HOMEインタビュー お祈りメールを“推薦”に変えるサービスが誕生!現役大学生の代表が「学生起業にはメリットしかない」と話す理由

お祈りメールを“推薦”に変えるサービスが誕生!現役大学生の代表が「学生起業にはメリットしかない」と話す理由

長澤まき

2020/11/08(最終更新日:2020/11/08)


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社会人としてのキャリアをつくる第一歩である就職活動。

志望企業に採用されて喜ぶ人がいる一方で、企業から不採用を伝える、いわゆる“お祈りメール”が届き、悲しい思いをする人も。それが書類審査や人事面接等を突破して、ようやく辿り着いた最終面接での出来事なら、悔しさはひとしおだ。

株式会社ABABAは、そんな“お祈りメール”を新たな採用につなげるサービス「ABABA」を11月1日(日)にリースした。最終面接まで進んだが採用に至らなかった学生を他社に推薦することで、学生を応援でき、不採用にした学生ともいい関係を構築し続けることができるサービスだ。

学生と企業の双方にメリットがある画期的なサービスを、どのように生み出したのか?現役の大学生である久保駿貴代表にリリースまでの道のりや学生起業のメリットについて取材した。

採用できなかった学生を企業間で推薦

「ABABA」は、最終選考まで進んだものの採用に至らなかった学生を企業間で推薦しあい、採用もできるプラットフォーム。

ユーザー企業は不採用になった学生に対して、ただ不採用を告げるのではなく、「あなたは弊社では採用できませんでしたが、素晴らしい学生なので、弊社の最終面接まで進んだ学生としてABABAで推薦します。あなたのこれからの就職活動を応援させてください。」と、同サービスへの登録を促すメールを送る。

学生が登録したら、面接を担当した人事はその学生の面接評価を入力。

すると、その学生が「どの企業の最終選考まで進んだか」「どこに強みがあるのか」「なぜ採用に至らなかったか」の情報が掲載された状態で、オファーを送れる学生一覧に表示される。

就活に“セーブポイント”をつくり出す

同サービスを運営する株式会社ABABAの久保駿貴代表は岡山大学理学部の4回生。

岡山大学に入学後、「訪日外国人を日本人学生が案内するツアーサービスGUIBO」でミライのピッチ最優秀賞・CVG中国地方大会最優秀賞・起業家甲子園全国大会準優勝を獲得。「ファンから始まるクラウドファンディング はろとくわ」などの創業を経て、ABABAを立ち上げた。

-----起業に踏み切った経緯を教えてください。

久保代表:ABABAが解決する課題は、私の大学の友人の経験が元になっています。

彼は就職を考え始めたときからずっと「俺はD社に行く。D社が大好きだ。一生を捧げる。」と宣言していました。

そして今年の6月、彼は最終面接まで進むことができたのですが、残念ながらそこでお祈りメールをもらってしまいました。

志望企業の最終面接に落ちてしまった友人はその後、飲み会の席で「なんで俺を採用しないんだよ!また1からのスタートじゃないか」「もう二度とD社が宣伝している商品は買わない」と言っていたという。

久保代表:ここで、「一生を捧げる」とまで言った企業のことをなぜここまで嫌いになってしまうのかを考えてみたところ、現状の就職活動の課題に気が付きました。

それは、“面接で落ちてしまうとそれっきり”という課題です。

彼がいい例ですよね。最終面接まで頑張って進んだのに、落ちてしまうとお祈りメールをもらってそれでおしまいで、また他の企業の面接を1から受けていく必要があるんですよ。

言うなれば、ドラクエやFFのようなRPGをセーブできない状態で進めるようなものです。ボスに一度でも負けたらまた1からですよ?かなり辛いですよね。

でも、学生ってこんな状態で就職活動しているんです。

私は、この非効率なRPG(就活)の世界に“セーブポイント”を作り出し、面接に落ちてしまったとしてもそこまでの頑張りを評価してもらえるような世界を作ることで、友人の課題を解決できるのではないか、と考えました。

