HOMECareer Runners 入社後のギャップ・配属ガチャ・望んでいない仕事…… 元テレ東P・佐久間宣行さんがキャリアに悩む20代に伝えたいこと【インタビュー前編】

入社後のギャップ・配属ガチャ・望んでいない仕事…… 元テレ東P・佐久間宣行さんがキャリアに悩む20代に伝えたいこと【インタビュー前編】

菓子翔太

2024/10/23(最終更新日:2024/10/29)


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(C)Wataru Kakuta(TRIVAL)

テレビ東京のプロデューサーとして『ゴッドタン』『ピラメキーノ』などの人気番組を手掛け、フリーランスとなった今では、チャンネル登録者数227万人(10月4日現在)のYouTubeチャンネル『佐久間宣行のNOBROCK TV』、Netflix配信のバラエティー番組『トークサバイバー!』などの企画・プロデュース、ニッポン放送のラジオ番組『オールナイトニッポン0』のパーソナリティーも務めている佐久間宣行さん。

2022年刊行の『佐久間宣行のずるい仕事術』に続いて、2024年7月に発売された『ごきげんになる技術 キャリアも人間関係も好転する、ブレないメンタルの整え方』といったビジネスパーソンのためになる書籍も執筆しています。

そんな佐久間さんに、U-NOTE編集部はビジネスパーソンのキャリアに関する悩みやアイデアを想起する方法などをインタビューしました(全3回中1回目)。

ギャップを感じてからがスタート

ーーー社会人になり、仕事や自分の能力で描いていた理想と現実にギャップを感じている人は多くいると思います。そういう人は、どう対処したらよいのでしょうか。

ギャップを感じるのは当然というか。感じない人はいないと思うんで、まずそれは普通のことだと捉えた方がよい、というのが1つ。むしろ、ギャップを感じたことがスタートです。ギャップを感じなかった人は、多分ちゃんと状況を把握できていない可能性があると思います。

それか、もうとんでもなく大学時代から準備できていた人だと思うんでね。ただ、そんな人は滅多にいないし、ほとんどがギャップを感じて当然だから、そこに対して悩む必要は別になくて。

ギャップを感じてからのアプローチの仕方は、自分に向いていないものと向いているものがあるから、それは精査するべきだと思います。

自分を客観視することは大学時代もある程度はありますけど、働くってことは必ずしも自分が主人公ってわけじゃないから、組織のなかで客観的にどう見えているかをまず1回は把握したほうがいい。そうしないと、「自分」という乗り物の正しい運転の仕方がわかんないんで、組織で傷つかずに働くには自分が周りからどう見られているのかをできるだけ客観的に把握することが大事かなと思います。

ーーー「配属ガチャ」という言葉が最近では言われるようになり、望んでいない部署に配属されてやる気が出ず、早期離職や転職を検討する人も一定数いるようです。佐久間さんもテレビ東京に総合職で入られて最初同じような経験をされたと伺っていますが、そういった人に向けてアドバイスはありますか?

自分の場合、いま思うとあれは配属ガチャじゃなくて、内定をもらった頃に自分の見せたキャラクターを間違えていたなとは思いました。

僕は、体力が求められる深夜ドラマ班に入社後まず配属されたんですけど、嫌われてももうちょっとやりたいジャンルを明確にアピールすればよかったなと。

入社後、ドラマのADとなった佐久間さん。当時のエピソードは、『ずるい仕事術』『ごきげんになる技術』のなかでも書かれています。

正直、準備が足りなかったなと。研修中に、人事の担当者から自分がどう見えるかをちゃんと考えた方が良いのかなと思いました。

だから、ガチャって言うけど、ガチャになっちゃった原因は自分にもあるなとは思います。もうちょっとうまくアピールすれば、最初からやりたい場所に行けたなっていう気もします。

その後、体力的にもキツくて、パワハラが横行しているような職場では自分の心に勝つ方法というか、その職場をステップにどうキャリアを進めていくかを考えることで立ち向かうことにしました。ただ、どちらかというと対症療法にちょっと近くて、1年目のときには根本的な解決にはならなかったですね。

それ以後は、そういう(パワハラをしてくる)人がいた場合は、ちゃんとしかるべきところに報告する、もしくは自分が耐えられないことをちゃんと把握するためにも、日々1行か2行日記のようなものをメモっていくことにしました。

