HOMECareer Runners 『トークサバイバー!』『ゴッドタン』『ピラメキーノ』―― 佐久間宣行さんが幅広いアイデアを思いつき、成功したカギは“Googleカレンダー”と“ネガティブさ”にあり?【インタビュー後編】

『トークサバイバー!』『ゴッドタン』『ピラメキーノ』―― 佐久間宣行さんが幅広いアイデアを思いつき、成功したカギは“Googleカレンダー”と“ネガティブさ”にあり?【インタビュー後編】

菓子翔太

2024/10/25(最終更新日:2024/10/25)


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(C)Wataru Kakuta(TRIVAL)

テレビ東京のプロデューサーとして『ゴッドタン』『ピラメキーノ』などの人気番組を手掛け、フリーランスとなった今ではチャンネル登録者数227万人(10月4日現在)のYouTubeチャンネル『佐久間宣行のNOBROCK TV』、Netflix配信のバラエティー番組『トークサバイバー!』などの企画・プロデュース、ニッポン放送のラジオ番組『オールナイトニッポン0』のパーソナリティーも務めている佐久間宣行さん。

2022年刊行の『佐久間宣行のずるい仕事術』に続いて、2024年7月に発売された『ごきげんになる技術 キャリアも人間関係も好転する、ブレないメンタルの整え方』といったビジネスパーソンのためになる書籍も執筆しています。

そんな佐久間さんに、U-NOTE編集部はビジネスパーソンのキャリアに関する悩みやアイデアを想起する方法などをインタビューしました(全3回中3回目)。

前編「入社後のギャップ・配属ガチャ・望んでいない仕事…… 元テレ東P・佐久間宣行さんがキャリアに悩む20代に伝えたいこと【インタビュー前編】

中編「フリーランスになった元テレ東P・佐久間宣行さんにいまは“個の時代”か聞いてみた/独立する上で必要な条件とは【インタビュー中編】

成功の秘訣はGoogleカレンダー?

ーーー『ずるい仕事術』とか『ごきげんになる技術』を読んでいて、佐久間さんってよくものを書きとめる方なのかなと思ったんですが、そういう印象はご自身でも持たれていらっしゃいますか。

もともと20代のときに日記をつけていたんですけど、忙しくなってきてからはアイデアと、そのときの感情と、やった仕事をメモしていました。それがやっぱりすごく役に立った。

(いまは)Googleカレンダーに簡単なメモを入れています。Googleカレンダーは10年分でも遡れるから、「あの頃同じような仕事をしたとき、どういうアプローチだったっけな」と思って、その時のスケジュールを開くと、「このタイミングで、この会議は遅すぎた」とか書いてあるんで、「1週間前倒そう」と5年前の自分が教えてくれる。

議事録にしても何にしても整理した資料って、なかなか見つからなかったので、僕はもうGoogleカレンダーのなかに公開しちゃって。「『トークサバイバー!シーズン1』のときはどういうスケジュールだったっけな」ってGoogleカレンダーを見て、そこに1行メモが書いてあって助けられたりとかもしました。

ーーーこれまで『ゴッドタン』・『ウレロ』・『ピラメキーノ』など、幅広いジャンルの仕事を手がけていらっしゃるなと感じています。これらの企画を思いつくことに共通する手法はあるのでしょうか?

企画にしていくための引き出しをたくさん持っていることが共通の手法ではありますが、1番大事なことは、受け手としてフレッシュであることだと思っています。

どういうことかっていうと、何か万能の作戦があると思わないで、いろんなものを見て常にフレッシュな自分で面白い・新しいものに気づいていくことがすごく大事だなと思います。

よっぽど天才じゃない限り、自分のなかの衝動だけではアイデアはそんなに生まれてこないんですよね。だからまず、好奇心とフレッシュさを持って世界に接していられる状態をずっと持っていることが大事だと思います。

そのうえで、僕のなかの成功体験としては、自分が面白いと思った瞬間をメモっておくときに、自分が1年後にその感覚を忘れてしまってもすぐに思い出せるようにメモっておいたことが大きくて。

面白いと思ったことと、1行でその理由を書く。多くの人は面白いと思った事実と企画の種みたいなものを1行書くだけだから、再現性がどんどんなくなっていく。「●●(作品名や事柄)が面白かった、多分こことここの部分が面白さのポイントだろう」という理由まで掘り下げて書いておいて、いくつか記録しておく。そうすると、自分が面白いと思うもののシステムが分かってくるんですよね。

「こういうときにこういう出来事が起きると面白い」というAの仕組みに、X、Yと別のものを掛け合わせると(アイデアが)生まれてくる。

受け手としてフレッシュな感覚で、新しい情報に接して自分のなかの仮説をどのぐらい作っていけるかですね。

佐久間さん自身の打率はどのくらい?

