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ケータイジャーナリスト石野純也のCES 2017レポート【ファーウェイ編】

石野純也

2017/01/17(最終更新日:2017/01/17)


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 現地時間の1月5日から8日に渡り、米・ラスベガスで「CES 2017」が開催された。CESは、IT関連の最新技術を披露する世界最大規模の展示会。各国から企業が集まり、最新のデバイスやサービスを出展する。西・バルセロナのMobile World Congressとは異なり、スマホや通信がメインのイベントではないが、関連する企業も多い。

 スマホという切り口でCESを見たとき、もっとも勢いがあったのは中国メーカーのファーウェイだった。同社が、これまでとブースの位置を変更し、ソニーやサムスンなど、超一流企業が集まる「Central Hall」で展示を行っていたことも、これを象徴する出来事と言えるだろう。ファーウェイのCEOがCESで基調講演を行うのも、初めてのことだ。

勢いのあった世界シェア3位の中国メーカー・ファーウェイ

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 ファーウェイがCESで発表したのは、グローバル版の「honor 6X」と呼ばれるミッドレンジモデル。

 日本では楽天モバイルが独占販売するhonorシリーズの最新モデルで、約250ドルと安価ながらも、ハイエンドモデルの「P9」や「Mate 9」で好評を博しているデュアルカメラに対応する。さすがにこの価格帯のモデルは、ライカとの共同開発ではないが、ボケ味を生かした写真を手軽に楽しめる点は評価できる。
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CESで発表したhonor 6Xは、安価ながらもデュアルカメラに対応。

 一方で、同社はCES会期中に、ビジネス向けハイエンドモデルの「Mate 9」を発売し、ブースにもこの機種を大々的に展示していた。

 CESの開催地である米国では未発売の、ポルシェデザインコラボモデルや、サムスンの「Galaxy S7 edge」のようなデュアルディスプレイ搭載の「Mate 9 Pro」なども出展した。
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ポルシェデザインとのコラボモデルも展示。

 基調講演では、コンシューマー・ビジネス・グループのリチャード・ユーCEOが、ファーウェイの“今”を米国に向けてアピールした。ユーCEOは、同社がグローバルな技術企業で、イノベーションを重視していることを強調。

 コラボレーションを重視する姿勢を示し、ドイツやフランス、日本などに研究開発の拠点を持っていることを語った。こうした研究の成果によって生まれたのが、フラッグシップモデルのP9やMate 9というわけだ。カメラ機能をライカと共同開発したのを機に、ドイツ・ミュンヘンに研究所も設立した。
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基調講演には、リチャード・ユーCEOが登壇。

 コラボレーション事例として、GoogleやAmazonの幹部を登壇させるなど、米国のユーザーへのアピールにも余念がない。Googleは、Mate 9の上位機に当たる「Mate 9 Pro」がGoogleのVRプラットフォーム「Daydream」に対応したと発表。

 対するAmazonは、Mate 9が同社の対話型人工知能サービス「Alexa」を搭載する予定であることを明かした。VRやAIは、今年のCESのメインテーマの1つ。ここに対しても精力的に取り組んでいることは、ユーザーにもプラスの印象を与えたはずで、イノベーションを重視する姿勢の証拠を示したとも言える。
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AmazonのサービスであるAlexaに対応することも発表。

 ユーCEOが登壇したのは基調講演だが、同氏は米国に投入するMate 9の特徴や機能も改めて解説。締めには製品発表会さながらの価格発表もあり、会場は大いに沸き上がった。会場に集まった参加者の様子を見る限り、ファーウェイ初の基調講演は、大成功だったと言えるだろう。

 ファーウェイは、現在世界第3位のメーカー。2位のアップルとは、四半期ごとに差を縮めているが、最大手のサムスンと対等に渡り合うには、どうしても巨大市場である米国を押さえる必要が出てくる。スパイ疑惑がかかり、北米では、思うようにシェアを取れていないファーウェイだが、ユーCEOの講演は、反転攻勢の意思を強く感じさせた。

 この勢いは、日本市場でも加速させていく方針だ。同社は昨年12月に、調査会社BCNの調査でシェア3位に上りつめた。

 これは、大手キャリアに端末を提供するメーカーも含んだ数値だ。その上で、CESでは、同社の携帯電話部門社長のケヴィン・ホー氏が、筆者の取材に対し、2017年はFeliCaや防水などにも取り組んでいくことを明かしている。同社の“弱点”でもあった日本市場へのローカライズが進んでいけば、端末の人気もますます高まりそうだ。

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