毎日新聞社で首相官邸や立憲民主党、外務省などの政治取材に携わり、現在はフリーランスの政治ジャーナリストとして活動する宮原健太さん(31)。
現在は、文春オンラインやプレジデントオンラインなど雑誌やウェブメディアで政治動向を伝える記事を執筆しているほか、“記者Vtuber”ブンヤ新太としても活動しています。
長年、永田町を取材してきた宮原さんに、複数回にわたって若手ビジネスパーソンに役立つ“政治のハナシ”を語ってもらいました。
今回は、“政治とビジネスのかかわり”についてです。
サプライサイドとデマンドサイト?
―――政治とビジネスのかかわりをどう見ていますか?
政治の対立って経済の対立でもあるんですよ。
簡単に言えば、自民党は経団連(一般社団法人 経済団体連合会の略称)が応援している政党である一方、野党の立憲民主党と国民民主党は連合(日本労働組合総連合会の略称)、共産党だって全労連(全国労働組合総連合の略称)が応援している政党です。
現在の野党は、労働組合からの応援を受けています。
ただ、残念ながら日本は、自民党政権があまりにも長すぎたので、政治の動きと経済がどうリンクしているかがすごく分かりにくい。
政権交代が頻繁に起こるような政治状況ならば、もっと政治と経済がリンクすると思うんです。
たとえば、サプライサイド(供給側)とデマンドサイド(消費者側)という言葉があります。経団連はサプライサイドの団体なので、自民党は供給側の企業がより活躍していくための政策を打ち出していきます。
一方で野党としてはデマンドサイド、つまり消費者側に立って、より内需を高めていくために消費者に向けた政策が軸になります。
与党も野党も、経済的な観点に立脚していろいろな政治的主張をしています。そういった視点から「どういうふうに政治が動いたら経済が良くなるんだろう」と考えることが投票行動に生かせるのではないでしょうか。
経済政策が決まるまでの流れって?
―――国の経済政策は、企業の経営戦略にもつながってくると思います。
確かにそうですね。
国家予算は、通常8月末までに概算要求(翌年度の予算編成に向けて、各省庁が取り組みたい事業と必要な費用の見積もりを盛り込んだ要求書を財務省に提出すること)が取りまとめられます。
その概算要求を、財務省がチェック・交渉しながら、年末までに予算案を作成します。1月~3月の予算委員会で審議・可決されて初めて国家予算として認められます。
つまり、8月の概算要求が取りまとめられる時点で、未来がある程度予想できるんですよね。
だから、概算要求を見ていくと、来年度以降にどんな経済政策が実施されるのか、わかります。
概算要求は、各省庁のWebサイトで公開されます。ビジネスパーソンは、そういった経済の動向ををしっかりと見ていくのは大事かなと(思います)。
―――予算編成や税制改正など経済財政対策の策定をめぐる舞台裏でも、企業と政治家が深いやりとりを交わしています。
自民党で開かれる部会には、さまざまな企業の要人が呼ばれて説明会や、勉強会などが開かれます。政治家とパイプがある企業が呼ばれていることも多いです。
次回は、政治のニュースをどう見たらよいのかについて、お話を聞いていきます。
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