スキルや知識を高めるために、個人的にビジネス書を読んだり、セミナーに参加したりして自分を磨いている人は多いのでは?しかし、モチベーションを高めてより良い成果を生み出すためには、周囲と一緒に向上していくことが効果的なのかもしれません。
株式会社要の櫛原千裕さん(24)は、「自分一人だけが向上するのではなく、周りの人と一緒に向上していくことを大切にしています」と話します。
周りと一緒に向上していくことで、どのような効果が期待できるのでしょうか。仕事への向き合い方を取材しました。
ソフトウェア開発やコーヒー事業を展開
株式会社要は、“IT企業の技術を使って世界にHAPPYを生み出す”というミッションを掲げ、ソフトウェア開発事業およびネパール産スペシャリティコーヒー事業を展開しています。
コーヒー事業を通してSDGsへの取り組みを進めており、2020年10月には、宮城県仙台市にヒマラヤ山の麓の地域でとれた特産品を販売するアンテナショップ「HM's(ヒマラヤンズ)」をオープン。今秋からは、コーヒーの定期便をオンライン販売にてスタートしました。
いま一番やりたいことを優先
櫛原さんは建築学科出身。もともとは大学院進学や一級建築士資格取得を目指して勉強しており、就職は考えていなかったそう。しかし、コロナ禍をきっかけにキャリアについて真剣に考え直した結果、IT関係・システム開発という新しい軸を見つけ就活をスタートしたといいます。
現在は、システム開発部に所属。受託案件のシステム開発業務と並行して、ネパール事業のJICA申請プロジェクトの責任者を務めています。
-----大学では建築学専攻だったそうですが、システム開発の仕事を志した経緯を教えていただけますか?
櫛原さん:建築の仕事は一つひとつのプロジェクトが大きいため、そこに自分がどう関わっていくのかビジョンが見えませんでした。
そこで注目したのが、建築学科で多少関わりがあったプログラムです。「ITやプログラムの技術はどこでも使える」「ITやプログラムの技術があれば、自分ですぐに勝負をかけることができる」と考え、システム開発を志しました。
-----IT・システム開発という新しい分野に挑戦されたのですね。就活は大変ではありませんでしたか?
櫛原さん:新しい分野への挑戦自体は全く大変ではありませんでした。ただ、「これまで建築関係の勉強をしていたことが無駄になるのでは…」という迷いはありましたね。
-----その迷いをどうやって払拭したのですか?
櫛原さん:「自分はまだ20代前半なので、人生はこれからだ」と考えました。
まだ若いので、もし仮に、数年後に建築業界に戻りたくなったとして、戻ることは十分可能です。それなら、今まで学んできた分野にこだわる必要はありません。そう考え、その瞬間に自分が一番やりたいと思っていることを優先しました。
想いが尊重され、挑戦できる環境が決め手
-----ファーストキャリアを選ぶにあたって、「これだけは譲れない」とこだわったことは?
櫛原さん:二つあります。
一つ目は、新しい技術に常に関わっていける職種です。勉強することが好きなので、常に新しいことを学び続ける必要がある仕事に就きたいと考えました。
二つ目は、お客様から近い位置で働くことです。そのため、ビジネスモデルや開発についての提案など、お客様と密に関わることができるいわゆる上流工程の仕事にこだわりました。
-----数ある企業の中から「要」を選んだ決め手を教えてください。
櫛原さん:就活では、「自分で勝負したい」「自分が提案してサービスを提供したい」という想いが強かったため、大手ではなく、ある程度小さな会社を志望していました。
その中でも要を選んだ決め手は、人の想いを尊重していることが事業内容で証明されていたからです。
要は、メインのIT事業に加え、ネパールコーヒー事業も展開しているのですが、それはネパール人社員の発案からスタートしたと聞きました。
「うちの会社は、やりたいことに挑戦しやすい環境が整っていますよ」とアピールする会社は多いですが、実際には新しい挑戦を実行するのはそう簡単ではありません。
しかし、要ではネパール人社員の発案が本当に事業化につながったことを知り、「この会社には、社員がやりたいことに挑戦できる環境が本当に整っている」と実感しました。
学ぶ仲間の存在がモチベーションにつながる
櫛原さんは入社から約半年で、ネパール事業のJICA申請プロジェクトの事業責任者に就任。現在は、5人のメンバーと共に、ネパール国内を豊かにするための一連のビジネスモデルの構築・提案などを行っているそうです。
-----入社約半年で責任者に抜擢されたのは凄いですね。入社後、どのようことを心がけていましたか?
