マーク・ザッカ―バーグ氏がFacebookを創業した時、彼はまだ19歳の大学生だった。彼は若い企業家のアイコン的存在で、現在も世の中を刺激している。
そんな彼は2016年にYコンビネータからインタビューを受けた。Yコンビネータとは、1年に2度スタートアップ企業へ大規模に投資する企業で有名。このインタビューの中で、ザッカ―バーグ氏は主にFacebookの歴史、起業論、苦労などを語った。その書き起こし文を前後編でお届けする。
最も優秀な会社は社会に変化をもたらそうとしているものだ
Facebook創設まで(要約)
先ずザッカ―バーグ氏は、Facebookがどう始まったかについての質問を受け、そのことを語った。彼は大学時代ハーバード大学で、心理学、コンピューターサイエンスの分野を学んでいたと言う。そして、彼が心理学で学んだことの1つは、人を理解すること、言葉を理解すること、人と意思疎通をする方法、表情や感情を読み取ることを対象にした脳の部分があることだ。
彼が2004年にインターネットを見た時、そこには多くのものは備わっていて充実してはいるが、人々が一番関心があるはずの、他人の近況について把握するものがないことに気付く。そこで彼はユーザーに授業をお勧めするサイト、Course Matchというものを設立した。このサイトでは、自分が取っている授業を選択し、同じ授業を取っている他の人を閲覧することができる。
このようなシステムを作り、彼はどれだけの人が他人に興味があるのかを実感した。この他にも色々なサイトを立ち上げて、第一バージョンのFacebookが出来たそうだ。彼は当初、Facebookが企業になるなんて夢にも思わず、ただ学校であったら便利なものを作っていた感覚であった。
Facebookが彼らが作った他のサイトと違ったのは、その人気である。およそ何週間後には、Facebookはハーバード大学に所属する2/3の生徒に使われており、マサチューセッツ工科大学や他の大学の生徒からの要望も多かったそうだ。そこからFacebookはどんどん波及していったと彼は語る。
起業家へのアドバイス
——あなたが最初どのようにして始まったか考えるとき、初期のFacebookを踏まえて、プロジェクトを創設したい人にアドバイスなどありますか?
ザッカーバーグ:あるよ。僕が常に思っているのは、起業をするということを決断することから始めるのではなく、自分が解決しようとしている世界の問題から始めることなんだ。設立される最も優れている会社というのは、お金設けや、多くの部下を持ちたいからや、なんとなく起業したいからというよりも、如何に地方的であろうと、社会に変化をもたらそうとしているものなんだ。
だから、これはある意味シリコンバレー(IT企業の一大拠点)での誤った考え方だと思うんだけど――というのも、多くの人が何をしたいかを考える前に、起業をすることを考えるんだ。僕はこれを全くの逆だと感じるんだ。起業した経験がある人誰しもが、大変な困難を乗り越えなければならないことを知っているはずだ。
それを乗り越えさせてくれる1つの要素は、自分がしていることを信じ、自分がしていることが人々に本当に多くの価値を提供していると確信していることなんだと思う。僕が思うに、この結果、最高級の会社が作れると思うんだ。
ザッカーバーグ氏にとっての「一番の困難」
——僕が2つ目にお話したいのは、最悪な時期についてです。というのも、人々は自分がどんなに悪い状況にいるか正しく認識していないように感じるのと、マーク・ザッカーバーグ氏でさえ本当に最悪な時期を経験し、乗り越えたことを知るのは心強いからです。なので、Facebook史上最も困難だったことについて教えてくれませんか?
ザッカーバーグ:うん。僕にとって一番の困難だったのはYahoo!が莫大な資金(10億ドル)で会社を買収するという申し込みをしてきた時だよ。それまでは毎日、会社に来て、自分が正しいと思うことをしていただけだから、転機だったと思う。
——これは会社が立ち上がってからどのくらいのことですか?
ザッカーバーグ:数年だ。当時1,000万人のユーザーがいて、だからこそ、これ以上成功するかどうかはそれほど明白ではなく、それが本当に将来を見据えて、「凄い! このおかげで我々が作ったものが本当に更に意味のあるものになるのか?」と言わなければならなかった一番最初のことだった。
これが僕の会社中や投資家とでたくさんの興味深い談話を起こし、その果てに、ダスティン(ダスティン・モスコヴィッツ氏:Facebookを一緒に立ち上げたザッカーバーグ氏の友人)と僕で、「いや、僕たちで1,000万人の生徒の枠を超え、それ以上の人に結び付けて、この事業を本当に成功したものにすることができる」と決断したよ。
それで行くしかなかったんだ。でも、多くの人は本当に会社を売るべきだと思っていたから、これはとてつもなくストレスフルなことだった。スタートアップに携わった人たちにとって、僕らはこの決断のようにするということを上手に伝えることが出来なかったように感じる。毎日会社に出社、次にするべきと思っていたことをしただけだったから。
だから、早い段階で立ち上げに参加した人たちは、僕と協調していなかった。彼らからすれば、参加して数年で会社を10億ドルで売れるってことは、ホームランみたいなものだったんだよ。ホームランっていうのはわかるんだけど、僕らがしようと思っていることを上手にコミュニケーションとれなかったから莫大な緊張状態を生んだんだと思う。
そして、苦しかったのはそのオファーを断ることではなかったよ。それはその後会社の中の多くの人が僕らのしていることに賛同できず、辞めていったことなんだ。僕らの会社にいたマネジメントチームとか見てみると...
——
もしかしてマネジメントチーム全員辞めたりしました?
ザッカーバーグ:その翌年の内くらいにマネジメントチーム全員が辞めたよ。
——その時期の決断について後悔したことありますか? 例えば、「買収されればよかった」と思った時期はありましたか?
ザッカーバーグ:その点において、僕はとても幸運だったよ。だって、僕が信じたことが上手く行っただけではなく、上手く行くのが結構早かったからね。そうだろ? 文字通り、2006年の夏のことだったと思うけど、News Feed(Facebook上の知り合いの記事や近況が常時アップデートされていくシステム)を実装したんだ。これは、10年後の今から見ても、世界で最も使われている製品の1つだよ。
その後に、僕らはコミュニティーを一気に拡大した、誰でもサインアップ出来る仕組みを実装した。つまり、オファーを断った数カ月後に、それが正しい選択だったのは結構明白だったと思う。
だけど、それから何かを賭けなきゃいけない、これよりずっと難しい決断があったよ――会社の指針や数十億ドル賭けなきゃいけなかったり。そしてそれは、5年や10年経たないと正しい選択だったかどうかわからないんだ。
この解答を終え、インタビューアーはザッカ―バーグ氏にそれから会社を売ろうと思ったことがあるかどうかと聞いたが、ないと答えた。
(後編へ続く)
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