6割が理解していない「原状回復」の意味。「画びょうやピンの穴=入居者負担」が最も多い勘違い!
事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULL(ライフル)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:井上高志、東証プライム:2120)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」は、5年以内に賃貸物件から引越しをした1,075名に調査を実施し、「退去費用は入居者負担?間違えがち項目ランキング」を発表します。
LIFULL HOME'S PRESS記事:https://www.homes.co.jp/cont/press/report/report_00341
引越しシーズンになると毎年話題になる「退去費用トラブル」。基本を知っておけばトラブルは防げる!
2月から3月は新生活に向けて引越しをする人が増える時期です。そんな引越しシーズンに毎年SNS等で話題になるのが「退去費用にまつわるトラブル」。
国土交通省は賃貸物件の退去時における原状回復をめぐるトラブルを未然に防ぐことを目的に、原状回復の費用負担のあり方などをまとめた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(※、以下「ガイドライン」)を公開しています。ガイドラインを把握していれば納得感をもって退去費用を負担することができますし、減額交渉をすることもできます。しかしながらガイドラインを読み込んで理解するのもなかなか大変。そこで、5年以内に賃貸物件から引っ越した1,075名にアンケートを実施し、特に間違いが多かったものをランキング化することで、特に注意すべきポイントを明らかにしました。
※:国交省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)https://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf
退去費用について過半数が「納得がいかなかった」。交渉をして減額になったケースも。
「賃貸物件の退去費用について納得はいきましたか?」という質問に対し、「納得がいかなかった」と回答したのは過半数の51.6%となりました。そのうち10.9%は「納得がいかず交渉をして減額となった」と回答しており、提示額はそのまま飲み込まなければならないもの、という訳ではないようです。
賃貸契約で発生する「原状回復義務」。意味を理解できているのは約4割。
賃貸物件を借りると、入居者(借主)には「原状回復」義務が生じます。ガイドラインでは「貸借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、貸借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による消耗・毀損を復旧すること」と記載されており、わざと壊したり、不注意で傷をつけたり、掃除を怠ったりしてできた汚れなど、入居者の使い方に問題があったことでできた汚れや傷の修繕費用を入居者が負担すると定義されています。
しかしながら「原状回復」という言葉の意味について、最も考えに近いものを選んでもらったところ、最も多かった回答が「借りた当初の状態に戻すこと」(48.2%)で、正しい理解をしている人は42.7%と半数にも届きませんでした。
【入居者(借主)が負担しなくて良い費用編】間違えがち項目TOP10:1位は「画びょうやピンの穴」
まず、入居者が負担しなくて良い(貸主負担とされる)各項目について、正解率(「貸主負担」と回答した割合)が最も低かったのは「ポスター等を貼ったことによる画びょうやピンの穴」(正解率33.4%)でした。また、「家具を設置してできた床やカーペットのへこみや跡」(正解率39.6%)、「冷蔵庫設置による壁焼け」(正解率43.9%)、「エアコンを設置したことでできた穴や跡」(46.1%)、「水漏れが発生したエアコンの修理・交換代」(46.9%)は正解率が半数を割り込みました。
ポスターやカレンダー等の掲示は、通常の生活において行われる範疇のものとされ、壁の下地にまで達しない画びょうの穴は通常の損耗と考えられます。一方で、釘やビスなどを壁に打ち込んだ場合の補修費用は、入居者負担になります。「家具を設置してできた床やカーペットのへこみや跡」や「冷蔵庫設置による壁焼け」も同じく通常の損耗範囲であり、貸主負担が基本です。また、入居者が購入したエアコンを設置した場合でも、設置に伴って生じた壁のビス穴や設置跡については、生活必需品の使用に伴ってできた通常の損耗と考えられ、修繕する場合には貸主負担になります。「水漏れが発生したエアコンの修理・交換代」は貸主負担ですが、それにより床や壁が腐敗した場合の修繕費は入居者が負担する義務がありますので注意が必要です。
【入居者(貸主)が負担しなければならない費用編】間違えがち項目TOP10:1位は「専用庭の雑草処理」
