社会人2~4年目社員の意識調査(直面する壁 実態編)
累計13,000社400万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(旧株式会社ラーニングエージェンシー 所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞崎大輔)は社会人2~4年目の900人に対し、2023年8月に直面している壁に関する意識調査を行いました。
背景
人材育成、採用などの業界において、社会人1年目社員に関する調査は数多く実施されていますが、2年目以降の若手社員に関しては、1年目ほどフォーカスが当たっていないのが現状です。しかしながら、若手に関する悩みは、多くの企業が抱えており、早期離職予防や優秀な人材の確保・定着は重要な経営課題の一つと言われています。そこで、当社では自立自走が求められる社会人2~4年目社員への育成が解決策の一つであると考え、昨年度より社会人2~4年目の各年次がそれぞれどのような価値観や悩みを抱えているか実態調査を行っています。昨年度の調査結果*1からは、社会人2年目の約半数が「仕事に飽き」を感じていることや、難しい仕事に直面した際は、全年次共通して「成長の機会」と前向きに捉える傾向にあることなどが明らかとなりました。
今年は、各年次が直面している壁に加え、その壁をどのように乗り越えたのか、背景や要因についても調査・分析を行いました。
*1) 2022年 若手社員の意識調査 社会人2年目~4年目の直面する壁
1.TOP3編 https://www.learningagency.co.jp/download/all/news_20221005.pdf
2.ストレッチ業務編 https://www.learningagency.co.jp/download/all/news_20221012.pdf
3.上司とキャリア編 https://www.learningagency.co.jp/download/all/news_20221026.pdf
4.自分の成長とスキル編 https://www.learningagency.co.jp/download/all/news_20221102.pdf
調査結果の概要
● 社会人2年目、3年目、4年目が感じる壁、全年次共通で『知識・スキルへの不安』がTOPに
● 知識・スキルの不安を乗り越えた要因、社会人2年目は「ポジティブに捉える」「目的や仕事の意味を再考する」など「意識」に関する回答が上位に
● 知識・スキルの不安を乗り越えた要因、社会人3年目は「知識の習得」「スキルの習得」「経験を積む」が上位に
● 知識・スキルの不安を乗り越えた要因、社会人4年目は「知識の習得」が最大で4割に達する
● まとめ・考察
調査結果の詳細
1.社会人2年目、3年目、4年目が感じる壁、全年次共通で『知識・スキルへの不安』がTOPに
本調査では、社会人2~ 4年目の各年次に対し、現在どのようなことに困難や不安(壁)を感じているか、仕事や上司、キャリアや自分の成長など、10の項目について質問しました。
まず、社会人2年目の結果をみると、「自分の知識・スキルに不安を感じることがある」が43.3%と最も高い結果となりました。次に、「仕事が飽きた、つまらないと感じることがある」が42.3%、「精神的に追い詰められたことがある」が41.7%と続きました。(図1)
次に、社会人3年目の結果をみると、「自分の知識・スキルに不安を感じることがある」が42.3%と最も高い結果となりました。次に、「仕事の量が多いと感じることがある」が42.0%、「仕事が飽きた、つまらないと感じることがある」が38.0%と続きました。(図2)
最後に、社会人4年目の結果では、「自分の知識・スキルに不安を感じることがある」と「精神的に追い詰められたことがある」が48.0%と同率になり、「仕事の量が多いと感じることがある」が46.3%と続きました。(図3)
社会人2年目、3年目、4年目までのすべての年次で『知識・スキルへの不安』が最も高い結果となりました。昨年度の調査*2では、回答の選択肢の数が異なるものの『知識・スキルへの不安』の順位は最高でも3年次の第4位でしたので、「知識・スキルへの不安」が全年次でTOPになる、というのは今年の特徴と言えるでしょう。
*2) 2022年 若手社員の意識調査 社会人2年目~4年目の直面する壁(TOP3編)
https://www.learningagency.co.jp/download/all/news_20221005.pdf
2. 知識・スキルの不安を乗り越えた要因、社会人2年目は「ポジティブに捉える」「目的や仕事の意味を再考する」など「意識」に関する回答が上位に
ここからは、2年目、3年目、4年目で最大の割合となった『知識・スキルへの不安』の壁について、果たして彼らがその壁を乗り越えることができたのか、また、乗り越えた場合はその要因が何だったのかを、各年次に質問しました。
まず、社会人2年目が『知識・スキルへの不安』の壁を乗り越えることができたかどうかに関しては、「状況を改善することができ、挑戦・努力する中で良い点や改善点を見つけることができた」と回答した割合が16.9%と最も高くなりました。次に、「状況を改善することができ、他の状況にも活かすことができるような気づきや学びを得ることができた」が16.2%、「状況を改善することができなかったが、挑戦・努力する中で他の事にも活かすことができるような気づきや学びを得ることができた」が15.4%と続きました。(図4)
