1. フランス週刊紙テロから約1ヶ月 「表現の自由」と「宗教の尊重」に揺れる国内

フランス週刊紙テロから約1ヶ月 「表現の自由」と「宗教の尊重」に揺れる国内

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 覆面を被った武装犯らが風刺週刊紙『シャルリー・エブド』のパリ本社に侵入し、銃撃、編集長や記者ら警察を含めた12人が死亡、約20人が負傷したテロは記憶に新しいだろう。フランスのみならず世界全体に衝撃をもたらしたこの事件から、約1ヶ月が経過した。

仏風刺新聞社で未曾有の「テロ」

 このテロは、「フランスで起きた最悪のテロ事件」だと伝えられた。というのも、今回のテロは「表現(言論)の自由」と「宗教の尊重」という複雑な問題が絡まったものであったからだ。

テロ発生のきっかけは「風刺漫画」

 今回のテロが発生したきっかけは、襲撃された風刺週刊紙『シャルリー・エブド』が発行した風刺漫画にあった。イスラム教の聖戦を風刺する漫画や過激派イスラム国のバグダディ指導者を題材にした漫画が掲載されたことが、偶像崇拝の禁止を重んじるイスラム組織を挑発する結果になったと見られている。

 同社は、様々な風刺漫画やイラスト等を掲載する風刺週刊紙である。その風刺対象は様々であり、以前にもイスラム教の預言者である「ムハンマドの生涯」という漫画を掲載し、イスラム団体から批判や脅迫を受けていた。

仏最悪のテロ事件でフランスに変化

 今回のテロ事件を受けて、一国内に様々な宗教を抱えるフランスでは、「表現の自由」に関する波紋や様々な意見が上がっている。

「表現の自由」を求める運動と潜む影

 今回のテロ事件後に初めて出版される『シャルリー・エブド』には多くの注目が集まった。シャルリー・エブド社は通常の100倍以上の部数を発行し、通常よりも三カ国語多く翻訳が行なわれた。同社の週刊紙は「表現の自由」の象徴となり、売り切れが続出。
 
 さらにフランス各地でデモが発生した。フランス国内で発生したデモには二種類あり、一つは「フランスはデモに屈しない」という主張を訴える国民一体のデモであり、もう一つは「表現の自由」の保護を訴えるデモである。「Je suis Charlie(私はシャルリ)」と書かれたプラカードを掲げたデモは後者だ。

 これらの事象に対しては、批判の声もある。フランス国内には約6%のイスラム教信者がおり、それらに対する圧力になるとの声が多い。表現の自由は万人に保障されるべきものであるが、こういった運動は少数派からの反発を招く。二度目のテロ勃発を招きかねないのだ。

政府も「異例の措置」

 フランステロを受けて立ち上がったのは市民だけではない。仏政府や警察はテロ対策を強化する動きを見せた。

 主に三つの動きが見られる。一つ目は、テロ対策予算を今後三年間で約580億円増額すること。二つ目は人員の増員で、フランス国内で監視すべき対象者が増加していることから、情報期間要員の約1100人、司法分野を中心に約2700人増員する見通しだ。三つ目は、新たな法規制の設置である。イスラム過激派が関連するテロ犯が二重国籍の場合には、フランス国籍を剥奪することを検討している。


 テロ事件発生を受けて変化していくフランス社会。「表現の自由」と「宗教の尊重」は重大な問題であり、政府や市民は慎重に検討していく必要がある。

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