1. 【書き起こし】「失敗したとしても、無駄にはならないんだ」起業家イーロン・マスクの信念

【書き起こし】「失敗したとしても、無駄にはならないんだ」起業家イーロン・マスクの信念

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by OnInnovation
 イーロン・マスク氏が初めて起業した会社「Zip2」を設立した時、彼はスタンフォード大学院の生徒になってから僅か2日しか経っていなかった。たった2日でスタンフォードを退学した彼は、起業家としての道を辿った。

 次に彼が起業したのは、インターネット決済サービスPayPal社の前身となるX.com社である。

 そして、彼は今、宇宙船開発会社SpaceX社を起業し、現在はOpenAIという非営利団体でAIの研究に力を注ぐ。

 今回はスタートアップ企業へ投資する、Yコンビネータ社によるインタビューの書き起こしを行う。Yコンビネータによるインタビューは、これまでもいくつか紹介している(Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏、Dropboxのドリュー・ヒューストン氏)。イーロン・マスクは、多くの起業を体験した人物として何を語るのだろうか。

人の役に立ち、意味のあることをする

今自分が22歳だったらどうするか


イーロン・マスク:先ず言いたいのは、仮にその人が社会全体にとって有益なことをしているならば、それで十分だということ。つまり、別に世界を変えなくても良い。もし、それが人々にとって高い価値があるものならばね。

はっきり言って、ゲームや写真共有サービスなどのささやかなものだとしても、それが大勢にとって少しでも価値があるものなら素晴らしいことだと思うんだ。良いものだからといって、何もそれが世界を変える必要はないよ。だけど、人類の未来を近いうちに最も影響するものは何かと考えると、それは恐らくAI一択だろうね。

だから、AIを良い形で到来させることはとても重要なんだ。何度も議論が行われているように、AIは悪い方向に進みかねない技術。だから、AIに対して働きかけ、それによる結果が明るい未来であることを確実にするのが、今一番大切だと思う。次に、遺伝学関連のことをするだろうね。

もし、遺伝子の再構築によって遺伝性疾患を解決したり、痴呆症やアルツハイマー病を予防できたら、最高だと思う。だから遺伝学は2つ目に入るよ。3つ目は、脳に対する広帯域幅インターフェースだ。現在、僕らは帯域的に制限されている。僕らは、Eメール、コンピュータ、携帯電話、アプリを通じての別次元の自分を持つ。

僕らは事実上スーパーヒューマン(超人)なんだ。でも、僕らは自分と別次元の自分をインターフェースによって非常に制限されている(恐らく、電子世界への発信が物質を介しているから、自分と電子世界での自身に乖離が生じる、という意味)。そして、この制限の解決に貢献するのは、未来にとってかなり重要なことだと思う。

次世代のイーロン・マスクになるためには?


イーロン・マスク:僕が大学にいた時――つまり25年前なんだけど――考えていた5つのことは、「人類を他惑星居住にすること、再生可能エネルギーの利用への移行を加速させること、広義の意味でのインターネット、遺伝学、AI」なんだ。これらのことに関わることになるとは、思ってはいなかった。

実際、大学生時代、僕は「自動車の電気化」がその計画の最初のステップだと思ってたんだ。事実、僕はインターン生としてそういうことをやっていたしね。そして、スタンフォード大学院に行く時、自分の研究は電気自動車の分野だと思っていた。

それを一旦中断して、95年にインターネット会社を始めたんだ。あるテクノロジーには、急変する時期があるみたいに思えたから。スタンフォードで博士号を習得している間に、それを見過ごしたくなかった。更に、その時自分が取り組んでいるテクノロジーが果たして成功するかどうかわからなかったからね。

結果的に、世界にとって何の実用性も、意味もない博士号は沢山ある。僕は役立つ人間になりたかっただけなんだ。「実際に役立つことで、自分ができることは何だろう?」と考えていた。

役立つ人間になるためには


イーロン・マスク:役立つ人間になるためには、博士号を必ずしも取得する必要はないよ。そうするには、何を作るにせよ、自分が作ったものが何人の人を、どのくらい影響するかを計算することだ。

だから僕は、少数の人々に大きな変化をもたらすのは、大勢にささやかな変化をもたらすことと同様に素晴らしいことだと言ったんだ。つまり、人の役に立ち、意味のあることをするってことなんだ。

技術の進歩はどう行われるか


 先ず彼は、自分がSpaceX社を立ち上げた理由を述べた。彼は、「ロケット技術を進歩させる何かがなければ、人類は永久に地球に居続けなければならないことになる」と結論付いたと語る。彼によると、他の大手航空宇宙会社は革新的なイノベーションには興味がなく、年々古い技術を改良していけばいい、と考えを持っていたらしい。

イーロン・マスク:一定の人々は、時間が経つにつれてテクノロジーは勝手に改良されると考えているけど、実際は違う。テクノロジーがより良くなるのは、賢明な人々が改良のために計り知れないほど努力をした場合だけだ。これは、どんなテクノロジーにも当てはまること。

テクノロジーそのものは、人々が働きかけなければ途絶える。文明の歴史を振り返ってみようか。例えば、古代エジプト人は素晴らしいピラミッドを作れたのに、作り方を忘れてしまった。ヒエログリフさえも同様だ。彼らはそれをどう読むのかを忘れてしまった。このようなケースは、歴史上沢山ある。

つまりエントロピーは味方ではないということを、我々は常に念頭に置くべきだと思う。

恐れの克服


ーーあなたは、恐れ知らずで多くの人が、「それはとんでもないことだ」と言っても、突っ切りますよね。他の人がその様に反対する時、あなた自身はどう決断されるのですか? また、どのようにそのような精神を持てるのですか?

イーロン・マスク:ええと、先ず僕はとても恐れを強く感じる方だと思う。だから、僕に恐れが欠如している訳ではない。それを押し殺してでも、十分に重要だと感じ、そのことを信じる時があるんだ。恐怖を感じるのは当たり前なことなんだから、「これは怖いから(リスクがあるから)やらない方が良い」と人々は考えるべきではない。恐怖を感じなかったら、病気だよ(笑)。

ーーそう感じたとしても、重要なことだから実行するのですか?

イーロン・マスク:そうだよ。ある程度までだけど、「宿命論」は結構心強い。可能性さえ受け入れれば、恐怖が減少する。Space Xを起業した時、成功する可能性は10%以下だと思っていたし、もしかしたら全てを失うかもしれないことを受け入れていたよ。でも、もしかしたらそれが前進に繋がるかもしれない。

もしそれがきっかけを生みさえすれば、それで僕らの会社が死んだ(倒産した)としても、他の企業がバトンを受け継いで前へ進み続けてくれるかもしれない。だから、無駄にはならないんだ。

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