HOMECareer Runners 放置竹林をメンマに!東京からUターン、宮崎で「国産100%メンマ」を作る代表に聞く“地方起業”ストーリー

放置竹林をメンマに!東京からUターン、宮崎で「国産100%メンマ」を作る代表に聞く“地方起業”ストーリー

長澤まき

2020/12/07(最終更新日:2020/12/07)


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宮崎県のスタートアップ企業LOCAL BAMBOO株式会社は11月、森を育てる国産100%の「延岡メンマ」の生産・販売を開始した。

宮崎県延岡市で問題になっている“放置竹林”によるさまざまな被害を食い止めるために、国産メンマの生産拡大を進めてSDGsに貢献するとともに、同エリア産の食材を使って美味しさを届ける試みだ。

挑戦するのは、同市出身の江原太郎代表取締役。江原代表は東京での勤務を経て、2019年に宮崎に拠点を移した経歴の持ち主だ。なぜ、地元宮崎で“放置竹林”を活用したビジネスを始めたのか?地方での起業にはどのようなやりがいや困難があるのか?江原代表に取材した。

延岡市の竹を使った国産100%メンマ

延岡メンマは、主に延岡市に生息する孟宗竹(モウソウチク)を使用した国産100%のメンマ。

旨味がありピリ辛い濃いめの味が特長で、そのままおつまみやご飯のお供にするのはもちろん、アボカドや生クリーム、赤身の刺し身やお肉との相性も抜群だそう。

ご飯にのせて“メンマ丼”にしたり、トーストにアボカドと乗せて“メンマトースト”にしたり、バニラアイスと組み合わせて食感と味のグラデーションを楽しめる“メンマアイス”にするのもおすすめだという。

放置竹林問題を解決するために誕生

このメンマは、同市の放置竹林問題を解決するために生まれた“森を育てるメンマ”だという。

面積の80%を山林が占める延岡市では近年、人手不足や生産者の高齢化などにより、誰にも整備されない“放置竹林”が増加傾向に。成長の速い竹林が日光を遮って他の木々の成長を妨げるなど、さまざまな問題が発生しているそうだ。

そこで、江原代表は「放置竹林をメンマにして竹害を食い止める」という活動をスタート。

より多くの人に親しんでもらい継続的に活動するために、自分たちが本気で美味しいと思える味を追求。使う食材も延岡産にこだわって開発した。

延岡ならではのブランド農産物「七萬石とうがらし」

「地元のために働く」を目標にキャリア構築

LOCAL BAMBOOの江原太郎代表は1990年8月生まれの30歳。

東京農業大学を卒業後、都内最大級の屋上貸し菜園「都会の農園」にて農園長を経験。インドネシアの人材事業、環境省との有機農業の普及啓発事業、BBQ事業を経て、2019年に宮崎県に拠点を移し、食べもの付き情報誌「宮崎ひなた食べる通信」をスタート。

現在は、延岡メンマだけでなく、複数の事業を手がけている。

-----宮崎にUターンした理由は?

江原代表:祖父母が農業をしており、小さな頃から畑や山で遊んでいました。

そんな小さな頃から見て来た場所が耕作放棄された畑や整備されてない荒れた山になっていくのを目にし、中学生の頃から、農業・山・環境問題などに興味を持つようになり、「農業系の大学に進学して、地元の農業のために働きたい」と思うようになりました。

それを実現するために、“東京農業大学へ進学し、農業ベンチャーに就職して力をつけて、30歳までには地元宮崎に帰る”という目標を立てました。

江原代表は、その目標通りに東京農業大学で学び、東京の企業で経験を積み、地元宮崎に戻ってきたという。

地域資源を活用したソーシャルビジネス

-----放置竹林とメンマに目を付けた経緯を教えてください。何かきっかけになるような出来事があったのですか?

江原代表:私は、高齢化や担い手不足といった地域の現状を幼少期から見ており、地域資源を活用したソーシャルビジネスを立ち上げたいと考えていました。

宮崎に帰ってきた時に、畑と山を把握したいと思い、周辺を見て回りました。すると、実家の山には竹林が無数にあるのですが、竹の成長スピードが速いことから管理が間に合わない土地がたくさんあることに気づきました。

「この竹をどうにかできないか」と考えて調べ、竹を取り、それを食べることができる“メンマ”に行き着きました。

そうして、すぐに国内市場や技術などについて調査。メンマの原料となる乾燥タケノコは94.5%を中国からの輸入に頼っているが、飲食店では国産品を求めるニーズが増えていることなどが分かり、放置竹林を活用したメンマづくりに乗り出したという。

提供:LOCAL BAMBOO

トライ&エラーを繰り返し、乗り越える

-----放置竹林を活用したメンマをつくるにあたって、大変だった点は?また、それをどのように乗り越えましたか。

江原代表:やり方がわからず、福岡にある国産メンマを作る会社へ何回も通いました。私は、実際に目で見て作業しないと納得しない性分なので、現場で加工まで作業させていただきました。

また、技術を取得した後も、一人で作業をするには限界があったので、父や母、地域の方々に手伝っていただきました。

まずは1年間辛くてもやってみようと考え、トライ&エラーを繰り返し、スモールスタートでも続けることで、乗り超えることができたと思います。

大変なのはモチベーション維持

-----地方で働くこと・事業を展開することのやりがいを教えていただけますか?

江原代表:地元の人たちに喜んでもらえ、その姿を見られるところです。「ありがとう」と言われると嬉しいです。

-----大変な点も教えてください。

江原代表:大変なところはモチベーションですね。

私の住んでいる宮崎では、年が近い人たちが事業をしていたり、また、関係する先輩達もいるので、その方たちと情報交換したりアドバイスをもらうことで、モチベーションを維持していました。

ベースには「一次産業に貢献する」という志

-----現在、複数の事業を手がけているそうですが、他にどのような事業を展開していますか?

江原代表:現在は、農家のために販路を開拓したり、商品開発・農園の技術指導・アグリテックの導入補助などを行っています。

-----それらの事業を展開するにあたって大切にしている行動・考え方をお聞かせください。

江原代表:一次産業に貢献することです。

中学生の頃から持ち続けた“地元の農業に貢献したい”という目標を実現するために、東京で学び経験を積んできた江原代表。

その一途な想いと、地域の課題である“放置竹林”をビジネスに変えるという着眼点により、宮崎の一次産業が今後どのように盛り上がっていくのか、期待が高まる。

出典元:延岡メンマ

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