1. ルーズなスーツにフェルトハット。20年代ファッション炸裂のベン・アフレック主演作「夜に生きる」

ルーズなスーツにフェルトハット。20年代ファッション炸裂のベン・アフレック主演作「夜に生きる」

 実弟のケイシー・アフレックが「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(先週から全国で公開中)でオスカーに輝いたことで、若干影が薄いベン・アフレックだが、彼が「アルゴ」(12)以来5年ぶりに製作・監督・主演を務める最新作「夜に生きる」は、俳優としてのアフレックの“類い希な”個性が生かされたノワール映画に仕上がっている。

殺戮の無意味を知った男の行く手には?

 舞台は禁酒法時代のアメリカ。アフレック扮する主人公、ジョーのモノローグで始まる物語は、自ら出兵した第一次大戦で無意味な殺戮がもたらす空虚さを味わい尽くした結果、何者にも付き従わないことを心に誓ったジョーが、ボストンの暗黒街を二分するアイリッシュギャングVSイタリアンマフィアの抗争を目の当たりにしても尚、独自のスタンスを死守しようとする姿を描いていく。

女性との出会いによって運命が変わる!

 だが、ジョーの運命はアイリッシュギャングのボスの愛人、エマと恋に落ちたことで一変。2人の密通を知って激怒したボスにエマは殺され、ジョーも強盗の罪で投獄され、釈放後はイタリアンマフィアのドンに指示されてフロリダのタンパで密造酒ビジネスを仕切ることになる。

 そこで彼を待ち受けていたのは、またも密造酒に伴うギャング間の激しい利害と、南部で根強い差別と偏見、そして、摩耗した心と体を癒やしてくれる最愛の女性、グラシエラの存在だった。

ジョー役はアフレックのイメージそのもの

 誰にも加担しないと誓いながら、否応なく犯罪の世界に取り込まれて行く男のままならない人生を、ほぼ無表情で演じる主演のアフレックだが、女には常に無防備で、結果、翻弄されまくる受け身のキャラクターは、ベストセラー小説を映画化した「ゴーン・ガール」(14)や、過去、グウィネス・パルトロウやジェニファー・ロペスなどとゴシップ誌を賑わせて来た私生活から来るイメージに沿っている感は否めない。

 彼自身、それを承知の上で作品を選択したかどうかはさて置き、監督としてのアフレックは、禁酒法時代のアメリカを覆い尽くすデカダンなムードを巧みに取り入れ、本作をノワール映画のフォーマットに一応落とし込むことに成功している。

怒濤のクラシカル・ファッション!

 ジョーと関わる3人の女たちを演じるシエナ・ミラー、ゾーイ・サルダナ、エル・ファニング等が身に纏うフラッパーガール風ファッションは勿論、アフレックが着るゆったりしたラインのダブルのスーツや、質のいいフェルトハットなど、20年代調のクラシカルなコスチュームも重要な見どころの1つ。
 コスチューム・デザイナーのジャクリーン・ウエストは、「アルゴ」では1970年代風のベルボトムジーンズ、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(08)ではブラッド・ピットのためにファンシーなライダースジャケットを用意するなど、時代の流行に忠実な服作りで信頼される売れっ子デザイナーだ。

 偶然か否か、2週連続で出演作が日本で公開されることになったアフレック兄弟。ハリウッドの歴史を紐解くと、兄弟俳優全員が成功し続けることは稀だが、ベンとケイシーはそのジンクスを破るかも知れない。

【作品情報】
「夜に生きる」
5月20日(土)、丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
©️2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.

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