1. 【書き起こし】緩和ケア医が医療大麻、その提供法から学んだこと。現在の医療サービスへの問題提起!

【書き起こし】緩和ケア医が医療大麻、その提供法から学んだこと。現在の医療サービスへの問題提起!

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 近頃、アメリカ合衆国で大麻の使用(医療目的・娯楽目的)を認める州が増えてきた。医療用大麻は、様々な患者から重宝されているのだ。沈痛・沈静・催眠・食欲増進作用の緩和などの利点があると言われているその効果は、未だ多くの州から否定されている。

 緩和ケア医のデイビッド・カサレ氏は、ある患者から医療用大麻について尋ねられる。その利点についてよく調べた末、彼はそれを提供する施設に行きついた。彼はそこでのケアサービスに素晴らしさに驚く。今回は、緩和ケア医のデイビッド・カサレ氏のTEDでのスピーチを書き起こしする。

医療大麻薬局やクリニックから学ばなければならない

医療用大麻についての見解

  会場の拍手が鳴り止むと、彼は緩和ケア医師として最も恥ずかしかった体験を語る。彼は相談役として、すい臓がんを患った70代の女性に出会った。苦痛や吐き気を訴える彼女は、カサレ氏に医療用大麻の使用について尋ねる。

 しかし、彼は医大生の頃、医療用大麻について何も教えられていない。そこで彼は、彼が知る限り、医療用大麻には何の利点もないことを彼女に伝える。それを受けて、その患者はそれに関する様々な記事を彼に渡し、「お医者さん、意見を言う前にこれを読むべきよ」と言う。
 
 カサレ氏は医療用大麻について読み、興味があるなら試すべきだという。すると彼女は、「6か月ほど前に試したわ。素晴らしかった。その日から、私は毎日使用している。これは、私が知る中で一番のお薬よ。」と医療用大麻の素晴らしさについて断言したのだ。

カサレ氏:その時、私が医大で(大麻について)勉強したことは現実味が無いから、医療大麻について学ぶ必要性を感じた。だから、より多くの記事を読み、研究員、医師―そして最も重要な人たちである―患者の話を聞いたんだ。

結局、それらの会話を基にして本を書いたのだけれど、その本は3つのびっくりしたことを中心にした。第一に、先ほども言及したけど、医療用大麻による利益は本当にあるということだ。

次に、医療用大麻にはリスクがあること。そのリスクは、医療大麻否定派が言うほど有害で、怖いものではないが、確かに存在する。3つ目が、一番驚いたことだ。それを使用する患者の多くは、その利益目的で使用している訳ではなく、病気を管理させてくれるから使用するということ。

つまり、医療用大麻は患者らの健康を有効的で、彼らに合った方法で病気を管理させてくれるんだ。

もう1人の患者、ロビンについて

 ここで、彼はもう一人の患者について語る。ロビンと言う40歳前半の女性は、20年間リュウマチ性関節炎を患っており、見た目よりはるかに老けて見えた。彼女は車椅子生活で、か弱く見えるにも関わらず、カサレ氏が会った患者の中で最も強い精神を持った方だったという。

 彼女に何故医療用大麻に頼ったか尋ねると、そのような患者の多くが言うように、不安、苦痛を良くしてくれたから、と答える。しかし、その次の発言に彼は驚くことになる。それは、医療用大麻が自分の人生や健康の主導権を握らせてくれる、ということだ。

 それを、適量を自分が好きな時、方法で摂取できるからだ。誰にも許可を取る必要が無く、全て自分で決められるのである。医療大麻によって、彼女は自分の命と健康の舵を取れたのだ。

コントロールを失うということ

カサレ氏:自分の命の主導権を握るということが、ささやかに見えるかもしれないが、それは全く違う。リュウマチ性関節炎、狼瘡(ろうそう)、がん、糖尿病、硬変症の中のどれにしても、慢性的な大病を患う時、我々は自分のコントロールを失う。これは「もしも」の話ではないんだ。

誰しもが、人生のある時期に人生の主導権を失わせるような慢性的な大病を患う。身体が機能しなくなり、自分の思うがままをする為に、自己管理をすることができなくなる。それほど恐ろしいことはない。

私が緩和ケアの患者に話す時―その内の多くは致命的な大病に直面している―彼らには恐れることが沢山あると言う。例えば、苦痛、吐き気、おう吐、便秘、疲労、死だ。しかし、彼らにとって何よりも恐ろしいのは、ある時期に健康や命への実権を失い、他者に頼らなければならないことだ。それはとても恐ろしい。

だから、ロビンのような患者がわずかな自主性を取り戻すために、医療用大麻に頼るのは不思議ではないんだ。しかし、医療大麻薬局やクリニックは、どのようにして患者らが必要とする自主性を取り戻すのだろうか? それを調べることにしたんだ。

医療大麻薬局・クリニックでの体験

 ここでカサレ氏は、いくらかの医療大麻薬局やクリニックへ患者として行った体験を話す。彼は医療用大麻を購入出来るように、推薦状(許可書)を手に入れていた。

 結局、そのクリニックは彼に医療用大麻を販売しなかったが、その推薦状で彼は患者の気分を味わえたと話す。そうすることによって、彼はロビンのような人々が日々体験することを経験できた。彼が訪れた多くの医療用大麻薬局やクリニックは、彼を患者として助けようとしてくれたのだ。

カサレ氏:そのようなクリニックや薬局では様々な質問が聞かれた。自分が誰で、どんな仕事をしているか、医療用大麻の使用にどんな目的があるか、私の好み、医療用大麻がどのように救ってくれるか、何が怖いのかなどのね。

これらの質問を、ロビンのような患者は日常的に尋ねられているんだ。このような質問から、そこで勤める人らは心底、患者の為を思っていて、知りたいんだということを確信できる。

その体験から学んだ2つ目のことは、そのようなところは教育してくれるということだ。カウンター側の人からのものだけではなく、待合室での学びもある。待合室にいる隣席の人は喜んで、自分のことや医療用大麻の使用理由、目的を教えてくれて、アドバイスをしてくれる。待合室は、相互作用、アドバイスや支援に満ち溢れた場だった。

そして3つ目に、カウンターにいる人々は、買わずもしない私に1時間以上もの時間を割いて医療用大麻のことを多岐に亘って教えてくれたことに驚いた。普通の病院や診療所で、1時間でも説明に時間を割いてくれた人が今までいましたか? 

