corporate social responsibility略してCSR(企業の社会的責任)という言葉とともに、最近よく聞かれるようになった「ステークホルダー・エンゲージメント」というものがあります。意味がよくわからないという人は少なくないでしょう。ここでは、ステークホルダー・エンゲージメントというビジネス用語の解説をしていきます。
ステークホルダーとは
日本語では利害関係者というように訳されます。つまり、企業であれ行政であれ直接・間接的な利害関係のあるもののことを指します。具体的には、「顧客・社員・株主・債権者・仕入先・得意先・地域」などのことです。
会社は、さまざまな団体や組織と関わりを持っています。お得意様がいなければ利益を得られないのはもちろん、その先のエンドユーザーや、仕入れ先や商品メーカー、属する地域社会や従業員に支えられ、時に支え、相互に影響し合って日々過ごしています。こうした関係性をもつものすべてが「ステークホルダー」です。単なる売り上げや仕入れ高での粗利や純利益といった話ではなく、もっと間接的な利害をも含めて「利害関係者」とするわけです。
エンゲージメントとは何か
婚約指輪を「エンゲージリング」と言ったりするのをご存知でしょうか。エンゲージとは、「愛着」というニュアンスでとられます。つまり、企業に対する忠誠心や、ブランドに対する愛着や親近感、一体感というような、深い関係性にある状態を指しています。
商品そのものの有用性や好意というものを越えた「きずな」や「結びつき」のようなものを言いますが、最もしっくりくるのが「愛着」です。エンゲージされた顧客は、ちょっとしたことでは他社に乗り換えません。
ステークホルダー・エンゲージメント
直接的に言うと「利害関係者に愛着を持たすこと」ということになります。具体的に企業が行っている例を挙げると、社会的な活動であったり、顧客やエンドユーザーとの直接的な対話だったり、ポリシーや、社会的責任事項についてのアピールだったりと様々です。これは、普通の営業とは異なっています。
ステークホルダー・エンゲージメントは、その組織が社会的にどのような役割を担い、果たしているかということを示すことが非常に重要なのです。そのためには、企業を取り巻くすべての利害関係者と対話し、相互に意見を交わしあい、一体感を持っていくことが大事です。「みんなで社会を作り上げていくという感覚を持つ」というようにも言うことが出来ます。
ステークホルダー・エンゲージメントが重要なのは
こうしたビジネス用語を聞くと、どうしても専門的で会社の運営にかかわる人間だけに必要な言葉に聞こえます。しかし、この用語は「働くことの意味」にもかかわってきます。
その会社で働くことが、社会的にどんな役割を果たすのか。エンドユーザーから得た意見を、従業員にフィードバックすると、従業員は自分たちの仕事に誇りを持つようになります。これもまた、ステークホルダー・エンゲージメントの一部になります。「なぜ、なんのために働くのか」を問うとき、この考え方はとても大切になるのです。人にも「愛着が持てる人」「なくてはならない人」がいるでしょう。その組織の存在自体が、社会の中で大きな意味を成すような状況を作り上げていく過程で「ステークホルダー・エンゲージメント」は必要不可欠なのです。
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