社会人2年目がその壁を乗り越えることができた要因については、「ポジティブに捉える姿勢」が29.2%と最大の割合となりました。次に、「目的や仕事の意味の再考」が26.2%、「目標の見直し」が18.5%と続きました。社会人2年目では、仕事への姿勢や目的の再考など、意識に関する項目が高い割合となりました。(図5)
3.知識・スキルの不安を乗り越えた要因、社会人3年目は「知識の習得」「スキルの習得」「経験を積む」が上位に
続いて、社会人3年目が『知識・スキルへの不安』の壁を乗り越えることができたかどうかに関しては、1位は「状況を改善することができ、挑戦・努力する中で良い点や改善点を見つけることができた」「状況を改善することができなかったが、挑戦・努力する大切さを理解できた」が16.5%と同率になりました。次に「状況を改善することができ、他の状況にも活かすことができるような気づきや学びを得ることができた」が13.4%と続きました。(図6)
社会人3年目が壁を乗り越えることができた要因は、1位は「知識の習得」が37.7%とトップに。次に「スキルの習得」が31.1%、「経験を積んだこと」が26.2%と続きました。(図7)
4.知識・スキルの不安を乗り越えた要因、社会人4年目は「知識の習得」が最大で4割に達する
最後に、社会人4年目が『知識・スキルへの不安』の壁を乗り越えることができたかに関しては、「状況を改善することができず、特に得たものはなかった」の回答が20.1%と最大の割合に。次に、「状況を改善することができ、他の状況にも活かすことができるような気づきや学びを得ることができた」が16.7%、3位に「状況を改善することができなかったが、挑戦・努力する中で他の事にも活かすことができるような気づきや学びを得ることができた」が14.6%となりました。(図8)
そして、社会人4年目が壁を乗り越えることができた要因は何かを質問したところ、「知識の習得」が最も高く、その割合は40.0%に達しました。次に「スキルの習得」が33.3%、「ポジティブに捉える姿勢」が30.0%となりました。(図9)
まとめ
今回の調査結果は、社会人2~4年目までの全年次で共通して『知識・スキルへの不安』が最大の壁となり、昨年度の調査結果とは異なる今年の特徴となりました。外部環境の変化が激しい昨今、上司や先輩が通ってきた従来のやり方をマニュアル通りに遂行するだけでは成果や結果を残すことが難しく、自立自走人材の育成や早期リーダーの育成に取り組む企業も増えています。そんな中、多くの現場で若手社員に主体性と実践力が求められており、知識やスキルを習得することが喫緊の課題であると、若手社員も実感しているのかもしれません。
最大の壁となった『知識・スキルへの不安』の乗り越え方では、全体傾向として、壁を乗り越えるようとすることで「良い点・改善点」や「他の状況にも活かせる気付き」を発見し、前向きに捉えるケースが多いことがわかりました。乗り越えることができた要因では、社会人2年目では「ポジティブに捉える姿勢」や「目的や仕事の意味の再考」など、意識面に関する回答の割合が高くなりました。一方、社会人3年目4年目では「知識の習得」「スキルの習得」「経験を積む」など、実務面に関する回答の割合が高くなりました。この結果から、年次が上がるにつれ、意識だけでは乗り越えられない難易度の高い壁に直面する場面が増え、解決には「知識・スキルを習得する必要がある」という事を、本人達も自覚している事が見てとれるのではないでしょうか。
本調査結果より、若手と一括りにされる事の多い社会人2年目~4年目社員ですが、同じ「知識・スキルへの不安」という壁でも、乗り越えるために必要とするサポートが異なる事が明らかになりました。
考察
本調査結果は、社会人2年目と3・4年目の社員が「知識・スキルへの不安」を乗り越えるためには、異なるアプローチが必要であることを示しています。
2年目社員は「ポジティブに捉える姿勢」で壁を乗り越える傾向があります。これを支援実現するためには、上司や周囲からの仕事の目的・意義の伝達、ポジティブフィードバック、適切な内省支援、前向きな組織風土の醸成が必要です。また、仕事の捉え方や向き合い方は社会人歴が浅ければ浅いほど、良くも悪くも影響を受けやすい傾向がありますので、早め早めのアプローチを推奨いたします。
一方、3・4年目社員は「知識・スキルの習得」で不安を乗り越える傾向があります。知識・スキルの習得に向けては、適時適切な習得テーマの設定、正しい順序と方法での支援や仕組みが必要です。例えば、上司や先輩によるマイクロOJT、学びの場の提供、解像度の高い基準を高めるフィードバック、上司や先輩自身の成長が解決策になりえます。
このように、社員の成長には適時性と多面的なアプローチが求められます。本人の努力と成長、上司の支援、周囲の協力、育成に向けた組織風土の構築を相互に作用させることで、若手社員の活躍と定着に寄与するでしょう。
ALL DIFFERENT株式会社
組織開発コンサルティング本部 シニアマネジャー・開発室 室⾧
CLM(最高育成責任者)
根本 博之(ねもと・ひろゆき)
事業会社を経て、2010年にALL DIFFERENT株式会社(旧トーマツイノベーション株式会社/株式会社ラーニングエージェンシー)に入社。コンサルタント業務・講師業務を通じ、年間100~150社ほどの組織開発・人材育成を支援する傍ら、社内の育成責任者としても活動。大阪支社の立ち上げに参画し、営業リーダーとして年間目標達成に導いた後、本社にてコンテンツ開発業務に従事。中堅・大企業向けコンサルティング事業部門の責任者を歴任。日本経済新聞、NHKなどメディア出演多数。