ロビンのような患者が医療大麻薬局のようなところへ行き、質問や教育をされ、サービスの提供をされていると言う事実は、実に現在の医療サービスへの警鐘になるべきだ。そのような患者らは主流の医療サービスから、医療大麻薬局に目を向けているのは、必要としているものが満たされるからなんだよね。

警鐘

カサレ氏:もしもそれが医学会への警鐘ならば、それは私の同業者らが聞いていないか、聞きたくないものだ。医療用大麻について彼らと話す時、彼らは「証拠が足りない。利点をもっと研究する必要がある。リスクについての証拠が必要だ」と語る。それについては、彼らは全く間違えていないんだ。

医療用大麻の利点について、研究成果が必要だ。研究を実現するためには、政府に大麻を規制物質法のスケジュール2に変えてもらうか、そこから取り外してもらう必要がある。更に、医療用大麻のリスクについての研究も必要だ。我々は娯楽用大麻のリスクは良く知っているが、医療用大麻のリスクについては殆ど知らない。

だから、絶対に研究は必要なのだけど、だからといって、現状に何の変化をもたらさないのは、焦点がずれているね。ロビンのような人々は医療用大麻を特効薬やリスク無しだから服用しているわけではない。彼らが求めるのは、それが与えられ、施され、使っている環境が、生きる上で必要な自主性を与えてくれるからだ。

そしてこれは我々が本当に耳を澄まして聞かねばならない警鐘なんだよ。その反面、我々が医療大麻薬局やクリニックから学べると言うことは、喜ばしい。そして、そこからの教えというのは、絶対に学ぶべきことなんだよね。

このようなクリニックや薬局というのは、小さく、家族経営で、医学訓練をしていない者たちによって経営されている。これらの多くが、何億ドルも積まれた医療システムが出来ていない方法で、サービス、サポート、患者の要求に応えているのは恥ずかしいことだが、それから学べることもある。少なくとも3つあるんだ。

現在の医療サービスが見習うべきこと

カサレ氏:1つ目:ささやかだけど、重要な手段で患者により多くの自主性を持たせる道を模索すべきだ。それは、彼らがどう医療供給者と関わるか、いつ供給者と関わるべきか、如何に彼らに合う方法で薬物治療を行うかにある。これによって、私は彼らが薬を使い、自分の症状と安全に付き合うためのサポートが、以前よりもずっと工夫されて、柔軟なものになった。

私が処方する薬の多くは、濫用されると危険であるオピオイドやベンゾジアゼピンのようなものだ。でも、重要なのは次のことなんだ。それらは濫用こそ危険だが、患者のニーズや望みと一致しないように使われては、効果をもたらさない。そこで、その柔軟性を安全に伝えられれば、患者やその家族にとって驚くほど価値があるものになるだろう。

2つ目は、教育だ。医療大麻薬局から学べる重要なことは、知識を患者に与えることだが、これは必ずしも医師が長い時間を割く必要はない。我々がどのような薬を投薬して、何故それを使用するのか、見通し立て、症状の進み具合を知る機会、そして何よりも患者間で学び合う機会を与えることが大事なのだ。

そのような薬局やクリニックの待合室のように、患者らがお互い情報交換をする場、お互いを知る場を提供するにはどうすればいいのだろうか。

そして最後に、医療大麻薬局がそうしたように患者を第一に考えること、彼らのニーズ、必要なものを好みだと感じさせるのが、医療供給者として、我々がいる理由だ。それは、患者に(その薬への)期待、不安、目標、好みを聞くことにある。

緩和ケア医として、私は全患者に期待と不安を聞きくんだ。しかし、患者らは慢性的な重病―大半が死の直前になってから、私のような医師が現れて、「何を期待していますか?」や「何を恐れていますか?」と聞くまで待たされるべきではない。これは、医療サービスの提供方法に組み込まれているべきだ。

我々はこれを実現出来る。アメリカ全土に渡る医療大麻薬局やクリニックがこれに気が付いているのだ。これらの施設は、より大規模の、主流である医療サービスが何年も遅れていることから、それに気付くことができた。我々はそれらから学ぶことがあるし、学ばなければならない。

そうすることは、ただプライドを抑え込むだけでできる。というのも、「我々はプロフェッショナルだから、患者のニーズの応え方について、知るべきことは知っている」という考えを一旦脇に置かねばならない。

我々のプライドを抑え込む必要があるんだ。いくつかの医療大麻薬局を訪れ、そこが何をしているか理解しよう。何故ロビンのような多くの患者は、主流である診療所ではなく、そのような施設に行くのか理解しなければならない。

これらの施設の技術、方法を知り、学ぶ必要がある。もしそれが実現すれば―私は実現すると思っているし、絶対にそうしなければならないと思っている―我々は患者全員へのより充実した医療サービスの提供を約束できる。

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