1. 自社農場に自社ブランド。知られざるローソンの情熱:『なぜ今ローソンが「とにかく面白い」のか?』

自社農場に自社ブランド。知られざるローソンの情熱:『なぜ今ローソンが「とにかく面白い」のか?』

出典:www.tomarin.com
 ローソンへ足を運んでみると、カット野菜や数百円で買える美味しいスイーツ、コシヒカリを使ったおにぎりなど、多様な商品が並んでいるのを目にする。

 商品が多様なのは、多くのターゲットやニーズに応えるためである。しかし、これだけの商品をどのようにして揃えているのだろうか? その背景には、自社出資の農場「ローソンファーム」や百貨店やデパ地下を相手にしたコンビニスイーツ開発など、多彩な取り組みがある。

 社長であった新浪剛史氏の市場戦略は有名であるが、実はローソン社員一人ひとりも負けず劣らずの情熱の持ち主たちなのである。

 今回紹介するのは、ローソンの「プレミアムロールケーキ」の開発秘話や自社農場経営の理由など、多様な取り組みをまとめた『なぜ今ローソンが「とにかく面白い」のか?』という一冊である。

日本の農業を再生させる「ローソンファーム」

出典:www.michishita.fm
 ローソンが全国23箇所に自社農場を持っていることをご存知だろうか? それらはローソンファームと呼ばれ、ローソンで提供する農作物の生産を担っている。シニア世代や若いお母さん世代などターゲット層を拡大させるために、安くて新鮮で美味しい野菜を提供しようというのが狙いである。しかし、実はもう一つ自社農場を持つ理由があった。それは、日本の農業を変えるというものである。

 当時ローソンの執行役員であった前田淳氏は、輸入による海外産農作物や少子高齢化による過疎化など、日本の農業が危機に陥っていると考えていた。そこで新規事業ローソンファームによって、ローソンの市場拡大と日本の農業再生を行おうとしたのである。前田氏は、ローソンファームのコンセプトとして若い農業従事者の育成を掲げ、ローソンファームとしてパートナーになる農家の条件を「農業に従事する後継者が二人以上おり、うち一人が社長になること」とした。

 農家は安定して利益を得られ、ローソンは自社のニーズにあった農作物を作れる。この取り組みにより農家とローソンが一心同体になって、日本の農業を復興させていく形が出来上がり始めたのだ。ローソンは、こうした取り組みを今後も様々な形で続けていきたいとしている。

大ヒット商品「プレミアムロールケーキ」開発秘話

出典:www.lawson.co.jp
 昨今のコンビニスイーツブームの火付け役となったのは、紛れもなくローソンのプレミアムロールケーキの登場だろう。実はこのプレミアムロールケーキも、ターゲット層拡大の産物である。これまでローソンでは、男性目線の量が多いコスパを意識した商品戦略が取られていたが、話題やブームを作れる若い女性にターゲットを変えるという大幅な方針転換が行われた。

 若い女性をターゲットにするにあたって、ローソンは「様々なスイーツを食べ慣れている女性に納得してもらえるスイーツ」の開発を目指した。ローソンは、まず現状のコンビニスイーツに何が足りないか調査を開始し、「生クリームが美味しくない」と多くの人が感じているということを発見したのである。この結果を受けローソンは、140種類もの生クリームを研究し、またシンプルなスイーツが最も生クリームの味を引き立たせるのではないかと考えた。こうした試行錯誤の末に誕生したのがプレミアムロールケーキなのである。

 デパートや百貨店のスイーツに負けず劣らずの味を引き出し、通常一本売りのロールケーキを一人前で売り出したプレミアムロールケーキは、想定通り若い女性の心を掴んだ。ローソンは話題作りの為に、社員や提携店に試供品を与え、その起点からの口コミを増やした。その結果、モンド・セレクション金賞受賞やテレビCMなども相まって一日最高60万個を売り上げるヒット商品となったのである。

ポイントサービス「Ponta」によって品揃えが変わる

出典:www.jgnn.net
 いつもと違うローソンへ行くと、自分が普段使うローソンと品揃えが異なっていたり配置が変わっていたりすることに気づいたことはないだろうか? もちろん店舗の大きさなどの理由が挙げられるが、店舗ごとに品揃えや配置が違う背景には、ローソンのポイントサービス「Ponta」が大きく関係しているのである。

 お客さんがPontaカードを利用すると、購買履歴というものが残る。これによって、その店舗ごとの売れ行きや顧客ニーズを調べているのである。ヘビーユーザーや利用者が多いほど、データは各地域の特異性を示してくれるのだ。これにより、例えばシニアが多い地域では、時間帯に分けてシニア向け商品の充実度を変えている。

 また店舗ごとの営業戦略は、店舗ごとに行っている。あくまで本社は、データの収集や分析をして全店舗共通の戦略を打ち出すだけであって、各店舗の品揃えや配置といって細かい戦略は各店舗担当者の判断で行えるのだ。ローソンはお客さんが利用すればするほど、そのお客さんや地域に合った形になっていくという面白いコンビニである。


 ローソンの取り組みは、多彩でありとても手間のかかるものが多い。しかし、その取り組みの末に大きな成果を残している。ぜひこの本を読んで、今後の事業戦略のヒントに役立ててほしい。


U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する