パリの風刺週刊誌「シャルリエブド」本社で今月七日に起きた銃乱射事件。同紙の編集長を含む17名が犠牲になった一連の事件を受け、仏各地で数万人規模の集会・行進が行われた。
また今月十一日には欧州各国首脳がパリで一堂に会し腕を組み「反テロ行進」を行った。オランド仏大統領を筆頭に、メルケル独首相、キャメロン英首相、レンツィ伊首相、ラホイ・スペイン首相らが参加した。
新聞社銃撃事件の経緯
イスラム教の預言者ムハンマドを題材にした風刺画などを掲載していたシャルリエブドが襲撃された今回の事件。同社はこれまでにも何度か脅迫を受けており、オフィスが放火されたこともあったという。実行犯はフランス人であったが、イスラム過激派との関連が指摘されており、容疑者の一人は生前、「イエメンのアルカイダの指令で動いた。」と仏テレビ局の電話インタビューに語っていた。三人の容疑者はすでに射殺されている。
シャルリエブド銃撃事件の実行犯はアルジェリア系フランス人サイド・クアシ(34)、シェリフ・クアシ(32)の兄弟だ。彼らは新聞社銃撃事件の翌々日、九日に工場に人質を取って工場に立てこもったのち警官の突入を受け射殺された。
また八日朝には容疑者兄弟との関連が確実視されているアメディ・クリバリ容疑者(32)がパリにて女性警察官を銃撃し死亡させた。翌九日、クアシ兄弟が工場に立てこもった日にクリバリ容疑者もユダヤ系の商店に人質をとり立てこもった。同容疑者も同様に突入した警官に射殺されている。
一連の事件での犠牲者は17人に上った。
事件を受けて仏国内は
仏国内では今回の事件を受け、各地で大規模なデモが行われた。中でもパリで行われたデモには120万人~160万人が参加したとみられている。その他ボルドーやリヨンなど各地で数万~数十万人規模のデモが行われており、仏全土では約370万人が参加したとみられている。
また同デモ行進には欧州各国首脳のほか対立が続くイスラエル、パレスチナ自治政府の両首脳も参加した。オランド仏大統領は「国全体が団結して立ち上がるだろう。」と述べ、国家が団結している姿勢を強調した。
今回の事件に対してはイスラム教世界からも反発の声が発せられている。サウジアラビア政府は「真のイスラム教は卑劣な暴力を断固拒否する。」との声明を発表し、またイスラム教スンニ派の最高教育機関であるアズハルは「イスラム教はあらゆる暴力を非難する」と声明を発表している。
移民国家であり多数のイスラム教徒が住むフランス。一部の過激派によって引き起こされるテロ行為によって民族間、宗教間の対立が深まる可能性は大いにある。テロによる被害だけでなく、それに付随するこうした問題も世界が団結して取り組むべき課題となるだろう。
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