続いて、入居者が負担しなければならない(借主負担とされる)各項目について、正解率(「借主負担」と回答した割合)が最も低かったのは「専用庭の雑草処理」(正解率27.8%)でした。また、「雨の吹き込みによる床の色落ち」(正解率38.0%)、「(物件構造に起因しない)結露によるカビ・シミ」(正解率41.0%)、「エアコンの水漏れによる床の傷み」(正解率41.4%)、「水回りの水垢やカビ」(48.2%)は正解率が半数を割り込みました。
借りた物件に専用庭が付いている場合、庭の管理責任は入居者となります。民法で定められている「善管注意義務」を賃貸物件に当てはめると、「入居者は一般常識に則り、注意しながら借りている物件を保存しなければならない」ということになり、退去時に雑草が生い茂っている場合にはその処理費用は入居者負担となります。また、「雨の吹き込みによる床の色落ち」、「結露によるカビ・シミ」、「エアコンの水漏れによる床の傷み」いずれも放置したことで拡大した被害を賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合等はすべて賃借人(入居者)の負担とされています。なお、明らかに物件の構造に問題がある場合などは退去費用を払う必要がない可能性もあり、被害を見つけた際には早急に貸主に報告を行うことが重要と言えそうです。
※費用負担は契約内容によって変わる可能性があります。賃貸契約時・退去時には必ず契約書をご確認ください。
LIFULL HOME'S PRESS編集部 渋谷雄大(しぶやたけひろ)のコメント
退去トラブルを防ぐには入居時の対応が大切
2020年に民法が改正され、原状回復の義務は「賃借人(入居者)の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りではない」ことが明文化されました。しかし依然としてトラブルは絶えず、国民生活センターには原状回復に関する相談が毎年1万3,000~1万4,000件程度寄せられています。これは賃貸住宅に関する相談の約4割に当たります。
トラブルの多くは、退去時の費用に納得できないことで起こることから、つい退去時の問題と思いがちですが、実は入居時から始まっている問題でもあります。例えば、入居時に既にある傷や損耗などを撮影して記録に残しておいたり、原状回復に関する不明点をしっかり質問し、双方が納得したうえで契約を結ぶようにしたり、入居時の対応次第で防げるトラブルは多くあります。
このように、退去予定がある人はもちろん、これから賃貸物件で新生活を始めるという人にこそ意識していただきたいテーマです。ぜひ「原状回復は通常使用を超える部分」と「原状回復トラブル防止は入居時から」を合言葉に、入居から退去まで幸せな賃貸住宅ライフを送っていただきたいと思います。
調査概要
期間:2023年12月15日 ~ 2023年12月18日
調査対象者: 5年以内に賃貸物件から引越しをした人(「不動産業」を除く)
調査方法:インターネット調査
有効回答数:1,075人
※小数点第二位を四捨五入しているため、合計が 100%にならない場合があります。
LIFULL HOME'S について(URL:https://www.homes.co.jp/)
LIFULL HOME'Sは、「叶えたい!が見えてくる。」をコンセプトに掲げる不動産・住宅情報サービスです。賃貸、一戸建て・マンションの購入、注文住宅から住まいの売却まで。物件や住まい探しに役立つ情報を、一人ひとりに寄り添い最適な形で提供することで、本当に叶えたい希望に気づき、新たな暮らしの可能性を広げるお手伝いをします。
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LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、個人が抱える課題から、その先にある世の中の課題まで、安心と喜びをさまたげる社会課題を、事業を通して解決していくことを目指すソーシャルエンタープライズです。現在はグループとして世界63ヶ国でサービスを提供しており、不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」、空き家の再生を軸とした「LIFULL 地方創生」、シニアの暮らしに寄り添う「LIFULL 介護」など、この世界の一人ひとりの暮らし・人生が安心と喜びで満たされる社会の実現を目指し、さまざまな領域に事業拡大しています。
事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULL(ライフル)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:井上高志、東証プライム:2120)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」は、5年以内に賃貸物件から引越しをした1,075名に調査を実施し、「退去費用は入居者負担?間違えがち項目ランキング」を発表します。
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引越しシーズンになると毎年話題になる「退去費用トラブル」。基本を知っておけばトラブルは防げる!