調査概要
*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「社会人2~4年目社員の意識調査(直面する壁 実態編)」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます
ラーニングイノベーション総合研究所について
人と組織の未来創りに関する様々な調査・研究活動を行っている当社研究機関。データに基づいた組織開発に関する解決策を提供。
ALL DIFFERENT株式会社について
組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。
人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。
《沿革》2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供
2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立
2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更
代表取締役社長 眞崎 大輔
本社所在地 〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
支社 中部支社、関西支社
人員数 288名(2024年1月1日時点)
事業 組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
サービス 定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」
ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」
管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」/人事制度構築支援サービス「Empower HR」
経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」/転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか
URL https://www.all-different.co.jp
※記載されている社名、サービス名などの固有名詞は登録商標です。なお、本文および図表中において、必ずしも商標表示( (R)、TM )は付記していません。
累計13,000社400万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(旧株式会社ラーニングエージェンシー 所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞崎大輔)は社会人2~4年目の900人に対し、2023年8月に直面している壁に関する意識調査を行いました。
背景
人材育成、採用などの業界において、社会人1年目社員に関する調査は数多く実施されていますが、2年目以降の若手社員に関しては、1年目ほどフォーカスが当たっていないのが現状です。しかしながら、若手に関する悩みは、多くの企業が抱えており、早期離職予防や優秀な人材の確保・定着は重要な経営課題の一つと言われています。そこで、当社では自立自走が求められる社会人2~4年目社員への育成が解決策の一つであると考え、昨年度より社会人2~4年目の各年次がそれぞれどのような価値観や悩みを抱えているか実態調査を行っています。昨年度の調査結果*1からは、社会人2年目の約半数が「仕事に飽き」を感じていることや、難しい仕事に直面した際は、全年次共通して「成長の機会」と前向きに捉える傾向にあることなどが明らかとなりました。
今年は、各年次が直面している壁に加え、その壁をどのように乗り越えたのか、背景や要因についても調査・分析を行いました。
*1) 2022年 若手社員の意識調査 社会人2年目~4年目の直面する壁
1.TOP3編 https://www.learningagency.co.jp/download/all/news_20221005.pdf
2.ストレッチ業務編 https://www.learningagency.co.jp/download/all/news_20221012.pdf
3.上司とキャリア編 https://www.learningagency.co.jp/download/all/news_20221026.pdf
4.自分の成長とスキル編 https://www.learningagency.co.jp/download/all/news_20221102.pdf
調査結果の概要
● 社会人2年目、3年目、4年目が感じる壁、全年次共通で『知識・スキルへの不安』がTOPに
● 知識・スキルの不安を乗り越えた要因、社会人2年目は「ポジティブに捉える」「目的や仕事の意味を再考する」など「意識」に関する回答が上位に
● 知識・スキルの不安を乗り越えた要因、社会人3年目は「知識の習得」「スキルの習得」「経験を積む」が上位に
● 知識・スキルの不安を乗り越えた要因、社会人4年目は「知識の習得」が最大で4割に達する
● まとめ・考察
調査結果の詳細
1.社会人2年目、3年目、4年目が感じる壁、全年次共通で『知識・スキルへの不安』がTOPに
本調査では、社会人2~ 4年目の各年次に対し、現在どのようなことに困難や不安(壁)を感じているか、仕事や上司、キャリアや自分の成長など、10の項目について質問しました。
まず、社会人2年目の結果をみると、「自分の知識・スキルに不安を感じることがある」が43.3%と最も高い結果となりました。次に、「仕事が飽きた、つまらないと感じることがある」が42.3%、「精神的に追い詰められたことがある」が41.7%と続きました。(図1)
次に、社会人3年目の結果をみると、「自分の知識・スキルに不安を感じることがある」が42.3%と最も高い結果となりました。次に、「仕事の量が多いと感じることがある」が42.0%、「仕事が飽きた、つまらないと感じることがある」が38.0%と続きました。(図2)
最後に、社会人4年目の結果では、「自分の知識・スキルに不安を感じることがある」と「精神的に追い詰められたことがある」が48.0%と同率になり、「仕事の量が多いと感じることがある」が46.3%と続きました。(図3)
社会人2年目、3年目、4年目までのすべての年次で『知識・スキルへの不安』が最も高い結果となりました。昨年度の調査*2では、回答の選択肢の数が異なるものの『知識・スキルへの不安』の順位は最高でも3年次の第4位でしたので、「知識・スキルへの不安」が全年次でTOPになる、というのは今年の特徴と言えるでしょう。
*2) 2022年 若手社員の意識調査 社会人2年目~4年目の直面する壁(TOP3編)
https://www.learningagency.co.jp/download/all/news_20221005.pdf
2. 知識・スキルの不安を乗り越えた要因、社会人2年目は「ポジティブに捉える」「目的や仕事の意味を再考する」など「意識」に関する回答が上位に
ここからは、2年目、3年目、4年目で最大の割合となった『知識・スキルへの不安』の壁について、果たして彼らがその壁を乗り越えることができたのか、また、乗り越えた場合はその要因が何だったのかを、各年次に質問しました。
まず、社会人2年目が『知識・スキルへの不安』の壁を乗り越えることができたかどうかに関しては、「状況を改善することができ、挑戦・努力する中で良い点や改善点を見つけることができた」と回答した割合が16.9%と最も高くなりました。次に、「状況を改善することができ、他の状況にも活かすことができるような気づきや学びを得ることができた」が16.2%、「状況を改善することができなかったが、挑戦・努力する中で他の事にも活かすことができるような気づきや学びを得ることができた」が15.4%と続きました。(図4)
社会人2年目がその壁を乗り越えることができた要因については、「ポジティブに捉える姿勢」が29.2%と最大の割合となりました。次に、「目的や仕事の意味の再考」が26.2%、「目標の見直し」が18.5%と続きました。社会人2年目では、仕事への姿勢や目的の再考など、意識に関する項目が高い割合となりました。(図5)
3.知識・スキルの不安を乗り越えた要因、社会人3年目は「知識の習得」「スキルの習得」「経験を積む」が上位に
続いて、社会人3年目が『知識・スキルへの不安』の壁を乗り越えることができたかどうかに関しては、1位は「状況を改善することができ、挑戦・努力する中で良い点や改善点を見つけることができた」「状況を改善することができなかったが、挑戦・努力する大切さを理解できた」が16.5%と同率になりました。次に「状況を改善することができ、他の状況にも活かすことができるような気づきや学びを得ることができた」が13.4%と続きました。(図6)
社会人3年目が壁を乗り越えることができた要因は、1位は「知識の習得」が37.7%とトップに。次に「スキルの習得」が31.1%、「経験を積んだこと」が26.2%と続きました。(図7)
4.知識・スキルの不安を乗り越えた要因、社会人4年目は「知識の習得」が最大で4割に達する
最後に、社会人4年目が『知識・スキルへの不安』の壁を乗り越えることができたかに関しては、「状況を改善することができず、特に得たものはなかった」の回答が20.1%と最大の割合に。次に、「状況を改善することができ、他の状況にも活かすことができるような気づきや学びを得ることができた」が16.7%、3位に「状況を改善することができなかったが、挑戦・努力する中で他の事にも活かすことができるような気づきや学びを得ることができた」が14.6%となりました。(図8)
そして、社会人4年目が壁を乗り越えることができた要因は何かを質問したところ、「知識の習得」が最も高く、その割合は40.0%に達しました。次に「スキルの習得」が33.3%、「ポジティブに捉える姿勢」が30.0%となりました。(図9)
まとめ
今回の調査結果は、社会人2~4年目までの全年次で共通して『知識・スキルへの不安』が最大の壁となり、昨年度の調査結果とは異なる今年の特徴となりました。外部環境の変化が激しい昨今、上司や先輩が通ってきた従来のやり方をマニュアル通りに遂行するだけでは成果や結果を残すことが難しく、自立自走人材の育成や早期リーダーの育成に取り組む企業も増えています。そんな中、多くの現場で若手社員に主体性と実践力が求められており、知識やスキルを習得することが喫緊の課題であると、若手社員も実感しているのかもしれません。
