外出自粛やイベントの中止など、新型コロナウイルスの影響で行動が制限されている中で、将来に向けてどのように経験やキャリアを積んでいけばいいか分からず、頭を悩ませている人は多いのではないでしょうか。
しかし、そのような環境下においても、自分たちが今できることを考え出し、着々と経験・スキルを積んで成長し続けている学生たちがいます。
一橋大学の大学生メンバーから成る「COGOO一橋」は2月、株式会社テガラミルと共に、学生とベンチャー企業双方のニーズを満たす長期有給インターンシップ・マッチングサポートサービス「Gritz(グリッツ)」を正式リリースしました。
長引くコロナ禍の中で新しいサービスをどのように作り出し、どのように活動しているのでしょうか?COGOO一橋のメンバーに話を聞きました。
学生と企業のニーズを満たす「Gritz」
Gritzは、大学生によるビジネスコンテストに、企業に審査委員として参加してもらうことを通して、長期有給インターンシップのマッチングをサポートするサービス。
参加企業は説明会や面接では知ることができない大学生1人ひとりの魅力を体感でき、学生はビジネス立案・発表・フィードバックという貴重な経験ができる、大学生と社会とをリアルにつなぐサービスです。
2020年11月8日(日)に開催した第1回Gritzでは、大学1年生から3年生までの計12人の学生が事業立案ワークに取り組みました。
コロナ禍に生みだした新しいサービス
同サービスを開発し、また、運営事務局として参加学生の募集から当日の企画・運営までを行っているのは、一橋大学の学生から成る「COGOO一橋」の8人のメンバー。
今回のインタビューでは、3年生メンバーの伊藤純也さん(22歳)・川本暉大さん(22歳)・松原瑞樹さん(22歳)の3人を中心に、メンバーの方々が質問に答えてくれました。
-----長期インターンマッチングサービス「Gritz」を実現させるまでの道のりについて教えてください。
川本さん:COGOOがもともと手がけていた大学内での自転車シェアサービスが、コロナ禍の影響で下火になり、新しい取り組みとしてGritzを開発しました。
新しい取り組みを考えるにあたって、自分たちの周りにある課題を出していった中で、コロナ禍により、学生がサークル活動や部活、イベントなど、さまざまなことができなくたったり、人と繋がることが難しくなっていることに着目。
その課題を“何か”と結び付けることができないかと考え、長期インターンだったら、企業と学生の需要がマッチングするのではないかと考えました。
参加企業と共にテーマを設計
-----ビジコンをインターンマッチングの場に繋げるという発想はどこから?
川本さん:コロナ禍により、学生が自分を表現する機会が失われつつあります。
ビジコンの要素を入れることで、ビジネスの経験にもなりますし、新規事業の立案を通して、自分の思いや課題感の解決に向けた考えを客観的に出すことができる“自己表現の場”をつくることができるのではないかと考えました。
-----同サービスを実現するにあたって、どのようなことを工夫しましたか?
松原さん:ビジコンの題材(テーマ)の設計に頭を悩ませました。
僕たち学生だけで考えるのではなく、参加する企業と一緒に、企業が求めているインターン生像を明らかにし、そういうスキルや能力を持った人材かどうか判断するためにはビジコンでどのような題材を設定すればいいのか、時間をかけて考えました。
コロナ禍による変化を上手く活用
-----学業とCOGOOの活動を両立させるのは大変ではありませんか?
川本さん:新サービスとしてGritzを初めてからは、COGOOの活動に月30時間くらい時間を費やすようになり、片手間で行うのは難しくなりました。
しかし、コロナ禍により、オンデマンド・録画配信で好きな時間に見ることができる授業が増え、オンタイムで授業に参加する必要がなくなったことで、時間の融通がきくようになり、両立しやすくなりました。
一部ではなく、チーム全員の意見を大切に
COGOOの活動にあたっては、企業向け人材定着支援・生産性向上支援事業等を手がけている株式会社テガラミルが運営をサポート。
学生メンバーがメインで運営しているが、週1回の定例ミーティングには同社の社長やコンサルタントも参加し、活動内容や方向性についてフィードバック等を行っているそうです。
-----企業(テガラミル)と連携して事業を展開するにあたって、気を付けていること・心掛けていることはありますか?
