1. 1万人を救ってきた“小児外科のブラックジャック”山高篤行の「不可能を可能にする」姿勢と覚悟

1万人を救ってきた“小児外科のブラックジャック”山高篤行の「不可能を可能にする」姿勢と覚悟

出典:www.nhk-ondemand.jp
 今日も小さな命が日本中で生まれ、生んだ親をはじめとする周囲の人々に祝福され、将来を期待される。しかし、生まれてばかりの小さな命は弱々しく、些細な異変も命に関わる。そんな弱々しい小さな命を守ることを仕事にしているのが小児外科だ。小児外科は生まれつき難病を患った子供や臓器に異常が見られる子供の手術を担当する。

 しかし、小さな子供の臓器は大人の10分の1ほどの大きさであり、小児外科にはミリ単位のミスも許されない。また、臓器の大きさだけではなく、手術時の子供は体温や心拍も変化しやすく、手術に耐えうる体力も少ない。そのため、子供の手術を請け負う小児外科医によって、手術できるレベルがそれぞれ異なる。小児外科医の中でも山高篤行は、最高レベルの小児外科医として知られ、誰もが「治療できない」と判断した子供の手術を成功させる名医だ。

 今回は、2月1日(月)放送予定の『プロフェッショナル 仕事の流儀』に合わせて、繊細な技術が求められる小児外科の難しさと、難しい小児外科の中でも最高レベルの技術を持つ名医・山高篤行の小児外科手術に対する姿勢と覚悟に迫っていこう。

気の小さい小児外科医・山高篤行

 氏名:山高篤行(やまたかあつゆき)

 年齢:56歳

 趣味:スポーツ全般

 出身地:神奈川県

 出身大学:順天堂大学医学部

 職業:順天堂大学小児外科・小児泌尿生
    殖器外科主任教授

 専攻領域:小児鏡視下手術
      新生児外科
      Hirschsprung’s 病
      先天性胆道拡張症
      小児泌尿・生殖器外科

最も安全で、確実な手術を目指す小児外科医・山高篤行

僕は手術は急がないの、絶対に。絶対失敗したくないから。だって一生残るんだよ。まだ何十年ていう人生が待っているわけだし。ゆっくりはやくやれって言ってさ。手とか機械の動きはゆっくりなんだけど、やってることはむだじゃないから早く終わるんだよ

出典:山髙篤行(やまたか あつゆき)(2015年3月16日放送)| これまでの放送 ...
 手術に慣れてきた外科医の中には、効率性を重視し始めて手術時間を短縮させることに執着する人もいる。一方で、山高篤行は手術を受ける患者の立場に立って、安全で確実な手術をすることを常に心掛けている。そのため、一切の妥協を許さない。手術室に入った山高篤行の手術に対する情熱は熱く、周りの医師へげきを飛ばす。

 手術は焦ればミスが生じる可能性が高くなることを、小児外科医・山高篤行はよく知っている。「ゆっくりはやくやれ」という言葉は一見矛盾しているが、手術の本質を見事に突いた一言だ。

幼少期から心配性な山高篤行だからこそできる手術への向き合い方

手術をキメられるか、キメられないかっていういちばん大きな要因は、手術の前の準備。9割が手術前で決まっていて、手術は変な話、手術する前に終わっているってこと

出典:山髙篤行(やまたか あつゆき)(2015年3月16日放送)| これまでの放送 ...
 山高篤行は幼少期から心配性な性格で、そんな自分の性格を嫌ってもいた。しかし、小児外科医という職に就くと、小児外科にとって心配性な自分の性格がどれだけ適しているのか気付くことができた。なぜなら、小児外科にとって難しいことは患者である子供の疾患は200種類以上にも及び、併発している可能性もある。つまり、患者一人一人に合った特別な手術を施す必要が小児外科医にはあるのだ。

気が小さいっていうか、おびえているっていうか。だから大きい手術、難しい手術があると怖いんです。だけど怖いから、一生懸命勉強する。すると、最初は治せるのかっていう不安が、だんだんとできるなっていう自信に変わってくるんです

出典:山髙篤行(やまたか あつゆき)(2015年3月16日放送)| これまでの放送 ...
 山高篤行は手術前は部屋に籠り、イメージトレーニングを行う。手術の手順を決め、その過程で起こりうることを紙に書き出し、どのようなリスクがあるのか把握するのだ。手術に対して徹底的な姿勢を貫く山高篤行は、小児外科医として病院にいる山高篤行だけではない。勤務外のプライベートな時間においても、山高篤行は手術のことばかり考えている。

 山高篤行のプライベートの時間の過ごし方はジムで体を鍛えることだ。体を鍛えている間、精神的にリラックスすることができる上に、身体的には手術に必要な筋力・体力の維持をすることができる。また、手術に対して気合いを入れるために名言をスケジュール帳に記録している。小児外科医・山高篤行の生き方は小児外科手術を中心に置いた生き方なのだ。

治療法の見つからない子供達、小児外科は限界?

出典:www.matsuyama.jrc.or.jp

全身全霊で挑まなければ、限界はわからない。
限界は絶対ある、だんだんやっていくうちに限界が低くなっていく、近づいてくと限界が限界じゃなくなる。

出典:山髙篤行(やまたか あつゆき)(2015年3月16日放送)| これまでの放送 ...
 「不可能を可能にする」と言われた山高篤行でさえ、手術することは不可能だと感じずにはいられない患者を受け持ったことがある。小児外科手術に対して誰よりも徹底した姿勢を貫き続けた山高篤行が諦めかけた時、活を入れたのは恩師であった。山高篤行は恩師の言葉で再び奮起し、わずかな可能性を生むべく様々な文献や医師の助言を収集し、見事に不可能と言われた小児外科手術を成功させた。

 一体何が山高篤行をここまで突き動かすのだろうか。それは「子供の未来に責任を持つ」という山高篤行の小児外科医としての覚悟だ。子供の未来に責任を持つ以上、自分の限界がどうとか言っている場合ではないのだ。

限界?誰だってありますよ。絶対あると思う。でも、だんだんと準備していくうちに、その限界が低くなっていくんだよね。そうやって近づいていくとその限界が限界じゃなくなる。限界は超えていくものだと思いますよ

出典:山髙篤行(やまたか あつゆき)(2015年3月16日放送)| これまでの放送 ...
 全国の小児外科医に山高篤行の限界の考え方を見習ってほしい。自分を頼りに小さな命が救いを求めていることを理解し、自分で限界点を定めるのではなく、できることから見直してみてほしいものだ。山高篤行は小児外科医としての職務以外に、次世代の小児外科医への教育にも熱心に取り組んでいる。山高篤行の小児外科手術への精神を次世代が受け継いでいけば、小児外科の未来は明るくなることだろう。


 山高篤行の手術への姿勢から見習うべき点は多々ある。人が仕事だけに全神経を集中させることは難しいが、仕事に対する責任を認識し、自分に限界点を作らないようにするだけでも山高篤行のような一流の仕事人として活躍できるのではないだろうか。また、山高篤行のように自身が抱えるコンプレックスも絶対にマイナスにしか働かないというわけではない。どこかでマイナスがプラスに働く機会があるということも山高篤行から学べたのではないだろうか。

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