大体、こういうことが役割」といった感じですから、課や部で不足の事態が生じた場合に、皆で分担してその不足分を埋めます。
これは、どちらが優れている劣っているという話ではありません。どちらにもメリットとデメリットがあります。しかし、成果主義という観点から考えた場合、日本の場合は、職務に対する定義付けが不明瞭な分、成果主義にはふさわしくないのです。
根深く残る終身雇用・年功序列制度
日本は高度成長期に終身雇用制・年功序列の制度で会社を発展させてきました。そこに、成果主義を導入した企業が、これまでの制度をすべて撤廃し、成果主義を導入した企業があったでしょうか。ほとんどの場合は、過去の制度に一部、成果主義部分を導入したということなのです。
これによって、成果主義ともいえども本当に成果を発揮できる環境になっていないのです。たとえば、昇進に関しては、ある程度の会社は仕組みを構築しています。たとえば、課長になるまで最低何年といったことが決まっているわけです。これがある以上、抜擢人事はできません。
また、抜擢人事があったとしても、ポジションや給与はそのままでミッションだけが重くのしかかるということが多々あります。ポジションと権限がない人間を上に立たせても、本人の力だけではどうにもならないこともあるのです。そういった意味で、成果主義として、成果を上げさせることができる仕組みができていないのです。
根本的な問題とは
成果主義には評価が絶対必要なものです。ですが、成果をどうやって計測するのかが曖昧になっていることがあります。営業マンであるならば、売上数字などわかりやすいものがあるでしょう。
しかし、事務などでの仕事の成果とは何でしょうか。これは定義ができないと思います。そして、この評価を、上司の主観的な評価に頼っているのが現状なのです。
ここまで、日本において成果主義を導入した企業が失敗した要因を考えてきました。成果主義を悪く言う人は、「社員の給与を上昇させないための施策」と言います。せっかく成果主義を導入するのならば、中途半端な形ではなくきちんと活用される制度にしていきましょう。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう