仕事で何かのプロジェクトを推進するときに、自らがリーダーシップをとっていかなければならない場面があるでしょう。しかし、そういう場面になってもどうリーダーシップをとればいいのか分からなくては、プロジェクト全体が路頭に迷うことなります。そこで、そういう場面に陥った時でも慌てないリーダーシップのあり方を歴史上の人物から学んでみようと思います。
1. 呉起:部下の心をつかむリーダー
呉起は紀元前4世紀ごろの中国の軍人で、『孫子』と並ぶ兵法書『呉子』の作者とも言われている人物です。彼には次のような逸話があります。
呉起は将軍として戦場にあっても、自分を特別扱いさせず、一般兵士と寝食をともにしていました。ある兵士が傷を負い、その傷が膿んでしまったとき、呉起が自らその兵士の膿を吸い出してやりました。この話を聞いた兵士の母親は「息子は将軍のために命をかけて戦うだろう」と息子が無事に帰らぬことを予感して涙したといいます。
呉起の行動は本心からだったのか、人の心を掴むテクニックとして行っていたのかわかりません。しかし、リーダーとして部下の間に入り、膿を吸うまでとはいかなくても親身になって部下と接していれば、いざチームとして仕事を行うときに強いリーダーシップを発揮できるでしょう。
2. 劉備:部下の信頼を得るリーダー
言わずと知れた『三国志』の主人公・劉玄徳は、歴史上の人物というよりは、小説としての「演義」のキャラクターとしてのほうが有名です。有名な「三顧の礼」の故事では、諸葛亮を軍師に迎えるにあたって、自ら3度足を運び重い孔明の腰を上げさせました。
また、曹操に追われる逃亡の途中、命がけで劉備の子を救った趙雲に対し、自分の子をなげうち「わが子のせいで、大切な将軍を失うところだった」といい労いました。
劉備は自分よりも部下や民衆を優先して信頼を得たリーダーです。昨今は仕事のことより家族のことなどを優先するほうが正しいようなことも言われますが、そんな風潮だからこそ、自分の都合は脇において、仕事や部下のことを優先するように努めれば、リーダーとしての信頼を得て、一丸となれるでしょう。
3. 織田信長:部下のやる気を奮い起こすリーダー
「桶狭間の戦い」において、信長は戦場へ向かう途中にあった熱田神社で戦勝祈願を行い、占いをして「我が方が勝つと出た」というパフォーマンスで圧倒的な戦力差に勝利への疑いをもっていた兵の士気を上げてから攻め込み、今川を討ち果たしました。
信長自身は神仏を敬うような人物ではありませんでした。ですから、戦勝祈願やコイン占いは、信長自身が信じて行ったわけではありません。それよりも、兵士の気持ちを奮い起こすために行ったと見るのが正しいでしょう。
現代では占いをしたところで部下の心は奮い立たないと思います。しかし、重要なのは「勝利への確信」のようなものを持たせることです。プロジェクトの先行きが見えない、成功を信じられないという部下に対して、道を指し示し、成功への確信を与えるようなリーダーシップを取れれば、部下はそれに向かって邁進するはずです。
以上見てきたように、リーダーシップにもいくつかのパターンがあります。しかし、歴史上の人物のリーダーシップに共通しているのは、部下の心理に働きかけるということです。部下の心を見て対応するというのは、現代でも重要なリーダーのあり方であり、「極意」ともいえます。
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