首都圏を除き日本では、運転手不足や利用者減少を理由に公共交通機関の路線廃止や縮小、事業撤退が相次いでいます。
国土交通省は、公共交通機関の衰退を課題ととらえ、解決への取り組みとしてオンデマンド交通を推進。市町村では、導入地域が出てきています。
オンデマンド交通とは
オンデマンド交通とは、AIなどを活用してリアルタイムに最適な配車を行うという交通システム。バスや鉄道よりもタクシーに近いことが特徴です。
利用者は地域の乗降車地を選択し、電話やスマートフォンなどで配車を予約します。複数の利用者のニーズをシステムがとりまとめて、送迎時刻を決定、コンパクトな車両などに乗り合わせるかたちで送迎が行われます。
先進事業者は?
すでに地方で導入が進んでいるオンデマンド交通ですが、国土交通省の担当者に取材したところ、事業としては確立されていない状態だといいます。
運賃だけでは賄えないコスト面やシステムの認知が低いことが要因のようですが、「チョイソコ」と名付けられたサービスは国土交通省が目指すモデルを実現しているようです。このサービスは、トヨタグループの部品製造メーカーである株式会社アイシンが運営しています。
地域に根付くスタイルを提供する「チョイソコ」
株式会社アイシンはその事業の90%以上が自動車部品の製造です。カーナビゲーション事業も行っているといい、そのノウハウを生かして社会課題解決に向けたオンデマンド交通の拡大に挑戦しています。
同社の「チョイソコ」は、導入地域のニーズに合わせて利用条件や予約方法などを設計。地域からのニーズは、高齢者の交通手段や子供の習い事送迎、観光客のスポット利用などさまざまとのこと。
同社が運営主体となるだけでなく、運営サポートに回り、地元の事業者が主体となって地域に最も根付くスタイルを作っているそうです。
課題改善に向け認知と利用ニーズ拡大へ
「チョイソコ」は、運賃だけでなく、地域の運行事業者との連携や、地方自治体や公共・商業施設などから協賛や広告料を資金として、ビジネスモデルを構築しているそうです。
また、サービス認知を高めるために、住民に対しての説明会を複数回実施。外出のきっかけとなるようなイベントを他企業と共同で開催するなど、オンデマンド交通そのものを周知したり、利用ニーズを確かめたりすることで、導入する市町村は、10月1日をもって81に拡大したそうです。
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