たった1年で平和堂のハウスカード「HOP-VISAカード」のリニューアルとグッドデザイン賞受賞を成し遂げた若手社員の奮闘

2024/01/22(最終更新日:2024/02/15)


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株式会社平和堂は1957年に滋賀県彦根市で創業以来、滋賀県を中心に関西、北陸、東海の2府7県でスーパーを展開。地域の皆様のあらゆるライフスタイルに関わる「地域密着ライフスタイル総合(創造)企業」を目指しています。



現在、平和堂では、お客様お一人おひとりのライフスタイルに合わせた新たな価値を提案するためにAI(人工知能)やビッグデータなどの最先端技術の活用を進めています。その一環として、2023年10月にリニューアルデビューした平和堂のHOPマネー(電子マネー)機能付きクレジットカード「HOP-VISAカード」は、国内の小売業のクレジットカードで初めてグッドデザイン賞を受賞する快挙を成し遂げました。今回はこのカードがどのように誕生したのか、その開発ストーリーをご紹介します。



最新のデジタルで新しい顧客体験を創造するために、注目したのは購買データ

クロステック企画部長 兼 金融事業プロジェクトリーダー 宮領康博さん


過去に、金融機関や食品メーカーで働いていた経験から、小売業のハウスカードが持つ購買データの可能性は大きいと感じていました。平和堂のオリジナルポイントカード「HOPカード」の会員数は約420万人。平和堂におけるお客様の購買データをビッグデータとして最新のデジタルを用いて活用できれば、高度なOne to Oneマーケティングが可能になるのではないかと考えました。


しかし、ここで掴むことができるのは、あくまでもHOPカードが利用できる「平和堂の店舗におけるお客様の購買行動だけ」です。


お客様のライフスタイルをトータルで知ることができなければ、真のライフスタイル総合(創造)企業とは言えません。消費者をとりまく環境が目まぐるしく変化し、どんどん多様化していくお客様のライフスタイルに寄り添うためには、平和堂だけでなく平和堂以外での消費購買行動を含めて、トータルでお客様のライフスタイルをつかむ必要がある。


そう考え、まずは平和堂のロイヤルカスタマーであるHOP-VISAカードホルダー約15万人の消費購買行動をつかむべく、新しいHOP-VISAカードでは平和堂でのお買い物に加えて平和堂以外のお買い物でもHOPポイントを購買金額の1%付与することにしました。



お客様には購買データをいただく代わりにポイントという形で利益を還元し、それをもとにお一人おひとりにあった「心地よい」サービスを展開する。さらに、クレジットカードでありながら、自然や地域とのつながりを感じられるようなやさしいカードをめざしました。


お客様、世のなか(環境・地域)、平和堂を「三方良い関係」でつなぐHOP-VISAカードは、我々が大切にする「三方良し」の考えを体現する象徴と位置づけ、リニューアルプロジェクトが始動しました。


プロジェクト推進にあたって悩んだのは、誰をプロジェクトの中心にするかでした。当社では、ベテラン社員が中心となり部下や後輩を引っ張りながら業務を遂行するスタイルが主流。しかし、新しい価値観や視点を取り入れるために、思い切って若手社員を中心に据えました。こうして、プロジェクトは異例のスタートを切りました。

新しい時代のクレジットカードとして、素材、デザイン、すべてにこだわりました

クロステック企画部 金融事業プロジェクト 鹿田沙月さん


「三方良い関係」を体現するカードとして、最もこだわったのがカードの素材とデザインです。一見、無機質に見えるクレジットカードですが、支払う時に必ずお客様が目にし、手に触れるものです。質感や色合い、手触りにこだわるとともに、使うたびに環境や地域に思いを馳せてもらえる、そんなカードをイメージしました。


新しく生まれ変わったHOP-VISAカード


イメージを具体化するにあたって、まずは長年地域に親しんでいただいている「平和堂ならでは」のものにしたいと考えました。同時に、あまり平和堂になじみのない私のようなミレニアル世代の生活にもなじむ洗練されたデザインを意識し、当社のコーポレートカラーである緑をベースにやさしいオリーブ色を特注のインクで実現しました。


