1. 先進国の高齢化からわかるジェネリック医薬品マーケットの驚異的な成長率

先進国の高齢化からわかるジェネリック医薬品マーケットの驚異的な成長率

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  ジェネリック医薬品をご存じだろうか。新薬の半額程度で処方されるこの薬はアメリカをはじめとする先進国において高い普及率を誇っているが、日本においてはまだ不十分と言える。

 日本における知名度の低さから不安に思う方の多いジェネリック医薬品だが、高齢化の進みと医療費の増加という今日の日本の問題を解決する糸口となるかもしれないのだ。

 今回は、高齢化から見るジェネリック医薬品のマーケットと海外での普及率について伝えたい。

日本の高齢化「2025年問題」 

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 日本の高齢化と医療費の増加を考えるときの問題として「2025年問題」というものがある。1947年~1949年(広くは51年)に生まれ戦後日本を支えてきた第一次ベビーブーム世代の約七百万人、通称団塊の世代が2025年に75歳以上の後期高齢者となることから名がついた。

 今までの日本は急速な高齢化が問題視されてきたが、25年以降には4人に1人が75歳以上、人数にして約3,500万人という超高齢化社会が訪れると厚生労働省は発表している。

 年齢ごとの医療費の推移を見ると、70歳~75歳がピークであり70歳以降に生涯の医療費の半分がかかることが分かる。

 日本には国民年金保険制度があるため対象内の治療であれば国民は治療費の2~3割を出すだけで治療が受けられる社会がつくられているが、25年になるとベビーブームである団塊の世代が75歳以上になることから医療費の増大が予測される。少子高齢化により納税者が減少する日本において、医療費の削減は重要な問題なのだ。
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出典:www.soumu.go.jp
 総務省によると、日本の医療費は2020年に45億円を超え2025年には60億円目前まで増加すると予測されている。2015年には40億円を突破したので、この問題は杞憂ではなさそうだ。

 医療費のうち20%が薬剤費であることを受け、国は半額程度で処方することができるジェネリック医薬品の推奨をはじめた。ジェネリック医薬品にすると患者の負担が減るだけではなく、7~8割の治療費を負担する国の負担も減るからだ。

  仮に、特許の切れた薬を全てジェネリック医薬品へ移行すれば、国の医療費が年間約1.5兆円抑えられると言われている。
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出典:www.sawai.co.jp

先進国とジェネリック医薬品の付き合い方

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 日本は高齢化による医療費の増大が問題となりジェネリック推進活動がはじまったが、他の先進国はどうか。
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出典:www.jga.gr.jp
 上の図を見るに、他の先進国はジェネリック医薬品の普及率が高いといえる。上位の国を挙げ、いくつか例を見ていきたい。

アメリカ合衆国

 日本のような国民全員を加入させる保険制度がないことで有名だったアメリカだが、2014年オバマ大統領により国が国民の保険加入を手助けするかたちの国民保険制度改革法/オバマケアがはじまった。

 オバマケア以前のアメリカは個人がそれぞれ保険に加入する方針であり、保険料も医療費も高額とされた。

 保険料が払えない人のために州ごとに保険制度が用意されたりとしていたものの、2011年の段階で15%の人が完全無保険の状態で生活をしていたのだ。これを受けオバマケアは施行されたのだが、元の医療費が高額すぎるあまり法が働いていない・健康状態により加入することができないという意見もある。

 個人で保険に加入すると家族4人で9万円といわれるアメリカ。なぜここまで保険料が高いかというと、医療費が高いからである。医療費の基準を市場理念に任せているアメリカは、医療費の高騰が保険料の高騰につながるのだ。中でも医療費が高い土地とされているニューヨークでは盲腸と腹膜炎の治療だけで870万円もの費用がかかる。

 自己破産をした人の6割以上が医療費を払うことができなかったことを理由にしている部分を見ても、アメリカにおいて新薬の半額程度の料金で処方されるジェネリック医薬品が普及したのは納得がいくだろう。
 
 また、アメリカは医師が処方した薬を薬剤師がジェネリック医薬品に変更することができる「代替え法」がほとんどの州で認められており、これによりジェネリック医薬品のシェアが高いともいわれている。

イギリス

 イギリスは薬の処方時に名前ではなく一般名/成分名を伝える「一般名処方」が主流となっている。ジェネリック医薬品と新薬は同じ成分でつくられているので、これによりジェネリック医薬品が渡される場合が多い。
 
 NHS(National Healths Servise)という公的な保険制度を通じ、国が国民の医療を負担していることも関係しているだろう。

 NHSで使用される医療品はNICE(National Institute for Health and Care Excellence)という機関において費用と効果があっているかを確認され、効果に対し費用が高すぎると判断された場合はNHSでの使用が認められなくなるのだ。NHSでの使用が認められなくなった薬を使用したい場合、患者はほぼ自己負担での治療となる。

ドイツ・フランス

 ドイツとフランスでは医療費の削減を目標に、参照価格制度が行われている。参照価格制度とは成分と効果が同じ薬をグループ化し参照価格が設定され、それの範囲内で保険料が支払われる制度である。

 NHS制度と類似点を感じるこの制度は、新薬とジェネリックの両方の薬があった場合、保険が適用されるのはジェネリックだけであり新薬を使用したい場合はほぼ自己負担になるというものだ。この場合患者の多くはジェネリックを希望するために、普及率は上がっている。

 他の先進国をみると、若干強引とも言える方法でジェネリック医薬品の普及に努めている。背景として、先進国全体での高齢化と医療費の増大が挙げられるだろう。この問題は日本に限るものではないのだ。

ジェネリック医薬品のマーケット

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 日本は、2020年までにジェネリック医薬品の普及率を80%にすることを目標にしている。

 薬価法により政府が薬の価格を定める日本では考えにくいが、アメリカでは安価であるはずのジェネリック医薬品に需要が集中し、特定の薬の値段が高騰しているケースも見受けられる。2013年に世界医薬品市場で第2位の規模を誇るようになった日本にとって、これは国内外共に大きな市場と言えないだろうか。
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出典:www.mt-pharma.co.jp
 田辺三菱製薬のHPによると、2013年度の医療品売上高世界トップ50に国内企業が10社ランクインした。上位10社中5社は米国企業が占めており、世界医療の最先端に恥じぬ姿を見せてはいるが日本の武田薬品工業も16位という誇れる順位である。

 また、世界医療用医薬品売上高だとエーザイ/アッビィの販売する「ヒュミラ」が1位で110億ドル。田辺三菱/J&J/メルクが販売する「レミケード」が2位の97億ドルである。4位の武田製薬が販売する「エンブレル」を含み3つとも関節リウマチに関係する薬であることから、日本は関節リウマチやクローン病等の薬剤研究が発展しているのではないかと考えられる。
 
 世界の医薬品に日本企業がランクインするのは、国内外からの厚い信頼があるからだ。日本医療はかつて低く見られていたが、今では世界に認められる医療先進国となった。国内の医療費削減は勿論だが、国外におけるジェネリック医薬品の需要にビジネスを見出していくべきだ。


 医療先進国である日本に住んでいるのになぜ、後発であるジェネリック医薬品を使用しなければならないのかという疑問を持つ方がいる。

 先発である新薬に対する信頼の厚さからくる不安だと思うが、考えてみて欲しい。後発医薬品は科学の進歩により生み出された薬なのである。薬のクローンと言っても良いかもしれない。同じ成分をもつ薬を効率的に生み出す技術は、果たして本当に質の悪い猿マネだろうか。世界の医薬品市場に目を向け、国内企業の信頼をもう一度見つめ直したい。

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