1. 「ノート、見せてもらってイイですか?」:コクヨに学ぶ“社会人のためのノート術”

「ノート、見せてもらってイイですか?」:コクヨに学ぶ“社会人のためのノート術”

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 社会人になっても、ノートを使う機会は多い。しかし、黒板に書かれた内容をそのままノートに書いていた学生時代に対して、会議や打ち合わせの内容をまとめたり、頭のなかに浮かんだアイデアを書き留めたりと、その使い方は異なってくる。

 そんな社会人に向けてさまざまな実用書が売られているが、実際のノートの使い方に“正解”はない。しかし、自分に合う使い方をするだけで、業務の効率は大幅にアップする。

 そこで、今回は文具メーカーであるコクヨのステーショナリー事業本部 企画統括部 広報担当の萩原智慧さんに、同社の社員の方々のノートの使い方を教えてもらった。

100人いればノートの使い方は100通りある

 今回、コクヨにインタビューするきっかけとなったのは、「たった1分ですっきりまとまる  コクヨのシンプルノート術」(KADOKAWA刊)という書籍を手にしたことに始まる。この本は同社に勤める人々のノートの使い方をまとめた1冊で、実際のノートの写真と使い方が紹介されている。

ーーそもそもこの本はどのようにして企画されたのでしょうか?

萩原:もともとはKADOKAWAの編集部の方に、ノートを日本で一番売っている会社の社員はどんなノートの使い方をしているのかと聞かれて始まりました。最初にノートの企画部門の人たちに見せてもらったのですが、それだけでもいろんな使い方があることをKADOKAWAさんに発見いただき、これを本にできたら面白いなと思い、企画がスタートしました。

ーー自分たちは特別な使い方をしているという認識はなかったんですね。

萩原:そうですね。弊社にはステーショナリー事業だけでなく、ファニチャー事業や、オフィス通販の「カウネット」事業などがあり、事業や職種によってノートの使い方はさまざまでした。今回の本では、実際に社内でいろんなノートの使い方を募ったのですが、みんな特別な使い方をしているという認識がなかったので、最初はなかなか集まらなかったですね。

ーーここ数年、文房具自体がちょっとしたブームになっていますが、その背景には何か理由があるのでしょうか?

萩原:2008年のリーマンショック以降、経費削減のため文房具を支給する企業が減ったことは大きいと思います。自分で買うようになったからこそ、こだわりを反映するという風潮が生まれた気がします。

それもあってか、スマホの普及でデジタル化が進んでノートの売り上げが落ちるかと思いきや、弊社はほぼ横ばいです。もちろん社会人に向けたノートも売り出しており、2015年1月から発売している「大人キャンパス」がまさに社会人をターゲットにした商品です。
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出典:www.kokuyo-st.co.jp
学生から社会人になるのを機に「キャンパスノート」離れが起きていると考え、表紙をブラックやグレーなどの落ち着いた色にしたのが大人キャンパスです。中身も方眼、ドット入り罫線、無地の3種類をラインナップすることで、スタイルやシーンに合わせたノート選びができるようにしています。

ノートのタイプやサイズの選び方で使い方は大きく変わる

ーー私も本を拝読したのですが、本当にみなさん使っているノートの種類や大きさからさまざまで驚きました。大半の人はノート選びの段階で悩むと思うのですが、何かルールはあるのでしょうか?

萩原:社員から集められた情報を見ていくと、全体の6~7割の人が方眼タイプのノートを使っていることがわかりました。学生時代は横罫のノートを使っている人が多かったと思うので、これは意外な結果です。

とはいえ、実は業務内容によってもノートの種類は異なっています。企画や開発といったアイデアを書き留めたり、図面を書いたりする人は無地や方眼が多く、営業やスタッフの者は横罫のノートが多かったですね。
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また、シーンに合わせて使うノートの大きさを分けている者も多いです。たとえば、営業先では小さめのノートでメモを取り、社内では大きいサイズのものを使うといった感じです。

ーーサイズの違いは仕事の場面でどのように活きてくるのですか?