次に「滋賀県に本社を置く平和堂として、滋賀県の魅力を伝えたい」、そう考えて滋賀県が誇るびわ湖からいくつかのインスピレーションを得ました。デザイン面では、びわ湖の波打ち際をイメージしたゴールドの箔押しラインを取り入れ、高級感とスタイリッシュさを演出しました。


しかし、「新しい時代のカードとして、クレジットカードの便利さやお得感、デザインだけではない新たな価値やメッセージを、平和堂としてお客様にお届けすることが必要なのではないか」と、上司から宿題をもらい、さらにアイデアを絞ることに。試行錯誤の末、今度はカードの素材に着目しました。




平和堂の社員はサステナビリティ教育の一環として、滋賀県をはじめ店舗を展開する府県の協定地の森林で、森林保全活動に参加します。これらの森林保全活動は琵琶湖の水質を守ることにもつながっているため、積極的に活動を推進しています。


そこで、券面の素材に滋賀県産のスギやヒノキといった間伐材由来のパルプを10%配合。結果として、プラスチックの使用量を約10%削減することにつながりました。


また、バイオマスマークの認定取得や、木の良さや価値を再発見するアワード「ウッドデザイン賞」を受賞し、当社で推進しているサステナビリティの取り組みに大きく貢献することができました。


独特な輝きが魅力の「琵琶湖パール」


さらなる付加価値として注目したのは、イケチョウガイという琵琶湖固有種の貝から生産される淡水真珠「琵琶湖パール」です。琵琶湖パールはかつて滋賀県で生産が盛んでしたが、琵琶湖の水質悪化により一時は著しく生産量が減少。しかし、近年になってその価値や美しさが見直されつつあります。


この琵琶湖由来の淡水真珠が持つ魅力を少しでも多くの方に身近に感じてもらおうと、従来は廃棄されていたイケチョウガイの貝殻の真珠層を粉末にして券面のプリントに使用するインキに混ぜ込みました。こうすることで、通常のインキとは異なる独特のやわらかな煌めきと高級感が生まれ、これまでにない唯一無二のクレジットカードが完成しました。

社内調整やデザインの選定、はじめてのことに奔走する日々。

1年後のリニューアルデビューに向けて、事業スキームの構築は上司とともに行ったものの、素材の交渉やデザインの確認は全面的に任されていたため、社内調整や協力会社様との交渉は想像以上に大変でした。なかでも、ようやく手元に届いたカードサンプルの質感が違ったときは、本当に焦りました…。


あとになって、琵琶湖パールの貝殻粉末を練りこんだことで、本来のインキとは異なる質感となったことが判明。粉末をさらに細かく再加工することで、通常のインクと遜色なくマット加工も施すことができ、理想の質感を実現できました。

HOPーVISAカードは、小売業のクレジットカードとしてはじめて、2023年度のグッドデザイン賞を受賞

グッドデザイン賞授賞式にて


受賞の知らせを聞いたときは、本当に嬉しくて、これまでの苦労が報われた気持ちでした。クレジットカードの機能やデザインだけではなく、私たちの企業理念や地域の魅力が伝わったのだと思うと、こんなに嬉しいことはありません。


何より、こうして無事にリニューアルを実現できたのは、当社が長年にわたって地域やお取引先とともに様々な取り組みや協業を進めてきたご縁で、多くの方々にご協力いただいたおかげ。こんな風にご協力いただける方がいること自体が、「平和堂ならでは」なのかもしれません。改めて、ご協力いただいた関係の皆様に感謝しています。



お客様には、HOP-VISAカードを持つことで「少し環境に良いことをしている」「ちょっと気分が上がる」など、少しでも気持ちがいいなと思ってもらえると嬉しいです。


リニューアルから3か月。カード事業としては、まだまだ始まったばかりです。


お客様からいただいた購買データをもとに、どのような「心地よい」サービスを提供できるか、本当のスタートはこれからだと思っています。




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