例えば営業職などの場合、口下手よりは会話が軽妙で流暢にしゃべる人のほうが向いていると思われがちです。口下手で、会話が苦手な人は営業にしても商談にしても、仕事をするにはマイナスだと見られてしまうのが普通だと思うでしょう。
しかし、口下手であってもそのプラス面を見つけて伸ばすことができれば、逆に武器として活かすこともできるのです。では、口下手であることのプラス面とは何なのでしょうか?
1. 純朴に見られる
口下手の人が、口下手ながら訥々(とつとつ)と喋る様子には、世間ずれしていない純朴さが表れます。終戦後、吉田茂首相の側近として知られた白洲次郎はイギリスに留学していたことがありますが、そこで交流があったイギリス人について、あまりに口が立つ人はイギリス人は信用しようとしない傾向があるので、わざと言葉を選んで口ごもることがあると言っているのです。
喋りがうまい人は、あまりにうますぎるとその言葉に真実がないように見られてしまうことでしょう。逆に、口下手で言葉を選びながら話す人には「うまく口車にのせてやろう」という雰囲気とは無縁ですので、その分口下手ながらも言いたいことをきちんと伝えようとする姿を見せれば、それが信用につながるという強みがあるのです。
2. 一生懸命さが伝わる
日本人は同じことをするにしても、簡単に流して行うよりも一生懸命躓きながらも行っていく方を好むのです。実のところ、能力としては軽く流して行える人のほうが上でしょう。しかし、見た感じの一生懸命さのほうが評価が高くなってしまうという風潮は確かにあります。
口下手というのは、実際のところ話す技術は劣っているわけです。しかし、劣っているなりに一生懸命伝えようとする姿は、特に年配の人の心に訴えかけるものがあるはず。
ただし、口下手でも言っていることがいい加減であれば、この効果はなくなり、ただ話が下手な人という印象しか与えられません。ですから、仕事に関することについてはしっかり頭に入れておき、下手な愛想を言わないようにし、伝えるべきことの最低限をまじめに伝えるという心がけが必要になります。
3. 聞き上手になれる
口がうまい人というのは、他者が喋っているときにも横から口を差し挟みたがるという欠点を併せ持っている場合が多いです。喋っている横から口を入れるというのは、心象を悪くしてしまうというマイナス面があります。仕事で顧客と話すというようなときは尚更でしょう。
逆に、口下手な人は人が喋っている時にあえて口を挟むということはできないため、相手の話を遮って気分を害することもありません。ただし欠点として、相手が話しに任せて自分が言うべきことまで言えなくなってしまうということがあるので、相手の言葉の切れ目を見つけて、言うべきことだけは言うという訓練はしておいたほうがいいでしょう。
口下手だからといってまじめとは限りません。しかし、口下手で不真面目ではまったく使えません。口下手でも、それを仕事に活かしたいというのであれば、仕事に対しては真面目に、話す相手に対しては謙虚にという心がけを忘れるべきではありません。口下手であることを活かして、相手に対して自分を低く見せることができれば、引け目を感じることなく、精神的に優位に立てるはずです。
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