相手にわかりやすく伝えることは、ビジネスシーンで求められることです。株式会社カエカによる、話し方トレーニングサービス「kaeka」では、これまで5,000人以上にスピーチトレーニングを実施。
kaekaの人事責任者である小倉琳さんは、「話す力がつくと、ビジネスの場で役に立つだけでなく、自己肯定感や自己理解にもつながる」と話します。では、実際に話が苦手な人は、どのように力をつけていけばいいのでしょうか。
後編では、kaekaが実際にやっているトレーニング方法を教わりながら、苦手意識がある人ができる話し方の上達へのステップを紹介してもらいました。
前編「1,500本のプレゼンを聞いて話す力を習得したkaekaのスピーチトレーナーが語る、話し方の極意【前編】」はこちら
話すことに苦手意識がある人の特徴とは?
ーーーこれまでに「話す力」をつけるためのトレーニングを提供するなかで、話すことに苦手意識がある人に共通している点はあると感じますか?
これまで5,000人以上の受講者と向き合ってきました。そのなかでも、話すことに苦手意識を持つ人には、いくつかのパターンがあると感じています。
まず1つ目のパターンとして、「話すこと自体が嫌い」や「何を話せばいいのかわからない」という状態の人がいます。例えるなら、水に入ること自体が怖いという感覚です。このような人たちに対しては、まず「話す」という行為に踏み出すためのサポートが必要だと思っています。
次に、話すこと自体はできるけど、周りから「話し方があまり上手くない」と思われたり、話を聞いてもらえないと感じている人たちがいます。話に抑揚がなく、単調に聞こえてしまうことや、話の内容がまとまらず支離滅裂に感じられることが多いパターンです。この場合は、話の抑揚や内容の整理が課題となります。
最後に、自分では「話すのが苦手」と感じているものの、実際にはそれほど下手ではない人がいます。周りからは「上手に話している」と評価されているのに、本人が自己評価を低くしてしまっている場合です。これに対しては、私たちが具体的な強みを客観的に示し、スコア化してフィードバックを行うことが効果的です。
ーーーこの話を聞いて、話すことに苦手意識を抱いていて自信がない人がいることが印象的でした。
やはり、話しているときに自分が批判されないか、特に話す内容についてどのように評価されるかという点が気になる人は多い印象です。だからこそ、私たちはそういった不安が一切ない安全な環境を確保しています。
話せないことを否定するのではなく、常に良い点と改善点、つまり「GOOD」と「MORE」をもとに、どうしたら改善できるかという前向きな話をお伝えしています。
苦手意識を払拭するために
ーーーどのくらいの期間で、話すことに対する苦手意識は少なくなりますか?
私たちは、初期の状態に応じて、通常3カ月から6カ月の期間をみていただくようお願いしています。これまでに身に付いている話し方の癖を改善し、わかりやすい話し方を定着させるためにはこのくらいの時間が必要だと感じています。
ーーー何度も話す練習を重ねることで、苦手意識は払拭されるのでしょうか。
もちろん、練習すること自体は重要ですが、必ずしも「話す回数が増えれば増えるほど上達する」というわけではないと思います。最近では、学習指導要領の改定にともない、「生きる力」が強調されるなかで、義務教育の場でも発表やプレゼンテーションの機会が増えています。
小中高生がこれらの場面で話す経験を積むことが増えた一方で、それが必ずしも「話す力の向上」や「自信の獲得」に直結しているわけではありません。話す力を本当に伸ばすためには、目指すべき理想の話し方や、どのように努力すれば良いのか、また自分が今どのレベルにいるのかをしっかりと理解することが大切です。
私たちは漠然と「話すのが得意」「苦手」と感じるのではなく、具体的に「この部分ができるから得意だ」「この部分がまだできていないから不安に感じる」と説明できるようなアプローチを目指しています。
話す力をつけて「すべての人生にスポットライトを」
ーーー話す力をつけるために身近でできることはありますか?
まず最初のステップとして、自分が話している動画を録画し、それを見返すことが重要です。
実際にkaekaでも、入会をご検討いただく際に、個別相談会という形で1時間のお時間をいただいています。ここでは、サービスの説明や話し方の捉え方についてのご案内を行うのに加え、受講者に簡単なスピーチをつくってもらい、それを動画に録画して一緒に振り返る時間を設けています。この振り返りで客観的に自分を見つめ、プロのスピーチトレーナーから意見をもらうことで、受講者自身が動画を見ただけで多くの発見を得られるのです。
ーーーどうしても自分が話しているところを聞き直すのは恥ずかしいと感じてしまいますが、この最初の1歩を踏み出すことが大事なんですね。
正直なところ、私たちトレーナーでさえも、自分の話している様子を見返すのは苦痛に感じてしまいます。どれだけ経験を積んでも慣れないことです。1人だとなかなかできないことだからこそ、私たちが背中を押して、そのプロセスをサポートすることに意味があるのかなと思います。
ーーー話すことが楽しく感じられることで、どのような未来が待っていると考えていますか?
話し方を学ぶということは、自分自身にスポットライトを当てるためのプロセスであり、そのために必要なチャンスや勇気を得る作業だと考えています。これは、弊社のミッションである「すべての人生にスポットライトを」が表していることです。
話す力を習得することで、プレゼンやコミュニケーションが上達し、それがプロジェクトの進展や新しい協力関係の構築につながるかもしれません。自分が発信したいことに対して、躊躇なくチャレンジできるようになることもあるでしょう。
みなさんが今感じている「やりたいこと」へのアプローチがスムーズになるだけでなく、これから出会う新しい挑戦に対しても、自信を持って行動できるようになる。これこそが話し方を学ぶ最大の意義であり、人生を前に進めるための大きなポイントだと感じています。
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