その解決方法が“最終面接まで進んだ学生を企業間で推薦しあうプラットフォーム”を作ることであり、結果的に起業に至ったという形です。

ヒアリングにこだわり、サービスを改善

-----同プラットフォームをリリースするまでの道のりを、簡単に教えてください。

久保代表:まずは最低限の資金を日本政策金融公庫から調達しました。

次に、外部でサービス開発を委託すると莫大な資金がかかったり、PDCAを回す速度が落ちてしまうので、ABABAのビジョンを語って開発ができるメンバーを仲間にしました。

そこからはヒアリングを重ねてサービスの改善に取り組み、モックアップができた時点から企業営業を開始しました。そして、11月1日のリリースに至ります。

-----サービスをつくる上でこだわった点は?また、それをどのように実現させましたか。

久保代表:ヒアリングです。

今回のサービスは学生の課題感から思いついたサービスだったので、企業側のサービス利用メリットをうまく構築する必要がありました。

そのため、着想から1~1.5カ月ほどを企業ヒアリングのみに費やし、実際にサービスを活用する人事の方の意見を聞きながら、学生・企業の両方に活用メリットがあるサービスに近づけていきました。

初めての起業は右も左もわからず、手探り

-----地方&学生での起業は、大変なことも多かったのではないでしょうか?起業に向けて、どのように動きましたか?

久保代表:約1年前から、「訪日外国人と日本人学生のマッチングサービス GUIBO」や「馴染みの店舗を支援できるクラウドファンディング はろとくわ」など、複数の事業を開発・リリースしていたので、ABABAの起業に関してはスムーズに着想〜開発まで進めることができました。

ちなみに、初めて起業した「GUIBO」の時は、右も左も分からずに本当に苦労しました…。

GUIBOの時は、サービスを着想してすぐに「資金調達だ!!」となって、ANAやJALに「資金を出してくれ!」と電話したり、Twitterでエンジェル投資家にDMを送りまくっていました(笑)。

そんな中、アホすぎるDMに唯一、CAMPFIREのCEOである家入さんが親身になって返信してくれて、「まずは開発のできるメンバーを仲間にしよう。」というアドバイスを下さりました。そこからクラウドワークス経由でエンジニアを一人仲間にすることができて、サービスが動き出した…という感じです。なので、家入氏にはいつかちゃんとお礼が言いたいですね。

-----学生生活と起業をどのように両立させましたか?

久保代表:仲間の存在が大きいです。

ABABAは僕が代表として一人で運営しているのではなく、4人の社会人の方と2人の学生インターンで運用しています。

社会人の方々は、ABABAの実現のために無給でフルコミットしてくれている方や、voicyのCHROやレバレジーズの一事業立ち上げ者など、自分より優秀な人たちばかりで構成されています。

彼らがいることで自分がやるべきABABAのタスクに集中でき、大学の研究と両立することが可能になっています。

失敗しても、良い経験となり次につながる

-----久保代表が考える“学生起業”という選択肢のメリットは?

久保代表:学生起業にはメリットしかないと思っています。

大学や友人の後押しに加え、先輩起業家や企業のお偉いさんなど様々な方も親身になってアドバイスを下さり、応援してくれます。(休学して学生の肩書きを維持する人もいるくらいですから…笑)

今の日本には学生向けの起業プログラムであったり、講座等がありがたいことに山のようにあります。

もし、仮に失敗したとしても、20歳前後の学生が失うものなんてありませんし、必ず良い経験となって次に繋がるでしょう。

僕は大学院に進学し、専門分野である大気の研究をしながら、ABABAの成長に向けて挑戦を続けていきたいと思います。

-----今後、どのようなことに挑戦したいと考えていますか?ビジョンを教えてください。

久保代表:自分の起業家としてのモットーは「隣人を助けよ。自分ごとであれ」です。

そのモットーの通り、自分や家族・友人など、自分の周りの人々の課題をサービスで解決していく起業家であり続けたいと思っています。

マイナスイメージの強かった“お祈りメール”を、未来につながるツールに生まれ変わらせたABABAの久保代表。

「お祈りメールをもらったから、もう駄目だ」「地方だから・学生だから、挑戦するのが難しい」と諦めるのではなく、今いる場所・立場はそのまま、新しい視点を付け加えて課題を解決していく、その前向きな姿勢は私たちに勇気を与えてくれる。

出典元:ABABA

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