―――ご自身のなかの打率って大体どのくらいだと感じられていますか?

いやぁ、別にそんなに高くないと思いますけどね。

でも、良い仮説が作れて、ほぼ最初に「これでいけるだろうな」って踏んだものに関してはそれなりに結果が出ているとは思いますが……でもそういうのってすぐ廃れるからなあ。

―――僕は何が当たるかって本当に分からないなって思っていて、外さないための作戦を先に考えることもあるんですけど、佐久間さんは、その辺についてはどう考えますか。

その場所にないものを作れば当たったときは大きいなと思うんで、つくるなら「ないもの」にしようと。だから、例えば“Netflixで初めてのバラエティー番組を作る”っていうような、ある程度挑戦できる場所であり、「当たったらでっかい」っていう現場をどう探してくるかを考えることですね。

ごきげんを見せるメリット

―――佐久間さんが執筆された『ごきげんになる技術』を読ませていただいて大変勉強になったのですが、佐久間さんは、この本でいう「ごきげん」をどう定義されてらっしゃいますか。

「ごきげん」っていうのはナチュラルかつフラットにいろんな人に接することができる状態。機嫌が良すぎるわけでもなくて自分に感心するわけでもなくて、必要以上にネガティブでもない状態。

これは、良い仕事とか楽しく仕事をする上で大事なマインドだと思っていて、その状態をどれだけ長く保てるかでクオリティーオブライフは違うし、働くうえでの満足度も違うんじゃないかなというのが、25年(仕事を)やってきた経験で感じたことです。

―――仕事において、ごきげんである状態を周りに見せることには、どういうメリットがあると考えますか。

本当に嫌なことにはちゃんとアピールして感情を出してもよいと思いますけどね。

僕自身は「機嫌が不安定なときがない」とか、「どんな仕事でもある程度冷静に判断できる」とか「感情に左右されて判断することはない」っていう評価がもらえたことで、大事な仕事を任されたり、僕が本当に困ったときやどうしても納得がいかないときにそれを説明すれば、「あの佐久間が言うんだったらちゃんと動こうよ」と、ちゃんと対応してもらえたということがありました。

毎日愚痴を言ってる人の愚痴って、いざと言うときに真剣に聞いてもらえないリスクがある。“ごきげん”な状態を見せていたことは、最終的に周囲からの信頼となって返ってきましたね。不機嫌な様子を見せても何のメリットもないっていうことだと思いますよ。少なくとも会社ではメリットはないでしょう。

―――本の中では、“ネガティブ仕事術”という言葉も使われていらっしゃいました。ネガティブの大切さについてはどう考えていますか?

“ネガティブさ”っていうのはある種の痛みみたいなものだと思うので。あまり振り回されずに、「ネガティブさがあるから努力できたり、危険を回避できたりするんだよ」っていうぐらいのもんだと思って付き合うことが大事だなと思っています。

ネガティブさが出てきたら、「出てきた、出てきた。ってことは、ここら辺でそろそろ適切な対策しなきゃいけないのかな」って思うぐらいの付き合い方が良いかなと。

ネガティブさにしてもポジティブさにしても、振り回されると自分がなくなってしまうから。それを俯瞰で見てコントロールする術を持つことは大事だなと思います。

例えば『トークサバイバー!』は、ネガティブさがなかったら「面白いからいいでしょ」というノリの番組になって、配信のプラットフォームに合わせた作り方とかしなかった可能性もあったと思うし。

「テレビと同じような手法でバラエティー番組を作って、お金を払ってまで見てくれる人がいるのかな。配信にあわせたパッケージとかブランドを作らなきゃ無理じゃないかな」ってところから考えていったんで、やっぱりネガティブさがあってこそですよね。

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