駐車場のシェアリングサービス「アキッパ」を提供するakippa株式会社は、累計会員登録者数400万人を誇る同サービスを運営している企業です。
この企業の創業者で代表取締役社長CEOを務める金谷元気氏は、高校卒業後、22歳までJリーガーを目指していたといいます。
そんな彼が24歳で起業し、サービスや会社を成長させるまでの物語はどのようなものだったのでしょうか。
今回U-NOTE編集部は、金谷氏にインタビューを行いました。
アルバイトが苦手だった
高校卒業後、Jリーガーを目指して、昼は高校のサッカー部コーチとして指導、夜は自身の所属チームで練習、その合間の時間でアルバイトをしていたという金谷氏。
アルバイトでは失敗続きで、「いいやつ」と言われながらもシフトを削られ、あまり稼ぐことができなかったそうです。
「お店や工場などでアルバイトをしていて、オペレーションに入るのがめちゃくちゃ苦手だったんですよね。
誰かが決めたオペレーションの中でその一部になるのは、誰でもできることだと思っていました。
そこに対して気持ちがまったく乗らず、モチベーションもわかないし、不器用だしで最悪な状態で、全然できなかったんです」
ビジネスとの出会い
そんな金谷氏がビジネスに目覚めたきっかけは、サッカー選手を目指していたころに当時の恋人とデートをしたときのことでした。
「お金がなくて、帰るときに電車賃が足りなくなってしまいました。
そこで映画館の地下にあった100円均一で売っていた傘を地上に出てビジネスマンに300円で売って、200円を儲けて、無事電車で帰宅することができたんです。
この経験がすごく楽しくて。こんなことで稼げるんだと思って、その後、花火大会のときに39円で仕入れたジュースを150円で売ることもやって、自分で考えて売ることが好きだと感じたんです。
当時はそれを営業だと思っていました。いま思えば、これは営業ではないんですけど、この経験が楽しくて、そこから営業に興味を持ったんです。
その頃に新聞の折り込みに入っていた求人広告のチラシで、フルコミッションの営業の募集がありました。
営業っていいなと思っていたので、その会社の求人に応募してみたという感じです」
営業の「自分で考えて組み立てるスタイル」がはまる
オペレーション型のアルバイトから、成果報酬型の営業の仕事に変えてから、成果が出せるようになったのはなぜでしょうか。
「営業がうまくいったのは、自分で考えて組み立てるからですね。
営業ってどこに訪問するかというところから、けっこう自分で決められるんです。訪問してからの資料や話し方もそうです。
ただ決められたことをやるよりも、自分で考えたことをやる方が得意だったので、うまくいったんだと思います」
起業後、2013年にミッションである「“なくてはならぬ”をつくる」を制定するまでは、「リアクションではなくアクションを起こす」を会社のスローガンとしていたといいます。
これは起業前に金谷氏自身が、先輩から「これやって」と言われたことだけをやるというような仕事ではなく、自分からどうやったらできるかを考えて行動した結果、成功した経験から、創業初期に行動指針として定めていたそうです。
「ちなみに、akippa社内の評価システムとしてはいまでもその名残があります。言われたことだけしかできない人は、7等級のうちの1番下の等級という位置づけにしていますね。
自分でどんどん目標を立て、自分から作りにいく意識は、いまも会社全体のなかにあるバリューだと思います」
サッカーを辞めて、ビジネスの道へ
同い年が大学を卒業する22歳でプロになれなければビジネスの道に進もうと決めており、サッカーはそこできっぱりと辞めることにしたそうです。
「サッカーをやっている間は、自分より活躍している選手を見て、応援はできなかったです。悔しかったですね。
子どものときは、セレッソ大阪のサポーターをしていて純粋に応援できていました。でも、高校生ぐらいからセレッソ大阪の下部組織の同い年がトップチームでプロの試合に出ていたのも、当時はぜんぜん応援できなかったです。
でも起業をすると決めてサッカーを離れてからは、スパッと切り替えができました。
サッカーを引退して、Jリーグを見たら同じ年の人や年下だったとしても純粋に応援できるようになっていました」
akippa株式会社はセレッソ大阪をはじめとして、これまで全国30以上のプロスポーツクラブとの取り組み実績があるそうです。これには、サッカーで学んだことや人脈がのちのビジネスでも役立ったといいます。
わくわくすることに飛び込む
店舗や工場でのアルバイトからフルコミッションの営業、サッカーから起業などこれまでやっていたことをやめ、新しくものごとを始めるときに大切にしていることもお聞きしました。
金谷氏の回答は、
「わくわくすることに飛び込むようにしています。
まだサッカーをやっていたとき、たまたま興味を持って起業家の堀江貴文さんや藤田晋さんの本を読んだんです。『こんな面白い世界があるのか』と思って、起業に対する情熱が湧き上がりました。
あとは、創業して営業代行の会社をやっているときに、『ソーシャル・ネットワーク』という映画を見てITの会社に変貌させたいなと思いましたし。
ぼくは周りの影響を受けやすいんです。なので、自分の胸が躍る世界を知ったときには、一気に(その世界に向けて)切り替えていきたいと思って行動していました。
(その世界にたどり着くための)逆算をして、必要に迫られて「絶対それをやる」と決めたら、あんまりリスクは考えないですかね。
また、一方でこのようにも語っています。
それから、どの情報を仕入れるかはめっちゃ重要なので、(情報を得る相手を)選別することが大切です。その人が言っていることと、結果がともなっている人を探すんです。
方法としては、最初は書籍がおすすめです。(書籍を読んで)いいなと思った人の他の書籍をとにかく買うのもよいですね。
個人としては貯金を考えたこともすることもなかったですし、昔はぜんぶ自分への投資に使っていて、たくさん本を買ったりしていましたね」
ちいさく試すをやってみる
成長したいビジネスパーソンに向けたアドバイスもいただきました。
「ぜひ『ちいさく試す』ことをやってみてほしいと思っています。
ちょっとだけリスクがあるけど、そんな大してリスクのないことっていろいろありますよね。
小さなことでも、『0→1』を作る経験が大切だと思います。
22歳で会社員になったとき、副業ができなかったのもあって、仲間と大阪で社会人サッカーリーグを作ったことがあります。
参加費をひとチーム年間5万円ずつで10チームくらいに参加してもらって、運営していました。グラウンドを借りて審判などの運営も、ぜんぶ自分たちでやってみたんです。
大して利益は残らなくても、『0から1をつくる』という経験から多くのことが学べました。
『日程を事前に送らないといけない』『ここまで気をつけないといけない』とか、いろいろな学びがありました。
そもそも経営者が会社員より成長するのは、会社を作りながらすべてのロール(役割)を経験するからです。
会社を作ると、急に経理部長兼営業部長兼人事部長でもある状態になるので、自分の会社ですべてのロールを経験すると、会社員としてのいろんな視点が得られます。
その結果、担当の人の気持ちがわかりますし、役割や仕事に対する解像度がめっちゃ高まります。
たとえば、営業だけしていると、受注するために何でもありになってしまいますが、他の職種の視点を理解すると、なぜそれが良くないかが見えてくるんです。
だから、『起業したい・したくない』に関わらず、個人事業でビジネスを1つやるのは本当に成長できる方法で、ビジネスパーソンとして成長したい人すべての人におすすめします」
後編では、上場企業で1年半でマネージャーになり、退職。その後、起業からさまざまな事業に挑戦して得た「アキッパ」での成功までの道筋と金谷氏の未来の話もお聞きしています。
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