2月から3月は新生活に向けて引越しをする人が増える時期です。そんな引越しシーズンに毎年SNS等で話題になるのが「退去費用にまつわるトラブル」。
国土交通省は賃貸物件の退去時における原状回復をめぐるトラブルを未然に防ぐことを目的に、原状回復の費用負担のあり方などをまとめた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(※、以下「ガイドライン」)を公開しています。ガイドラインを把握していれば納得感をもって退去費用を負担することができますし、減額交渉をすることもできます。しかしながらガイドラインを読み込んで理解するのもなかなか大変。そこで、5年以内に賃貸物件から引っ越した1,075名にアンケートを実施し、特に間違いが多かったものをランキング化することで、特に注意すべきポイントを明らかにしました。
※:国交省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)https://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf
退去費用について過半数が「納得がいかなかった」。交渉をして減額になったケースも。
「賃貸物件の退去費用について納得はいきましたか?」という質問に対し、「納得がいかなかった」と回答したのは過半数の51.6%となりました。そのうち10.9%は「納得がいかず交渉をして減額となった」と回答しており、提示額はそのまま飲み込まなければならないもの、という訳ではないようです。
賃貸契約で発生する「原状回復義務」。意味を理解できているのは約4割。
賃貸物件を借りると、入居者(借主)には「原状回復」義務が生じます。ガイドラインでは「貸借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、貸借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による消耗・毀損を復旧すること」と記載されており、わざと壊したり、不注意で傷をつけたり、掃除を怠ったりしてできた汚れなど、入居者の使い方に問題があったことでできた汚れや傷の修繕費用を入居者が負担すると定義されています。
しかしながら「原状回復」という言葉の意味について、最も考えに近いものを選んでもらったところ、最も多かった回答が「借りた当初の状態に戻すこと」(48.2%)で、正しい理解をしている人は42.7%と半数にも届きませんでした。
【入居者(借主)が負担しなくて良い費用編】間違えがち項目TOP10:1位は「画びょうやピンの穴」
まず、入居者が負担しなくて良い(貸主負担とされる)各項目について、正解率(「貸主負担」と回答した割合)が最も低かったのは「ポスター等を貼ったことによる画びょうやピンの穴」(正解率33.4%)でした。また、「家具を設置してできた床やカーペットのへこみや跡」(正解率39.6%)、「冷蔵庫設置による壁焼け」(正解率43.9%)、「エアコンを設置したことでできた穴や跡」(46.1%)、「水漏れが発生したエアコンの修理・交換代」(46.9%)は正解率が半数を割り込みました。
ポスターやカレンダー等の掲示は、通常の生活において行われる範疇のものとされ、壁の下地にまで達しない画びょうの穴は通常の損耗と考えられます。一方で、釘やビスなどを壁に打ち込んだ場合の補修費用は、入居者負担になります。「家具を設置してできた床やカーペットのへこみや跡」や「冷蔵庫設置による壁焼け」も同じく通常の損耗範囲であり、貸主負担が基本です。また、入居者が購入したエアコンを設置した場合でも、設置に伴って生じた壁のビス穴や設置跡については、生活必需品の使用に伴ってできた通常の損耗と考えられ、修繕する場合には貸主負担になります。「水漏れが発生したエアコンの修理・交換代」は貸主負担ですが、それにより床や壁が腐敗した場合の修繕費は入居者が負担する義務がありますので注意が必要です。
【入居者(貸主)が負担しなければならない費用編】間違えがち項目TOP10:1位は「専用庭の雑草処理」
続いて、入居者が負担しなければならない(借主負担とされる)各項目について、正解率(「借主負担」と回答した割合)が最も低かったのは「専用庭の雑草処理」(正解率27.8%)でした。また、「雨の吹き込みによる床の色落ち」(正解率38.0%)、「(物件構造に起因しない)結露によるカビ・シミ」(正解率41.0%)、「エアコンの水漏れによる床の傷み」(正解率41.4%)、「水回りの水垢やカビ」(48.2%)は正解率が半数を割り込みました。
借りた物件に専用庭が付いている場合、庭の管理責任は入居者となります。民法で定められている「善管注意義務」を賃貸物件に当てはめると、「入居者は一般常識に則り、注意しながら借りている物件を保存しなければならない」ということになり、退去時に雑草が生い茂っている場合にはその処理費用は入居者負担となります。また、「雨の吹き込みによる床の色落ち」、「結露によるカビ・シミ」、「エアコンの水漏れによる床の傷み」いずれも放置したことで拡大した被害を賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合等はすべて賃借人(入居者)の負担とされています。なお、明らかに物件の構造に問題がある場合などは退去費用を払う必要がない可能性もあり、被害を見つけた際には早急に貸主に報告を行うことが重要と言えそうです。
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退去トラブルを防ぐには入居時の対応が大切
2020年に民法が改正され、原状回復の義務は「賃借人(入居者)の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りではない」ことが明文化されました。しかし依然としてトラブルは絶えず、国民生活センターには原状回復に関する相談が毎年1万3,000~1万4,000件程度寄せられています。これは賃貸住宅に関する相談の約4割に当たります。
トラブルの多くは、退去時の費用に納得できないことで起こることから、つい退去時の問題と思いがちですが、実は入居時から始まっている問題でもあります。例えば、入居時に既にある傷や損耗などを撮影して記録に残しておいたり、原状回復に関する不明点をしっかり質問し、双方が納得したうえで契約を結ぶようにしたり、入居時の対応次第で防げるトラブルは多くあります。
このように、退去予定がある人はもちろん、これから賃貸物件で新生活を始めるという人にこそ意識していただきたいテーマです。ぜひ「原状回復は通常使用を超える部分」と「原状回復トラブル防止は入居時から」を合言葉に、入居から退去まで幸せな賃貸住宅ライフを送っていただきたいと思います。
調査概要
期間:2023年12月15日 ~ 2023年12月18日
調査対象者: 5年以内に賃貸物件から引越しをした人(「不動産業」を除く)
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