HOMECareer Runners “次世代アイドル発掘” と “ほや消費拡大” の二本柱 芸能事務所を設立した「ほやドル」萌江さんが抱く野望【後編】

“次世代アイドル発掘” と “ほや消費拡大” の二本柱 芸能事務所を設立した「ほやドル」萌江さんが抱く野望【後編】

Kotaro Kawanami

2024/11/13(最終更新日:2024/11/13)


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俳優、モデル、歌手、アイドル、芸人……。「芸能活動」と呼ばれる仕事のジャンルは幅広いですが、いずれも成功するのは簡単なことではありません。

そんななか、地域に根差した活動を続け絶対的な地位を確立したアイドル兼シンガーソングライターが、宮城県石巻市にいます。宮城県が生産量日本一を誇る特産品「ほや」のアイドル、「ほやドル」を名乗る萌江さんです。

芸能界を志した10代の頃は上京を考えたという萌江さん。しかし、最終的に地元に残ることを決断し、2017年から「ほやドル」としての活動を始めました。

今やテレビやラジオ、イベントに引っ張りだこの萌江さんは、「東京も地方も関係なく、続けないと結果は出ない。続けるためには『好き』という気持ちが一番」と話します。

前編では「ほやドル」になった経緯や地方での芸能活動の苦労、醍醐味など、インタビューで詳しくお話を聞きました。

後編となる本記事では、昨年末に設立した芸能事務所「株式会社ほやいろ」の事業内容や今後の展望についてお聞きしています。

ほやの商品開発も手がける”異色”の芸能事務所

ーーー芸能事務所「株式会社ほやいろ」を設立した経緯を教えてください。

萌江:これまで事務所にはなかなか所属することができず、ずっとフリーで活動してきました。それならいっそのこと、自分で事務所を作ってしまおうということで設立しました。

事務所に所属したい思いもあったのですが、宮城にはモデル事務所や音楽事務所など、それぞれに特化した事務所しかなく、マルチに活動できる事務所とめぐり会えなかったので断念しました。

ーーーどんな事業内容なのでしょうか?

萌江:今のところは私1人の所属事務所ですが、今後、第2、第3のタレントを育てていきたいと思っています。

また、ほやの消費拡大に向けた事業にも取り組んでいます。10月末には「ほやポップコーン」と「ほや燻製ナッツ」を発売しました。

ほやの商品は年々増えていますが、ほやを好きでないと手に取らない商品が多い。もっと手軽に、小さい子やほやが好きでない人も食べられるような商品になっています。

「知っていくうちにハマる」ほやの広まりを実感

ーーーそもそもほやの魅力はなんですか?

萌江:ほやの食感や味が好きなのはもちろん、見た目も好きです。人によっては気持ち悪いと言われることもあるんですけど、なんとも言えない不思議な見た目が好きです。

味は癖が強いと捉えられがちですが、好きな人はめちゃくちゃ好きなんです。この要素は自分にも当てはめていて、私のことも知っていくうちにハマってくれる人がいます。そういう部分を自分と重ね合わせたら、より好きになりました。

株式会社ほやいろが販売しているほやの商品(株式会社ほやいろ提供)

ーーー自身の活動を通してほやが全国に広まっている実感はありますか?

萌江:すごく実感しています。「萌江ちゃんがきっかけでほやを食べてみました」とか、「ライブに行っているうちにほやが好きになりました」といった声をいただきました。小さい女の子が私と同じ髪形をして、オレンジ色のものを身に着けてライブに来てくれるのもうれしいです。

今でこそほやの唐揚げや餃子、天ぷらなどいろいろな料理が出ていますが、昔はおじいちゃんやお父さんがお酒のおつまみで食べるイメージの食べ物でした。そう考えると、やはり、広まっている実感があります。

最初はほやが好きで、それを表現したいという思いで活動を始めました。正直、まさかここまでほやが広まるとは想像していませんでした。

地方での活動志すタレントの ”道しるべ” に

ーーー芸能事務所設立後に感じている苦労はありますか?

萌江:フリーで活動していた時はタレントとしての活動を頑張ればいいだけだったのですが、今は会社の経営のことも考えなければなりません。大変に感じる一方、ほやの商品や次世代のアイドルを育てるプロジェクトを考えたりして活動の幅が広がったのは楽しいですね。

ーーー「次世代のアイドル」は具体的な構想があるのですか?

萌江:「さばドル」や「たこドル」など、いろんな海産物をテーマにしたアイドルのグループを作りたいなと思っています。

まだ直接募集をかけてはいないのですが、学校などを訪問するとアイドルやタレントになりたいと夢を抱いている子に会います。そのなかには「どうすればいいか分からない」、「なりたいなら上京するしかない」と考える子も多いです。

ただ、私自身は地元で活動の幅を広げることができたし、地元にいたからこそ叶えられた夢がある。地元に根付いて活動する1つのかたちを示して、教えられたらいいなと思います。

ーーー「夢を叶えた」と感じた瞬間にはどのようなものがありますか?

萌江:例えば、2022年にアニメ映画「漁港の肉子ちゃん」をプロデュースしたお笑い芸人の明石家さんまが石巻に来られた際、トークショーのMCをさせてもらいました。

その時に「さんまさんを回す」という東京でもできない経験をし、これは地元で活動していたからこそだと感じました。東京でしか会えないような人とお仕事ができるというのは素晴らしい経験です。

ーーー芸能事務所社長としての今後の展望を教えてください。

萌江:石巻には芸能事務所がないので、地方でも頑張りたいと考えている子たちの進む道の先にいれたらいいなと思います。石巻から、私のようなアイドルをたくさん作っていきたいです。

インタビュイープロフィール

萌江

1994年、ほやの名産地である宮城県石巻市に生まれる。

2017年、大学卒業と同時にほやをテーマにした楽曲「ほやのマーチ」をリリース。その後、「ほやドル」としての活動を始める。

現在はライブでのパフォーマンスやテレビ、ラジオへの出演などを通してほやをPRしている。失恋ソングを歌う「直球怨念型シンガーソングライター」の顔も持つ。

2023年12月には芸能事務所「株式会社ほやいろ」を設立し、タレント発掘やほやの消費拡大に向けた事業を手がけている。

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