コロナ禍を経て、化粧品販売においてオンラインカウンセリングが普及しているといいます。
大手化粧品メーカーの株式会社コーセーは、関西大学総合情報学部に籍を置く瀬島吉裕教授との共同研究を実施。音声から顧客の気分の高まりや落ち込みをリアルタイムで推定するという手法(数理モデル)を開発しました。
この手法を活用することで、オンラインでも対面と変わらないカウンセリングサービスを提供することにつなげようという取り組みです。
画面越しのカウンセリングの課題を数理モデルで解決へ
自宅などにいながら美容や化粧品のカウンセリングを受けるサービスは、「周囲を気にせずに日頃のお手入れや肌の悩みを相談できる」「移動の時間がないときや移動の手間なく利用することができる」などのメリットから近年広がりを見せている、と同社。
一方、画面越しのコミュニケーションでは、対面と比較して顧客の変化を察知する情報が乏しく、1人ひとりに寄り添ったカウンセリングが難しいという課題があったといいます。
産学で行ったこの研究では、音声からリアルタイムにオンラインカウンセリングを受ける人の気分を推定するための数理モデル開発に取り組んだそうです。
対話による気分を「温度の変化」として推定
瀬島教授が開発してきたという「対等な2人のオンラインコミュニケーションでの気分の盛り上がり」を推定する数理モデルがこの手法の主幹にあるといいます。
手法に合わせて、同社が実際に行っているカウンセリングを再設計。カウンセリングで発せられる音声情報から、顧客の気分を推定しようという取り組みです。
具体的には、顧客とビューティーコンサルタント(美容部員)による対話から生まれるという「場の雰囲気」を「仮想的な温度空間」と規定。対話のやり取りを熱の出入りに置き換えて、それぞれの気分を「温度の変化」として表すようです。
オンライン以外の接客にも応用できる可能性
20~40代の男女15人を対象としてスキンケアに関するオンラインカウンセリングを提供。実際に客の気分を推定できているかを検証したところ、モデルが推定した「気分の変動」と、被験者本人の主観は高い一致度を示したそうです。
同社は、オンラインに限らず、さまざまな接客現場で活用できる可能性をこの技術に見出していると伝えています。
<参照>
化粧品のオンラインカウンセリングにおいてお客さまの気分をリアルタイムに推定する数理モデルを開発
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