HOMEビジネス “オシャレでクール”なプロeスポーツ企業「FENNEL」 24歳社長が語る、ゲームの境界を超えた挑戦を続ける理由【インタビュー前編】

“オシャレでクール”なプロeスポーツ企業「FENNEL」 24歳社長が語る、ゲームの境界を超えた挑戦を続ける理由【インタビュー前編】

菓子翔太

2024/10/17(最終更新日:2024/10/20)


このエントリーをはてなブックマークに追加

市場規模が拡大し続けているeスポーツ市場。eスポーツチームを運営する企業は数多くありますが、そのなかでも国内有数の人気企業のひとつが株式会社FENNEL(以下、FENNEL)です。

eスポーツ企業としてはめずらしくファッション事業に注力しており、アパレル業界のプロフェッショナルを採用しているほか、有名ブランド「DIESEL」「NEW ERA」などとのコラボレーションも行っています。また、国内外で活躍するHIPHOPアーティスト・OZworld(オズワルド)さんも加入し、音楽スタジオの運営なども手掛けています。

ゲームというと“オタク”なイメージを抱く人もいるなかで、とても“オシャレでクール“な印象を感じさせる企業です。

HIPHOPラッパー・OZworld(オズワルド)さん

なぜ、FENNELは、こんなにもビジュアルや音楽などに注力しているのか。編集部は、同社の高島稜社長(24歳)に、業界におけるFENNELのイデオロギーについても聞きました。

そもそもeスポーツ市場のビジネスモデルって?

そもそも、eスポーツ市場では、どのようにお金が動いているのでしょうか。

“ゲーム”と聞いて一般的に最もイメージしやすいビジネスはゲームソフトの売買ですが、eスポーツ市場は、それだけではなくスポンサーシップやイベント運営・グッズ販売・インターネット配信を通した広告収入やファンからの課金など多岐にわたったビジネスモデルで形成されています(最も割合として多いのは、他の主要スポーツと同じくスポンサーシップとのこと)。

人気ゲーム「VALORANT」の国内大会決勝の様子。

一般社団法人日本eスポーツ連合によると、2022年のeスポーツ市場規模は125億3,600万円程度となっており、コロナ禍におけるオンライン大会・イベント開催の定着に加え、オフラインでのイベントによる相乗効果もあって、今後も市場規模は年平均20%を超える成長率で拡大することが見込まれています。

2025年には217億8,100億円規模、eスポーツファンの数は1,000万人を超えると予測されているんだとか。

大会で推しの選手を応援するファン

FENNELのアイデンティティー

eスポーツが人気を高めていくなかで、FENNELは設立されました。高島さんは、その創業期に参画。東北大学工学部に在学中、創業者の1人である堀田・マキシム・アレクサンダーさんとTwitter(現X)で知り合い、eスポーツのオンラインコミュニティーをつくったことがきっかけでした。

チームFENNELのロゴ

高島氏は、FENNELでチームビルディングや大会の企画などに携わったのち、2022年から取締役COO(最高執行責任者)に。2024年1月からは代表取締役社長CEO(最高経営責任者)を務めています。

そんな高島氏に、FENNELがアパレルブランド事業に注力し、HIPHOPアーティストのOZworldさんらをチームに加えるなど、従来のeスポーツチームにはなかったようなブランド力を追求している理由を問いました。

「未成熟なeスポーツ業界に僕らが関わり始めたころ、下からプレイヤーたちが上がってきたときに、彼らにはまだアマチュア感が強かったんです。

自分がこれからスターになっていくという自覚と、世界を取りに行くというマインドや覚悟、地に足着いた自信が、どうしても風貌やインタビューの様子など色々な部分からまだ醸し出せていませんでした。

世界大会「ポケモンワールドチャンピオンシップス2024」で、日本勢として初となる優勝を果たしたFENNEL Pokémon UNITE部門

そこは、僕らが恣意(しい)的にかなり押し上げていってあげないといけないなと。

(選手が着る)ファッション1つとっても、選手たちが撮られる宣材写真のクオリティー1つをとっても、チームからどんなアパレルやクリエイティブが出ているのかといったことでも、選手のスターとしてのマインドを僕らが醸成してあげないといけないという考えがまずあります。これがビジュアル面やブランドドメインに力を入れている主な理由の1つです。

VALORANT部門の選手・コーチ

もう1つが、各チームでアイデンティティーがあった方が良いと思うので、経営陣とかメンバー陣含めて、“自己表現”が僕らの共通のワードにあります。

自分がどんなこだわりを持って、社会に対してどんなメッセージを持って生きていきたいかを選手にも考えてほしいし、関わる全員、ファンにも考えてほしい。

FENNELはマーケットイン(顧客のニーズに沿ったものを提供するといった考え方)よりは、プロダクト1つ1つがどんなメッセージ性を持って、顧客をどういう方向に牽引していくのかをすごく考えながら作っています。


選手をスターにしていきたいというところと、プロダクト・クリエイティブ1つ1つにちゃんとメッセージを込めて意図を持って作っていきたいというところの2点があって、アパレルや音楽などの部分に力を入れているように見えてるんだろうなと。

僕らは作りたいものを作っているだけといえばそれまでなんですけど、よくそう評価していただくことが多いなとは思いますね」。

 

4月、博多阪急でおこなった「DIESEL」「NEW ERA」「ECOCYCLE」とコラボしたアパレル商品を販売するPOP UP SHOP

デジタルとリアルのカルチャーをつくる

eスポーツを基軸に、Z世代最大のブランドを形成することを目指しているというFENNEL。

高島氏が1月に社長に就任したことにともない、FENNELは3月、ミッション・ビジョン・バリューを新たに策定しました。そのなかでビジョンとして、

「Expand the boundaries of e-sports, Create new culture in digital and real worlds.(e-sportsの境界を拡げ、デジタルとリアルでの新しいカルチャーをつくる。)」

を掲げています。このビジョンについては、

「いろいろと秘密のことはありつつも、やはり既存のフォーマットでやっても面白くないなとは思っているので、今の顧客の需要に応えすぎず、自分たちが楽しくて、かつ、顧客に対しても目新しさと新鮮さを与えて挑戦的なことをやりたいです」

と展望を述べました。

インタビューの後編では、eスポーツ市場の今後に対する思いと求める人材、プロたちの現状とキャリアについて話を聞きます。

【関連記事】


hatenaはてブ


この記事の関連キーワード