1. 葬儀代を明朗会計で半額にした葬儀社「ティア」:不透明な業界の常識を覆す“おくりびと”

葬儀代を明朗会計で半額にした葬儀社「ティア」:不透明な業界の常識を覆す“おくりびと”

出典:www.tear.co.jp

目指すは「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」。
そして、業界初のデファクト・スタンダード(業界基準)としてのセレモニーブランド「ティア(TEAR)」の確立です。

出典:ごあいさつ | 株式会社ティア IR・会社情報
 ブラックボックス化され、なぜかよくわからないが高いイメージのある葬儀代。この葬儀代に明朗会計を導入し、半額程度の価格を実現した葬儀社がある。その葬儀社が18歳で葬儀業界に入った冨安徳久氏が立ち上げた「ティア」である。

 株式会社ティアは、名古屋を中心に葬儀会館を展開させている、葬儀社で数少ない上場企業である。新たにできたティア津島会館のオープニングイベントには、実に1,500人もの人が訪れた。ここまで人を集めた理由には、ティアが行っている葬儀社としては少し奇抜な戦略が背景にある。そこで今回は、不透明な葬儀業界において常識を覆しているティアの秘訣について紹介していこう。

ティアのオープニングイベントに、なぜ1,500人も来たのか?

 先にも書いたとおり、普通は葬儀会館がオープンしただけで、1,500人の集客は得られない。葬儀会館そのものがあまりいいイメージを持たれず、結果として中々足を運びたくないと考える人がほとんどだ。

 ティア津島会館に1,500人が訪れた理由、それはイベントの内容があまりに葬儀と「かけ離れている」ということが挙げられる。ティア津島会館のオープニングイベント中、会館内ではくじ引きが行われ、子供のためにかき氷や綿菓子を配っていた。そのため、家族で訪れる人もいたのだそう。

 しかし、ティアの主目的はもちろん葬儀。葬儀の見積もりや葬儀に使われる物品の展示など、葬儀に対して意識を傾けさせるようなプログラムも多く取り入れられていた。

 この「草の根運動」のようなプロモーションを重ねることで、ティアは地域に根差した大手葬儀社というブランドを確立させることができた

ティア社長・冨安徳久「死について語り合う環境が必要」

 日本では、生きている間に死にすいて話すことは不謹慎だと思われがちです。しかし、きちんと死に向き合うことが、充実した人生を送ることにもつながります。残された人も、大切な人を失った後、前向きな人生を送ることができるはずです。生と死、この2つについて考えることは、実は同じことなのではないでしょうか。

出典:日経BP社『日経ビジネス8月31日号』
 葬儀というのは、いつか行わなければならないもの。しかし、「不謹慎だ」という理由で考えない人がほとんどだ。こうした現状を、ティア社長・冨安徳久は案じている。

 ティアの葬儀会館で見積もりを行うときは、「どのような葬儀にしたいか」や「誰を葬儀に呼びたいか」といった内容について話し合うのだという。今までは当事者の“死後”に遺族の要望を反映させる、まさしく「死人に口なし」といった状態だったのだが、この見積もりが行われることで、当事者の意見を反映させることができるようになっている。

 不謹慎だから葬儀に触れないというのは、結果的に本人にとってよい結果とはならない。タッチポイントこそ葬儀とは関係ない部分かも知れないが、それが結果的に葬儀の見積もりにつながることなのであれば、ティアの考える「『ありがとう』と呼ばれる葬儀社」への道筋となるのだ。

不透明な業界をガラス張りにしたい

 葬儀は突然やってくる。見積もりを行っていない人は、急に来た葬儀に対応できず、結果的に「言い値で」葬儀屋に任せてしまうケースが多い。葬儀屋はその弱みに付け込み、高い利益率を誇った状態でビジネスを成立させることができている。

 しかし、この状況は極めて「不親切」である。そのように考えたティアは、葬儀にかかる費用を透明化する「明朗会計」を打ち立てた。また、利益率を他社より低く設定し、半額程度の価格を実現することで、売り上げを伸ばし、結果的に多くの利益を計上することに成功した。

変わるトレンドに合った明朗会計

出典:www.tear.co.jp
 葬儀と聞くと、葬儀会館の一室を借りて一晩通夜を行った後、多くの知り合いに囲まれて看取られるというのが一般的なケースだった。しかし昨今では、身内だけで小さく済ませる「家族葬」などの種類が増えてきた関係で、全体的に小規模化が進んできた。

 明朗会計にしたティアは、そのニーズにうまくマッチングすることができたのである。ティアの明朗会計は、葬儀のタイプも選択することができ、それに合わせた値段を瞬時にはじき出してくれる。

 上の画像は実際にティアのサイトで見られるページを切り取ったもの。このページ上で葬儀の形を選択すれば、何が必要になって、それがいくらかかるのか、一目瞭然なのだ。変わりゆくニーズに合わせたティアの戦略は、ティアが葬儀社として数少ない株式上場を果たす大きな理由の一つとなった。

常識を覆す“おくりびと”ティアの目標とは

 全国展開をしている葬儀社というのは、実はまだ存在していない。そのため、各地方でローカルな葬儀社がそれぞれの地方で“覇権”を握っているという状態が今も続いている。

 ティアの最終的な目標は、全国にティアの葬儀会館を立てることだ。現在では50の葬儀会館を持っているティアだが、首都圏にはまだほとんど存在しない。首都圏の葬儀会館は火葬場を併設しているケースが多く、葬儀社の葬儀会館をわざわざ使う必要がないため、ニーズが存在しないというのが理由だ。

 しかし、首都圏全体の葬儀件数は伸びを見せている。そのため、首都圏で地道に広告活動を続けていくのがキーになるのだ、と冨安徳久は考える。ティアが首都圏でもスタンダードになるのは、そう遠くないかもしれない。


 ティアを通じて「救われた」と感じる遺族の人は多い。経済的な面でも、逝去者の要望を叶えることができるという面でも、ティアのサービスは他社と一線を隔してる。ティアのビジネスモデルが、葬儀業界でスタンダードになる日が来ることを心から願う。

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