川本さん:まず、貴重な機会を与えてもらっているので、
また、
-----メンバー一丸となって良いサービスを提供するために、どのような工夫をしていますか?
伊藤さん:1年生から4年生までのメンバーがいますが、フラットに、一人ひとりの学生として対等に話し合えるように意識しています。
現在、3年生のメンバーが主軸として動いていますが、この3人だけで全てをしてしまうのではなく、チームの皆で決めていくことが重要だと考え、全員に積極的に意見を聞いたり、役割を任せたりするようにしています。
1年生のうちからビジネスを経験
COGOOの活動を通して、学生メンバーたちはどのようなメリットを得ているのでしょうか。
1年生メンバーの田中さんは、もともとは昨年11月に開催した第1回Gritzへの参加者。コロナ禍で授業やバイトだけを繰り返す日々を送っていた時に、伊藤さんに誘われてGritzに参加し、そのままCOGOOに加入したそうです。
-----活動を通して、どのようなメリットを得ることが出来ましたか?成長につながったと思う経験・挑戦について教えてください。
田中さん:インターンマッチングサービス「Gritz」では、知らない先輩方と一つのビジネスを完成させるという初めての経験をしました。
参加前は不安もありましたが、COGOO一橋のスタッフの方々による手厚いサポートや、自由に意見が言える環境が用意されていたことで、充実した時間を過ごすことができました。学生が運営していると思えないほどの完成度で、こんな優秀な学生団体があるのかと驚きました。
COGOO加入後は、考える重要性を知ることが出来たり、課題解決のために試行錯誤している先輩たちの姿を目の当たりにすることができたりと、通常の大学生活ではなかなかできない経験を積んでいます。
自分の意見を発表して先輩方に評価してもらえる経験や、大学1年生のうちからビジネスに携わることができたことも、自分にとってプラスになっていると思います。
コロナ禍のチームづくりについても学べた
-----COGOOの活動で得た経験やスキルを活かして、社会に出てから、どのようなことに挑戦したいと考えていますか?
太野さん(4年生):学生のうちから社会人にアドバイスをもらいながらビジネスを完成させるという貴重な体験をさせてもらうことができたので、それを活かして、若いうちからビジネスに関わっていきたいと思っています。
また、COGOOの自転車シェアサービス事業を通して得ることができた“無駄と考えられているものを有効活用していくための知識”を、環境問題が注目されている現在のビジネスで活かし、頑張っていきたいと思います。
野田さん(4年生):僕は4月から事業会社にマーケターとして入社し、新規事業の立案や現在ある事業の戦略の方向性を決めるといった業務に関わる予定です。
それにあたって、COGOOでゼロからサービスを考えて実行していく、PCDAを回す経験を主導させてもらえたのは、貴重な経験になったと思います。
また、コロナ禍において、今後より必要とされるであろう“リモートにおけるチームの雰囲気づくり”について、活動を通して検証することができたことも、大きな経験になったと思います。
-----リモートでのチームの雰囲気づくりにおいて、どのような点が大事だと思いましたか?
野田さん(4年生):定期的に話し合うことと、ビデオで顔を出すことが重要なのではないかと思っています。
人の発言に対して、相槌を細かく打つなど、細かくリアクションをとる積み重ねが、リモートでチームを組むという点では大切になるのではないでしょうか。
まずは「なりたい自分」を考えること
-----最後に、これから就職活動を控えている同世代の学生に向けて一言お願いします。
野田さん(4年生):就活では、つい目先の情報やノウハウを重視しがちですが、一番大切なのは、毎日頭を動かして、何がしたいかを考えることです。
ですので、就活をはじめるにあたっては、テクニックやノウハウを身に付けることから入るのではなく、まずは、10年後に自分がどんな人間になっていたいのかを想像してから就活を進めることで、素敵なキャリアを歩むことができるのではないかと思います。
コロナ禍でも活動を止めず、自分たちの周りにある課題から新しいサービスを生み出し、経験やスキルを積み続けているCOGOO一橋のメンバーたち。
彼らが将来、活動で得た経験やスキルを活かして、社会でどのように活躍するのか、また、COGOO一橋がどのような団体に成長していくのか、期待が高まります。
出典元:Twitter/COGOO一橋
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