最大の壁となった『知識・スキルへの不安』の乗り越え方では、全体傾向として、壁を乗り越えるようとすることで「良い点・改善点」や「他の状況にも活かせる気付き」を発見し、前向きに捉えるケースが多いことがわかりました。乗り越えることができた要因では、社会人2年目では「ポジティブに捉える姿勢」や「目的や仕事の意味の再考」など、意識面に関する回答の割合が高くなりました。一方、社会人3年目4年目では「知識の習得」「スキルの習得」「経験を積む」など、実務面に関する回答の割合が高くなりました。この結果から、年次が上がるにつれ、意識だけでは乗り越えられない難易度の高い壁に直面する場面が増え、解決には「知識・スキルを習得する必要がある」という事を、本人達も自覚している事が見てとれるのではないでしょうか。
本調査結果より、若手と一括りにされる事の多い社会人2年目~4年目社員ですが、同じ「知識・スキルへの不安」という壁でも、乗り越えるために必要とするサポートが異なる事が明らかになりました。
考察
本調査結果は、社会人2年目と3・4年目の社員が「知識・スキルへの不安」を乗り越えるためには、異なるアプローチが必要であることを示しています。
2年目社員は「ポジティブに捉える姿勢」で壁を乗り越える傾向があります。これを支援実現するためには、上司や周囲からの仕事の目的・意義の伝達、ポジティブフィードバック、適切な内省支援、前向きな組織風土の醸成が必要です。また、仕事の捉え方や向き合い方は社会人歴が浅ければ浅いほど、良くも悪くも影響を受けやすい傾向がありますので、早め早めのアプローチを推奨いたします。
一方、3・4年目社員は「知識・スキルの習得」で不安を乗り越える傾向があります。知識・スキルの習得に向けては、適時適切な習得テーマの設定、正しい順序と方法での支援や仕組みが必要です。例えば、上司や先輩によるマイクロOJT、学びの場の提供、解像度の高い基準を高めるフィードバック、上司や先輩自身の成長が解決策になりえます。
このように、社員の成長には適時性と多面的なアプローチが求められます。本人の努力と成長、上司の支援、周囲の協力、育成に向けた組織風土の構築を相互に作用させることで、若手社員の活躍と定着に寄与するでしょう。
ALL DIFFERENT株式会社
組織開発コンサルティング本部 シニアマネジャー・開発室 室⾧
CLM(最高育成責任者)
根本 博之(ねもと・ひろゆき)
事業会社を経て、2010年にALL DIFFERENT株式会社(旧トーマツイノベーション株式会社/株式会社ラーニングエージェンシー)に入社。コンサルタント業務・講師業務を通じ、年間100~150社ほどの組織開発・人材育成を支援する傍ら、社内の育成責任者としても活動。大阪支社の立ち上げに参画し、営業リーダーとして年間目標達成に導いた後、本社にてコンテンツ開発業務に従事。中堅・大企業向けコンサルティング事業部門の責任者を歴任。日本経済新聞、NHKなどメディア出演多数。
調査概要
*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「社会人2~4年目社員の意識調査(直面する壁 実態編)」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます
ラーニングイノベーション総合研究所について
人と組織の未来創りに関する様々な調査・研究活動を行っている当社研究機関。データに基づいた組織開発に関する解決策を提供。
ALL DIFFERENT株式会社について
組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。
人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。
《沿革》2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供
2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立
2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更
代表取締役社長 眞崎 大輔
本社所在地 〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
支社 中部支社、関西支社
人員数 288名(2024年1月1日時点)
事業 組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
サービス 定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」
ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」
管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」/人事制度構築支援サービス「Empower HR」
経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」/転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか
URL https://www.all-different.co.jp
※記載されている社名、サービス名などの固有名詞は登録商標です。なお、本文および図表中において、必ずしも商標表示( (R)、TM )は付記していません。
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