後から見直すことで何かの役に立つかなと。組織でうまく立ち回るときにも、自分の傾向を知るためにも役に立つし。結局大事なのは、日々の自分を観察することなんですよね。

ーーー自分のやりたいことを若いうちからアピールすることも、やりたいことをやるためには大事と書籍に書かれていましたね。

僕もそうだったんですが、だいたい若い人の悩みは、「本当の自分を評価されない」とか、「本当にやりたいことをわかってくれない」とかなんですけど、「当たり前だろう」っていうか、「誰もわかるわけないよね」とも思うんですよね。だから「他人は自分のことはわかってくれない、外に見えているものが全て」という事実を飲み込んだ上でどう作戦を立てるか(が大事)。

だから僕は、「本当にお笑い好きなんだ」とか「お笑いの情熱があるんだ」っていうことを分かってくれる会社の人間なんかいないなと気づいてからは全然関係ない部署でもアピールできる企画募集でアピールしましたね。

年に4回の企画募集があるんですけど、そこでエクストリームなお笑いの企画を出そうという作戦に切り替えられました。

将来活躍するには望んでいない仕事も大事?

ーーーキャリアを積み重ねていく上で20代に経験したことが大事だと多くの人が考えていると思うんですが、自分が望んでいない仕事を経験することも、30、40代になって活躍していく上で大事なことだと思いますか。

望んでいない仕事に就いたときには、1つの努力だけしてもしょうがないと思います。その部署から望む場所に行くための作戦は決行するべきだと思うけど、同時に時間を無駄にする必要はないんで、その職場での経験から自分の別の武器を開発することは大事だなと思うんですよね。

僕が20代のころは、配属された場所で不満ばっかり言っていると、好きな場所に回れないっていう風土の会社でした。だから、配属された先でも優秀だなと思われて、早めのチャンスが回ってくるためにはどうしたら良いか考えて、実行する作戦に切り替えました。

所属している組織の風土に合わせて、それぞれ立てるべき作戦は変わってくると思うんですよね。

ーーーそこで変に腐っちゃわずにっていうことですよね。

20代の時に腐る時間を過ごす意味がないんじゃないかなって。どの年代でも腐る意味はあんまりないですけど。

サラリーマンだと、腐ってる時間を過ごすことはただのマイナスにしかならないですよね。

俺も腐ってたし、腐ってもよいんですけど。腐ってることを外に出す意味があんまりないっていう感じ。どうしても今の仕事が嫌で、腐っちゃうくらいなら、仕事場ではちゃんとアピールした後、ワークライフバランスをできるだけ変えてプライベートに切り替えちゃった方が良いと思いますね。

ただ、20代のころに考える「やりたいこと」って、本当にそれが一生食わしてくれる仕事かどうかまで把握できているのかな、という疑問もあります。20代の若手の人がいう「やりたいこと」が、本当にその人の才能を生かせている仕事なのかというと、実はそうでもない、ということも結構あるな、という印象です。

20代前半に向けたメッセージ

ーーーU-NOTEのメインターゲット層である20代前半の人に向けてメッセージやアドバイスをお伺いできますか。

「これだったらやれるな」っていう自分のスタンスを見つけることが大事だと思います。そうしないと作戦も立てられないんで。

考えなきゃいけないことは、その業界の未来、その会社のポジション、その会社が自分をどのぐらいまで食わしてくれるのか。あと、その会社で学びきることができるのは何なのか、ということです。

自分が周囲からどう見えているのか。自分の武器はどのぐらいあるのか。それが何となくでも把握できていると作戦を立てられるので。そうやって作戦を立てたところからが、社会人のスタートだなって感じがしますね。

だから、自分のいる場所と自分自身を早めに把握できた方が、正しい努力ができると思います。いっときの感情とかに振り回されないで、正しい努力ができるような準備をしてほしいですね。

(あとは、)大体30代後半とか40代で仕事で成功している人は、どっかの時期にはがむしゃらに働いていた時期がある人が多いなと思います。これは結果論なんで、全員にやれとは全く思わないですけど。

10月24日19時掲載の中編「元テレ東P・佐久間宣行さんにいまは“個の時代”か聞いてみた/独立する上で必要な条件とは【インタビュー中編】」に続く

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