萩原:小さめのノートは情報をインプットするときにいいと思います。とくにA5のノートは開くとA4になるので、そのままコピーできるという利点もあります。

逆に、情報のアウトプットには大きめのノートがおすすめ。グループでアイデア出しをするときなどは、ホワイトボードの代わりにノートにアイデアを書いて相談できるのがいいですよ。
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ビジネスシーンで役立つ要素が満載の「測量野帳」

ーー御社の社員の方々の間で人気のノートはありましたか?

萩原:弊社が出している「測量野帳」を使っている人は多かったです。もともとは「測量士」のために作られたノートで、1949年に測量法が制定された際に現場で働く方々の声をもとに開発し、1959年に発売しました。
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測量後の筆記に適した3種類の罫線のモデルが用意されており、作業着の胸ポケットに収めやすく、表紙が硬いので外でもメモを取りやすいのが特徴です。ビジネスだけでなく、プライベートで愛用している人も多く、測量野帳を使う人たちのことが「ヤチョラー」と呼ばれているんです。メモやToDoリストの作成に便利ですよ。

ーーヤチョラーのみなさんの使い方はホームページにも掲載されていて、とても興味深く拝見しました。ほかにも特徴的な使い方をされているノートはありましたか?

萩原:お客様の前でノート開いたときに他社の情報が見えないよう、折り返して使えるリングノートを使っているという営業の者がいました。これは“相手を気遣いながら、自分も守る”ということだと思います。自分のところに来た営業マンのノートで他社の情報が見えているということは、自社の情報もほかのところで見られてしまっている可能性が高いですからね。

もし、リングノートが苦手と感じている方がいましたら、リングが手に当たっても痛くない「ソフトリングノート」もおすすめです。
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デジタルにはない紙ならではの魅力とは?

ーーパソコンやスマホでメモを取ったりスケジュールを管理したりする機会が増えていると思いますが、アナログとデジタルはどのように使い分けるといいのでしょうか?

萩原:デジタルはすぐにほかの人とデータを共有できることがメリットだと思います。それに対して、手書きのノートは思ったことを形式などを気にせずにそのまま書けるのが利点です。文字などでそのときの感情もわかりやすいですし、あとから見返したときにどこが重要なのかがわかりやすいのもノートならではですね。
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ーーみなさん業務上でパソコンを使われていると思うのですが、具体的な使い分けの例をお聞かせください。

萩原:仕事に必要な資料などをいつでも確認できるように、パソコンで作成したデータを貼り付けている者もいれば、会議で使うPowerPointの下地作りのメモを書いている者もいます。とくに後者の場合、いきなりパソコンで作業することが効率的なように思われがちですが、パソコンだけで作業するとフォントなど細部に目がいってしまい、肝心な内容を詰められないまま進めがちです。まずは思考を整理して、それをデジタルで清書するといいと思います。
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デジタルはどちらかといえば、“清書”としてほかの人と共有し、手書きのノートは思考を直感的に書き出すことに使うのがいいのではないでしょうか。

思考を書き出しておくと、自分の思考のクセをわかりやすくなりますし、上司も視覚的にそれを確認できるので、的確なアドバイスがしやすくなると思います。

ーー検索性の面ではデジタルのほうが有利に思うのですが、手書きのノートで検索性を高めるポイントなどはありますか?

萩原:自分なりにルールを作って、サイドインデックスを作るのがおすすめです。最初のページにインデックスを書いておき、なかのページでは該当の項目の位置に傾向マーカーでラインを引くと、それだけでインデックスになります。あとは、カラーの付箋でインデックスを作っている者もいますね。
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ーー最後に、ノートの使い方に悩む社会人の皆さんにアドバイスをお願いします。

萩原:ノートに書き込むペンの色や、重要なポイントに引く蛍光ペンの色など、自分のなかでルールを作ることが大切です。自分の働き方に合わせたノートの選び方や書き方を習得していただければと思います。

Text:今西絢美(ゴーズ)

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