新型コロナウイルスの流行時に比べ、インバウンド需要が回復しているという観光産業。
株式会社帝国データバンクは、毎月実施している「TDB景気動向調査」から「観光産業の最新景況レポート(2024年8月)」を9月26日に公開しました。
記録的な猛暑となった今年の夏。観光産業の景況感は、一体どのような状況だったのでしょうか。
18カ月連続で全産業を上回る
まず、観光産業に属する企業の景気判断を総合した指標、観光DIの推移をもとにした分析では、政府が新型コロナウイルスが第5類に移行することを発表した2023年1月以降、上昇基調に転じているようです。
とはいえ、多少の振れ幅もうかがえました。2024年1月に発生した能登半島地震によって、一時的な自粛の動きなどから観光DIは45.8にダウン。
しかし、その後の石川県を対象とした観光促進策や、インバウンド需要に支えられて、2024年8月の観光DIは47.2(前月比1.6ポイント増)と、2カ月連続で改善したといいます。
また、2023年3月から18カ月連続で全産業の景気DIを上回ったとのことです。
コロナ前を上回る訪日外国人客数
実際に、インバウンドの状況はどのようなものなのでしょうか。
日本政府観光局(JNTO)が発表した「訪日外国人客数」によると、2024年の訪日外国人客は1~7月までの合計が2,107万人に達し、前年同期の1,303万人を上回ったことが分かりました。通年で前年を超えるのは確実との見込みだそうです。
このペースは、コロナ禍前の2019年をも上回っており、いまやインバウンドは国内の観光産業をけん引しているといわれているようです。
一方で、観光産業を支える旅行会社はどのような状況なのでしょうか。
観光庁が発表した「主要旅行業者の旅行総取扱額」を見てみると、2023年度の「国内旅行」は2兆3,559億円とコロナ禍前の2019年度に迫ったといいます。
しかし、「海外旅行」は1兆699億円と、円安や物価高の影響などにより回復が遅い傾向にあり、コロナ禍前の2019年度旅行総取扱額1兆8,262億円と比べると、大きく差が出るような結果となりました。
<参照>
観光産業の景況感、18カ月連続で全産業の景気DIを上回る 強いインバウンド需要が牽引 海外旅行の回復が課題に
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