櫛原さん:与えられた役割をただ果たすのではなく、「これは何のためにやっているのか」「もっと良いやり方があるのではないか」と常に考え、提案することを心がけていました。
-----他に、働くにあたって大切にしていること・心がけていることはありますか?
櫛原さん:自分一人だけではなく、周りの人たちと一緒に向上し続けることです。
ITは常に進歩している業界なので、現状維持は退化につながります。そのため、常に新しい情報をキャッチアップして勉強することを心がけているのですが、自分一人が向上するのではなく、社内に“向上し続ける風土”をつくることを大切にしています。
同じように勉強し続けている仲間の存在こそが、互いのモチベーション維持につながり、効果的に向上し続けることができるからです。
そう考え、社内に限らず、SNSなどで同じような勉強をしている人とつながることで、「自分もやらないと…」とやる気を高めています。
-----周りの人も一緒に向上していくことが大切と気づいたきっかけは?
櫛原さん:大学時代に所属していた応援部の活動を通して、自分が活動を楽しむことももちろん大切ですが、それ以上に一緒に活動する人や、自分の行動の先にいる人のことを考えることが最も大切だと気づくことができました。
-----コミュニケーションをとるにあたって、大切にしていることはありますか?
櫛原さん:まずは相手のことを知ることから始めています。
つい、相手のことをぱっと見の印象などで判断してしまいがちですが、話してみると意外な発見があります。そのため、自分が話す以上に相手の話をたくさん聞いて、その人についての理解を深めることを大切にしています。
いまの立場で貢献できることに挑戦
-----入社してからこれまでを振り返って、「これをやって良かった」ということは?
櫛原さん:入社直後に社内のイベントチームに参加して、会社や社員に関わるオリジナルの謎解きを作成・提供したことです。
開発経験が全くない状態で入社したので、最初の2・3カ月は会社の売り上げに貢献できません。そこで、「せめて社内の雰囲気の向上に貢献したい」と考え、イベントチームに参加しました。
-----それにより、どのような効果がありましたか?
櫛原さん:リモートワークがメインで日常的な関わりが少ないメンバーたちが、会社やお互いについての理解を深めることに貢献できたと思います。
また、自分自身も謎解きの作成を通して、入社後の早い段階で会社の事業やメンバーについての理解を深めることができ、貴重な機会になりました。
一緒に働く人・サービスの先にいる人を意識する
-----これから挑戦してみたいこと・実現したいことなど、ビジョンを聞かせてください。
櫛原さん:社内での新しいサービスの立ち上げに関わりたいです。
具体的には、ITの力を使って地方と東京の教育環境の差を解消させるサービスを生み出したいと考えています。
僕は地方で生まれ育ったのですが、上京後に教育水準や意識などにおいて地方と東京で大きな差があることを実感しました。生まれ育った環境で教育に差が生じないようにするために、ITの力を使って教育の課題を解決させたいと思っています。
-----最後に、「仕事を楽しみたい」と考えている同世代に向けて、メッセージをいただけますか?
櫛原さん:「仕事を楽しみたい」と、あまり気負いすぎなくてもよいのではないでしょうか。僕自身、特に「仕事を楽しもう」という気負いは持っておらず、仕事は人生におけるツールの一つだと考えています。
そのうえで、「もっと仕事を楽しみたい」と思うのなら、一緒に働いている人・自分が手がけているサービスの先にいる人・サービスの影響を受ける人など、“この仕事がどのような人につながっているのか”を意識してみると、やりがいを感じ、結果として仕事を楽しむことができるかもしれません。
自分だけが向上するのではなく、周りの人と一緒に向上していくことを大切にしている櫛原さん。
そうすることで、互いのモチベーションを高め合うことができるのはもちろん、結果的により良いサービス・プロダクトを生み出し、更なる向上につながっていくのかもしれませんね。
出典元:要
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