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マーケティング戦略の一種としての「プロダクトアウト」が持つ意味と役割

Shingo Hirono

2014/04/12(最終更新日:2014/04/12)


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by stefan.erschwendner
 「プロダクトアウト」とは、マーケティング用語の一つであり、マーケティングにおける戦略の一種です。プロダクトアウトを経営に導入することでイノベーションが活性化され、新たな顧客を想像し市場を切り開く効果が期待できます。

 しかし、プロダクトアウトには潜在的に抱える問題点もあるのです。メリットとデメリットを正確に理解しなければ、プロダクトアウトを活用することは不可能と言えるでしょう。今回は、マーケティング用語としての「プロダクトアウト」の意味について解説します。

プロダクトアウトとは提供者主体のマーケティング戦略

 プロダクトアウトとは提供者主体のマーケティング戦略を指します。通常のマーケティングでは顧客調査や市場リサーチなどの手段を用い、顧客が潜在的に持っている欲求にこたえる商品の開発・販売を目指します。この仕組みが「マーケットイン」と呼ばれているのです。

 プロダクトアウトにおける販売戦略は、マーケットインの様な顧客主体のものではなく、提供者である企業が主導して販売戦略が実行されます。プロダクトアウトでは企業が有する技術力に応じた製品が生み出され、企業側の都合によって販売戦略が決定されるのです。市場ニーズよりもオーバースペックの性能を持った新製品の開発や、顧客の訪問が困難な山の中に建つ秘境のレストランなどは、顧客側のニーズから導き出された販売戦略ではなく、提供者である企業の都合によって選択された販売戦略の一例と言えるでしょう。

プロダクトアウトがイノベーションを生み出す

 マーケットインの戦略では、企業は顧客のニーズを調査しその欲求を満たすような商品を開発することで業績アップを目指します。この時提供される商品は顧客のニーズにこたえるような商品ではありますが、顧客の予想範囲の中にある商品にすぎません。

 それに対し、プロダクトアウトの戦略で生み出される商品は、顧客の予想を超えた画期的な製品である可能性を有します。顧客のニーズにこたえることを目的とした商品は、言い方を変えるならば常識にとらわれた製品でもあるのです。プロダクトアウトの販売戦略をとることで、従来の常識にとらわれない型破りな商品を開発することが可能になり、現状を打開するイノベーションを生み出すきっかけとなるでしょう。

プロダクトアウトが独自性を生み出す

 顧客のニーズはそれほど多様性のあるものではないため、利益を最大化する商品開発をマーケットイン戦略で開発する場合、どの企業も似たような商品を開発することになってしまいます。その結果として性能の優劣が少なくなり、市場における競争優位性の確保が難しくなってしまうでしょう。

 プロダクトアウトの販売戦略では、企業側のコンセプトや目標に基づいた商品開発が行われるため、市場の声に影響されない独自性を持った商品を開発することが可能になります。プロダクトアウトが正しく実行されれば企業の独自性が最大限に発揮され、特別な存在としてのブランディングが実現するのです。


 プロダクトアウトは慎重に実行しないと企業側の独善的な商品開発が行われてしまう危険性があります。提供者側が主体となって活動していく場合でも、顧客の声を無視していては意味がありません。

 提供者の都合を最大限に発揮することで顧客を創造するのがプロダクトアウトの意味であり、目指す目標です。プロダクトアウトはただのわがままではなく、マーケティングの一種であることを忘れないでください。

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