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政治のニュースってどう見たらよいの? 政治ジャーナリスト・宮原健太にイチから聞いた【Part2】

菓子翔太

2023/10/25(最終更新日:2024/09/22)


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毎日新聞社で首相官邸や立憲民主党、外務省などの政治取材に携わり、現在はフリーランスの政治ジャーナリストとして活動する宮原健太さん(31)。

現在は、文春オンラインやプレジデントオンラインなど雑誌やウェブメディアで政治動向を伝える記事を執筆しているほか、“記者Vtuber”ブンヤ新太としても活動しています。

長年、永田町を取材してきた宮原さんに、複数回にわたって若手ビジネスパーソンに役立つ“政治のハナシ”を語ってもらいました。

今回は、“政治のニュースは、どう見たらよいのか”についてです。

前回のインタビュー記事はこちらから:「ビジネスにおいて政治を知ることが大事なワケ 政治ジャーナリスト・宮原健太にイチから聞いた」

政治の流れって?

―――ざっくりと聞いちゃうんですが、政治のニュースはどう見たらいいんですか?

なんだかんだいっても、政治の流れは決まっています。その流れを押さえず、「今がどういう時期なのか」をちゃんと把握していないと、ニュースを見ていてもトンチンカンになっちゃうんですよね。

先ほども話した通り(前回参照)、予算の関係ならば、8月が概算要求、12月末までに予算案を取りまとめて、1月から3月にかけて議論するという流れがあります。国会でいうと、1月に通常国会が開かれ、3月末までに予算の議論がされて、そのあとに各法案の議論がなされます。

たいていの法案は通過するんだけれども、増税法案などときには揉めるようなものも出てきたりして、(与党と野党で)大きな「喧嘩」になることもあるんですよね。

その「喧嘩」の見方も分かっていると面白いです。例えば、与党は法案を通す動き、野党は法案の通過を阻止する動きしか基本的にはできません。

本当は国会で、その法案に駄目なところがあるのなら、意見交換をしながらどんどん直していけばよい。「そのために議論しているんじゃないか」と思う人が多いはずですが、法案が修正されることは残念ながら日本の国会ではほとんどありません。

これは、官僚が上げた雛形をそのまま通すことが慣例化されているという悪習があるからです。「問題だ!」とトップニュースで取りざたされるような法案じゃないと、「通すか阻止するか」というようなゲームになってしまっています。

野党は、その法案の審議をする委員会の委員長解任決議や法案を担当する大臣の不信任決議を出して、採決を阻止しようとしています。日程を遅らせることで、法案を通したい側を困らせようということですね。

通常国会だけではおさまらない課題が出てきたときのために、臨時国会があります。不景気になり、最初に決めた予算案では対応できず、新たな経済政策を打つ必要があると判断された場合とかですね。

法案や補正予算案を通さないと、新しい経済政策は執行できません。日本は予算案を通さないと、(国の)お金は使えないという“財政民主主義”をとっていることも一応頭に入れておくと理解しやすいです。

なんで政治のニュースは政局ばかりなの?

―――政治のニュースを見ているときに思うんですが、政局(政治の動向や政界の情勢)の話が多いですよね。

理由は明確です。先ほども話しましたが、要するに、政策の議論で法案が変わらないんですよね。

反対する人たちがいるから、柔軟に「こういう風に修正しましょう、変えましょう」となるかというと、日本の国会ではそうはならないんです。政府・与党は、官僚か自分たちが作った法案をそのまま通すのが「当たり前、正義」になっちゃっています。対する野党としても、「阻止するか否か」という話になっちゃうので、ほとんど0か100かの話なんですよ。

これが日本政治の現実で、政策議論に注目が集まりません。私はこういった現状が、日本の政治に関心が持たれにくい原因の根本だと思っています。政策が国会の議論で柔軟に変わらないので、政策を議論しても仕方ないという事態に陥ってしまう。

日本政治の大きな課題だと思いますね。

政治が変わるには?

―――その状況を変えるためにどうしたらよいのか考えはありますか?

これはほぼ不可能なんですけども(笑)。政治制度改革が必要ですよね。

簡単にいえば、与党が柔軟になればよいだけの話なんです。その法案を通そうとするときに、党内でも党外であったとしても反対意見があるならば、しっかりと聞いて柔軟に法案を変えるか、通すことをやめるといったことが、もっと柔軟に行われるようになれば政策議論が注目されると思いますが、そういうふうにはなっていません。もう体質なんでしょうね。

政府の閣議決定が絶対だ、という点から変えなきゃいけないはずですが、そのためには、与党である自民党がもう少し人の意見に耳をかたむけてくれれば……って、そんな抽象的な話になっちゃうんですよね。

―――国民の反対運動やデモで修正されることは考えにくいんでしょうか。

(2023年6月に成立した)入管法改正案は、国民民主党と日本維新の会が協議して、(法案が)修正されました。反対する人たちがとても多かったことも一助になったのでしょう。反対した人たちは、修正ではなく法案自体を通したくない気持ちが大きかったと思っていますが。

だから、デモなど抗議活動に意味がない訳では決してありません。そういった運動がニュースに取り上げられると、政治家は世論に敏感なので、気にはして折衷案を練ろうとするんです。

よっぽど多くの人数が反対や修正を求めるようなことをして自民党(与党)がめちゃめちゃ追い詰められないと、そこまでの修正には至らない。もっと柔軟にこういったことがたくさん起きればいいですよね。

次回は、“個人がよりよい政治が行われるために何ができるのか”をテーマに、お話を聞いていきます。

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