HOMEライフスタイル 若者の声が政治に反映されないのはなぜ? 若年層の投票率が低いのは、20代の国会議員がいないから?

若者の声が政治に反映されないのはなぜ? 若年層の投票率が低いのは、20代の国会議員がいないから?

服部真由子

2023/07/19(最終更新日:2023/11/22)


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さまざまな政策や課題について学習・意見交換などができるSNS「Surfvote(サーフボート)」で、「20代の国会議員ゼロの日本 被選挙権の年齢の引き下げをすべきか?」という課題について投票が行われ、その結果が公開されました。

2000年以降、日本の‟最年少リーダー”は2006年に52歳で就任した安倍元首相。かならずしも同世代の議員だけが若い世代によりそった政治をおこなってくれるとは限りませんが、この現状は、若年層が政治に関心を失っていく一因かもしれません。あまり馴染みのない「被選挙権」、若年層の投票率などを調査してみました。

「被選挙権」とは?

2023年4月、和歌山市で岸田文雄首相の演説直前に爆発物が投げ込まれた事件の容疑者が過去に年齢要件の引き下げを求めていたことで注目を集めた「被選挙権」。被選挙権とは、人びとの代表として国会議員や都道府県知事・都道府県議会議員、市区町村長・市区町村議会議員に就くことができる権利で、定められた年齢に満たない場合は選挙への立候補ができません。

参議院議員と都道府県知事は満30歳以上、そのほかは満25歳以上の日本国民であることが主な条件で、2016年(平成28年)に満18歳以上に引き下げられた選挙権とは異なるもの。世界に目を向けてみると、アメリカでは下院議員の被選挙権年齢は25歳、上院議員の被選挙権年齢は30歳。イギリスでは18歳(下院)、21歳(上院)と定められています(国立国会図書館の公開資料より)。

国立国会図書館|資料 主要国における被選挙権年齢

総務省|選挙権と被選挙権

76.8%が「18歳にすべき」と回答

Surfvoteで行われた調査では、選挙権とおなじく「18歳にすべき」という回答が76.8%を占めました。この回答には「時間の積み重ねは若い人にはどうしてもできないことで、それを考慮して被選挙権は年齢を高くしているのでしょうけど、別にそんなことを考慮して制約なんか設けなくてもいいのかなと思います。 国民の大多数が適任と思えば選ばれる。不適任だと思えば選ばれない。ただそれだけだと思います」というコメントが寄せられています。

先述した国立国会図書館の資料によると、2019年には、当時の総務大臣(石田真敏氏)が、「被選挙権年齢は社会的経験に基づく思慮と分別を踏まえて設定されており、当該公職の職務内容や選挙権年齢とのバランス等を考慮して検討されるべき」と答弁したとされています。

たしかに国政をになう人材は、適切に公務をおこなうために、選挙権の要件よりも厳格にする必要があるという考え方にはうなずけます。一方、若い有権者の立場になって考えたとき、政治家が国民・市民の代表者である以上、選挙権年齢と比選挙権年齢が同じであることは、特に18歳から25歳(参議院・知事に関しては30歳)までの年齢層にとっては当然であるようにも感じられます。

若い世代の投票率は?

選挙年齢が18歳以上に引き上げられたのちにおこなわれた2017年(平成29年)の衆議院議員総選挙(小選挙区)と2014年(平成26年)の年齢別投票率のデータを総務省が公開しています。意外なことに10代の投票率は40.49%と20代と比較した場合に高い割合を示しています。

また、世代・年齢別に回答はわかれていませんが、投票を棄権した人びとの意識調査が複数回答形式でまとめられ、公開されています。「選挙に関心がなかったから」という回答が1位で、全体の2割でした。

総務省|資料 目で見る投票率

投票所に足を運んだ人、棄権した人それぞれ理由があることは間違いありませんが、選挙権は国民の権利であるだけではなく、義務です。「選挙権はあたり前にあるもの」と、現代に生きる私たちは性別・職業を問わず信じていますが、まだその歴史は浅いのです。25歳以上の男性に参政権が認められ、男子普通選挙(衆議院選挙)実施されたのは1928年。さらに女性は1945年に衆議院議員選挙法が改正されるまで参政権がありませんでした。

被選挙権の年齢引き下げにはまだ議論や時間を要するかと思われます。しかし、自分たちの声が政治に届いていないと感じるのであれば、ぜひ次の選挙では「政治に関心をよせて」、投票所に足を運んでみてはいかがでしょうか。

「20代の国会議員ゼロの日本 被選挙権の年齢の引き下げをすべきか?」

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