1. 石野純也のモバイル活用術:公正取引委員会が「4年縛り」を問題視、“半額”の落とし穴とは?

石野純也のモバイル活用術:公正取引委員会が「4年縛り」を問題視、“半額”の落とし穴とは?

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 公正取引委員会が、6月28日「携帯電話市場の競争政策上の課題について」を発表した。これに先立ち、同委員会では、キャリア各社やMVNO各社がヒアリングを受けており、ユーザーへのアンケートなども踏まえ、課題を挙げた格好だ。同様の調査は2016年にも実施されており、今回の報告書はこれをアップデートする形になる。

 中でも問題視されていたのが、いわゆる「4年縛り」だ。4年縛りとは、auの「アップグレードプログラムEX」や、ソフトバンクの「半額サポート」のこと。現時点では、NTTドコモはこの4年縛りに該当するプランはない。“縛り”というが、これは実質的にはという注釈がつき、実態は4年の分割払いのことを指す。

公正取引委員会の報告書ではいわゆる4年縛りが問題視された

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 では、アップグレードプログラムや半額サポートは、どのような仕組みなのか。auとソフトバンクで詳細はやや異なるが、単純に言えば、これまで2年の分割払いだった端末代金を、4年の分割払いに期間を延ばしたものだ。

 24回払いから48回払いに支払いの回数が増えたことで、1カ月あたりの代金は2年分割のときの1/2になっている。

 ただし、これだと、2年間で機種変更する際に、残債が半分残ってしまう形になる。最新機種を2年サイクルで手に入れようと思ったとき、負担額が大きくなってしまうというわけだ。そこでauとソフトバンクは、利用中の端末を下取りすることを条件に、残債を免除する仕組みを導入。この残債免除によって、従来と同様、2年間使えば、次の端末を負担なく機種変更できるようになった。

 この仕組みは、元々auが導入したものだ。auは、2017年7月に端末代と通信料金が分離された「auピタットプラン」「auフラットプラン」を開始。このプランを選ぶと、従来のような「毎月割」がつかなくなるため、毎月の支払いが高騰してしまう。その対策として考え出されたのが、アップグレードEXだった。

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48回払いと下取りを組み合わせて、2年間での機種変更を実現した「アップデートプログラムEX」

 その後、対抗策としてソフトバンクが半額サポートを導入。auとは異なり、月月割はつくが、4年で割賦を組み、2年後に端末の下取りを条件にして残債を免除するという考え方は共通している。

 一見すると、単なる4年割賦と下取りを組み合わせた仕組みにも見えるが、公正取引委員会がこれを問題視したのはなぜか。

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ソフトバンクもiPhoneに合わせ「半額サポート」を導入していた

 それは、2つを組み合わせることで、ユーザーが他キャリアに移りづらくなってしまうからである。ユーザーが残債を免除して次の機種を買おうとすると、次も同じキャリアを使い続けなければならない。解約し、他キャリアに移ると、端末は手元に残るが、約半分の残債も支払う必要が出てくる。

 そのため、うたい文句どおりに“半額”で済まそうとすると、一生同じキャリアを使続けなければならなくなる。事実上の、“無限縛り”になってしまうというわけだ。また、実際には4年間の分割払いと端末の下取りを組み合わせたプログラムなのにも関わらず、あたかも端末代が半額になるような名称、キャンペーンが展開されている点も、問題視されている。

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あたかも必ずスマホ代が半額になるような打ち出し方も問題視された

 公正取引委員会の報告書は、あくまで現状の課題認識を示すものであり、これをもってただちに各キャリアに指導が入るわけではない。

 一方で、状況を放置していれば、私的独占や取引妨害といった名目で調査は排除措置が出る可能性もある。こうした事態を避けるため、各社ともプログラムの内容には変更を加えてくるはずだ。

 考えられるのが、2年後に他キャリアへ転出する場合にも、端末の下取りを選べば残債を免除もしくは、相当額が残債の支払いに充当される仕組みだ。これであれば、同じキャリアを使い続ける人にとっても、そうでない人にとっても、条件は変わらなくなる。少なくとも、今の4年縛りと呼ばれるプログラムよりは、他社に移りやすくなるため、競争の促進につながるはずだ。

 また、「支払額が半額になる」といったうたい文句も使われなくなる可能性は高い。ソフトバンクの半額サポートについては、名称の変更も必要になってくるだろう。ソフトバンクはauと異なり、分離プランを導入していないため、あえて半額サポートを残す必要性も薄い。仕組み自体をなくしてしまうことも、想定の範囲内といえるだろう。

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