1. 3万円以下で買える“国産”オーダースーツの衝撃:ベンチャーが切り開く「新時代のオーダーメイド」

3万円以下で買える“国産”オーダースーツの衝撃:ベンチャーが切り開く「新時代のオーダーメイド」

  スーツといえば“オーダーメイド”が当たり前。かつてそんな時代があったのをご存知だろうか。今まさに、そのような波が再び巻き起ころうとしている。

  ――テクノロジーを駆使したカスタムオーダースーツ。その先進性と日本ならではの「ものづくりの精神」がオーダースーツの未来を変え、再び伝統的な“オーダーメイド文化”を世に戻そうとしている。

なぜ“国産”オーダースーツを3万円以下で買えるのか?

  「LaFabric(ラファブリック)」は、前身となるサービスを2014年2月に立ち上げ、1年あまりのテスト運用を経て翌年3月に正式リリースされた、男性のオーダースーツに特化したファッションECサイトだ。オーダースーツは全国展開する大手テーラー製の安価なものでも4万円前後と、一般的に高価な印象が強い。だが同店はツーピーススーツ(2万9,800円~)、スリーピーススーツ(3万9,800円~)という驚きの価格でオーダースーツを展開する。ポイントとなるのは、ユーザビリティに優れた自社開発の「WEBオーダーメイドシステム」と、中間業社を省いた「工場直販」だ。これが業界内で大きな反響を呼んでいる。

工場視察に出向く森社長(右)
  同サービスを運営するライフスタイルデザイン(渋谷区、代表:森雄一郎)は、自社でウェブエンジニアを抱え、ユーザーが自分で採寸・注文情報の入力を難なく行うことができるシステムを開発した。高い技術を持つ国内トップクラスの生地メーカー・工場連携のもと、必要な採寸データやデザインのCAD入力、一般的にコストの原因とされる「裁断」から「縫製作業」にいたるまでの工程を驚くほどの速度でクリアしていく。
  たとえ、世界的な“アメトラ”ブームを復活させたブランド「トム・ブラウン(THOM BROWNE)」が固執するほどの高い生産技術を持つ「日本製」のカスタムオーダーであっても、中間流通を省くことで、大幅なコストダウンを実現した。

「オーダースーツをWEBで注文」が“当たり前”となる日

  日本人男性にスーツ文化が定着し始めたのは明治~大正時代のこと。当時はレディメイド(既製品)という概念はなく、父親のオーダースーツを仕立て直し、成人した息子へ譲るという文化があった。これは日本の民族衣装である“和服文化”の名残や、オーダースーツが当たり前であったという当時の時代背景もあるが、一人ひとりの体を採寸して仕立て上げたオーダースーツは「大切に取り扱うことで、非常に長持ちする」ということを古くから証明している。

  長持ちするオーダースーツ作りにとって、最も大切な要素のひとつが採寸だ。当然、WEBを使ってのオーダーとなると、首まわり、肩幅、二の腕、袖丈、手首まわり、着丈、バスト、ウエストといった採寸は個人で行う必要があり、ズレを懸念する声もあるだろう。だが同サービスにいたってはその心配は無用。まず注文が入ったら単純に工場へ情報を送るのではなく、必ず同社スタッフによる入念なチェックのもと発注を行う。また誰もが簡単に自己採寸ができる解説動画「自宅でかんたん自己採寸」、スタイリストが出張訪問し採寸する「出張採寸サービス」、実店舗でスタイリストが採寸する「ショップ採寸サービス」も展開。万が一、商品に欠陥があった場合や返品を希望する場合は、商品受取より30日以内の返品が可能(※未使用品に限る)。サイズが合わない場合は、最大5,000円の直し代まで負担している。現在も返品率数パーセントという水準を保ち続ける理由は、このような日本ならではの「ものづくりの精神」を大切にする手厚い管理体制が顧客の信頼を集めているからといえる。

高級ブランドスーツを凌駕する「ものづくりへのこだわり」

  前述の「トム・ブラウン」だけでなく、「プラダ(PRADA)」や「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」、「アルマーニ(ARMANI)」といった高級ブランドの一部が、日本の工場で生産されているのはご存知だろうか。そんな世界のトップアパレルブランドの裏側を下支えする日本の縫製工場には、勤続20~30年というベテラン勢が揃い、素早く丁寧な仕事で一つひとつのアパレル商品を形にしていく。

  一般的にスーツ1着を作り上げるためには250~300の工程が必要といわれ、そのほとんどは縫製作業が中心となる。オーダースーツだけでなくカジュアルラインも展開する同サービスは、シャツ、ジャケット、ジーンズといった商品ジャンル別に選定した国内工場と契約。これらはすべて同社代表の森氏自らが数え切れないほどの電話と訪問を繰り返し、開拓していったものだという。

  「日本のものづくり」へ強いこだわりを持つ同氏は、オーダースーツの製造工程において一般的な製法よりも手間暇をかけていると話す。その代表たる例が仕上げのプレスだ。これの良し悪しによって、スーツの出来栄えは大きく変わるため、熟練した職人の技術は必要不可欠。同サービスのオーダースーツは、一般的なオーダースーツの仕上げとして行われる「前身頃」や「後ろ身頃」のアイロン成形だけで終了させず、最後に全体をくまなくチェックしながら熟練の職人がひとつひとつ仕上げる。このひと手間こそが、袖を通した瞬間、最高の高揚感を誘うのだと同氏は目を光らせる。

カジュアルラインにも広がる「オーダーメイドスタイル」

  一見、さほど変化がないと思われがちなメンズスーツのデザインだが、歴史背景とともに形や色、柄、素材など少しずつ変化させ、新しいテイストを加えながらその時代にあったトレンドを作り上げてきた。「LaFabric」のオーダースーツは、例えばツーピーススーツをオーダーするだけでも、⑴フィット感、⑵ジャケットボタン、⑶ラペル、⑷ベント、⑸ポケット、⑹ジャケット裏地、⑺刺繍、⑻カフス(パンツ)、⑼タック(パンツ)とそれぞれ好みのディテールにカスタマイズすることができる。

  もちろん、これらのカスタマイズは「カジュアルライン」のアイテムにも有効だ。2015年3月にサービスのフルリニューアルを実施。商品ラインはフォーマルだけでなくカジュアルにまで広がり、商品点数は当初の5倍へと拡充した。これによって、“ジャケパン・スタイル”などと呼ばれる、近年のカジュアルなオフィス・スタイルへの対応はもちろん、休日ファッションにもオーダーメイドという選択肢が加わることになった。つまり、トレンドを意識した“本当の意味での”自分だけのファッションが可能になる。昨年のメンズ・コレクションでも顕著であった「シンプルでありながらも、さりげなく凝ったデザインや素材のアイテムを主役にする」といったコーディネート作りにも一役買ってくれるに違いない。

  また同社は3月3日(木)よりオンラインストア上で、サービス開始1周年を記念した「1周年ありがとうキャンペーン」を実施する。会員登録者を対象に、もれなく1,000円引きクーポンが発行されるほか、抽選で2ピーススーツ、シャツ、ネクタイを配布するという。この機会に同店のサービスを体験してみるのもいいだろう。

  1月の実店舗のオープンを皮切りに、さらなるユーザビリティの向上、サービスの充実を図っていく「LaFabric」。テクノロジーの進化と「ものづくり」への深いこだわりが、オーダースーツの“常識”を変えつつある。「身の丈にあった服」=「サイズが合った服」。価格と品質のバランスという壁を越えた今、この言葉本来の考え方が日本人男性に浸透する日は近い。

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