HOMECareer Runners 大手新聞紙の記者がVTuberになるまでーーマスコミ業界は今後どうなる?:フリージャーナリスト・宮原健太氏インタビュー【Part4】

大手新聞紙の記者がVTuberになるまでーーマスコミ業界は今後どうなる?:フリージャーナリスト・宮原健太氏インタビュー【Part4】

菓子翔太

2023/11/16(最終更新日:2023/11/20)


このエントリーをはてなブックマークに追加

毎日新聞社で首相官邸や立憲民主党、外務省などの政治取材に携わり、現在はフリーランスの政治ジャーナリストとして活動する宮原健太さん(31)。

文春オンラインやプレジデントオンラインなど雑誌やウェブメディアで政治動向を伝える記事を執筆しているほか、“記者VTuber”ブンヤ新太としても活動しています。

インタビュー最後となる今回は、大手新聞社の政治記者だった宮原さんが、どうしてフリーランスとなり、さらにはVTuberとなったのかを聞いていきます。

これまでに宮原さんに行ったインタビュー記事はこちら(↓)から

ビジネスで政治を知ることが大事なワケ 政治ジャーナリスト・宮原健太にイチから聞いた【Part1】

政治のニュースってどう見たらよいの? 政治ジャーナリスト・宮原健太にイチから聞いた【Part2】

「個人が行動したって政治は変わらない?」と政治ジャーナリストに聞いてみたら【宮原健太氏インタビュー・Part3】

20年後には新聞がなくなる?

―――宮原さんは、2015年に毎日新聞社に入社して、今年2月に独立しました。なぜフリーランスになろうと思ったのか教えてください。

新聞の発行部数は、どんどん減っています。

2012年から2022年にかけて、一般・スポーツ紙合わせて全体で1,700万部ぐらい減っているんですが、単純計算だと、あと20年経ったらゼロになっちゃうんですよ。要するに新聞業界は厳しいんです。

ユーザーが新聞を購読する代わりにネット上で有料会員となってくれているのならば問題がありません。しかし、残念ながら新聞社は有料会員を獲得できていない状況にあります。

その根本的な原因は、ニュースがそのまま商品としては売れない時代になっていることです。

Yahoo!ニュースなどに無料の情報があふれてしまっているので、読者に「情報を買う」というマインドがない状態になっています。

ただ、マスコミは情報を売らなきゃいけません。そこで、どうすればいいのかを考えると、“ファンベース(の考え方)に舵を切らないといけないんじゃないか”と言われています。

つまり、情報を売るだけじゃなくて、読者にその媒体、あるいはその発信者のファンになってもらうという考え方です。

私は、これからは報道もファンベースで売っていかなくてはいけないという考え方に共感していたので、会社に籍を置いていたときからYouTuberとして活動し始めました。

これからのメディアはファンベースがますます大事に?

記者っていろいろな面白い体験をしているんだから、記者が運営するオンラインサロンのようなものを、進めていった方がいいんじゃないかとも思っていたんですよね。

ただ、オンラインサロンが流行してから3、4年が経っていますが、新聞社はそれすらできていない。これでは動きが遅すぎます。

ニュースが売れない、だけど、ただ記事をつくっていくというマンネリ化した状況が続いているんですよね。

(毎日新聞社で記者をしていた時代、)ある程度自由にはさせてくれたので、頑張って僕はYouTubeやTwitter(当時。現在はX)などで発信していたんですが、「もう会社から離れて、独り立ちして走っていった方が面白いんじゃないかな」って思ってしまったんです。

会社員である以上、会社の仕事が第一。一方で、フリーランスになると、YouTubeのほか、出版社などに対しても、どうやって自分の持っている情報を売り込んでいくのかが大事です。

これから、いろんなメディアが組織を正社員だけでは維持できなくなって、契約社員やフリーランスの集まりになっていくんじゃないかなと見ています。

そうなったときに備えて、私は今の段階から個人として活動して、フリーランスとしての力を身につけていった方が10年後に(自分の)強みが出てくると思ったんです。

―――どうして新聞社で契約社員が増えていくとみているんですか?

私の経験からです。

(2015年~2018年に)地方支局にいたとき、(支局員のうち)1人は契約社員だったんです。毎日、地域面を記事で埋めなきゃいけないなかで、正社員の記者を受け入れる余裕がないから、“エリア記者”と呼ばれる人を雇用していたんですよ。

新聞社では、それが地方支局で広がっているんです。(今後)東京もそうなる可能性は否定できません。

少しは(正社員の記者も)残ると思うんですけど、ネットメディアなどでは、その比重が増してくるでしょう。

新聞記者⇒VTuberに

―――出版業界も厳しいですよね。

きついですね。いまはマンガ(デジタルコミック)でしかもうけられないと聞きます。

そうなると、マンガが強い出版社以外は厳しいでしょう。つぶれていく雑誌も多いと思います。

―――フリーランスになるにあたって不安はなかったですか。

本当はもっと不安を感じるべきだったんですけど、もう勢い余って辞めちゃったんで(笑)。

今は、やっぱりフリーって大変だなと実感しています。税金も自分で払わなきゃいけなくなるし、収入も半分以下に落ちたので。

―――ファンを付けていくうえで、最近はVTuberとしてもデビューされましたね。

記者VTuber・ブンヤ新太

ネット上では、もう完全にそっちの方が伸びると思ったからです。YouTube、X、noteも、(「宮原健太」から)VTuberの「ブンヤ新太」に筆名やアカウント名を変えました。他の媒体に記事を書くときは本名が掲載されているんですけど(笑)。

(今後、VTuberとして)頑張って伸ばしていきたいなと思っていますね。

●ブンヤ新太のソーシャルメディア一覧

YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCA-KovIqvJBVt6szX53JphQ
X(旧Twitter):https://twitter.com/bunyaarata
note:https://note.com/bunyaarata/
TikTok:https://www.tiktok.com/@bunyaarata
(了)

【関連記事】


hatenaはてブ


この記事の関連キーワード